ODA(政府開発援助)

令和6年1月15日

評価年月日:令和5年10月20日
評価責任者:国別開発協力第二課長 時田 裕士

1 案件名

1-1 供与国名

 ホンジュラス共和国(以下、「ホンジュラス」という。)

1-2 案件名

 国道六号線橋梁建設計画

1-3 目的・事業内容

 本計画は、首都テグシガルパと隣国ニカラグアとを結ぶ主要国際幹線道路である国道六号線の地すべり箇所において、擦り付け橋梁を建設することにより、自然災害への脆弱性の低減による安全かつ円滑な物流網の整備を図り、もってホンジュラスの社会経済基盤強化に寄与するもの。
 供与限度額は28.63億円。

1-4 環境社会配慮、外部要因リスクなど留意すべき点

  • (1)本計画は、国際協力機構(JICA)環境社会配慮ガイドライン(2022年1月制定)におけるカテゴリBであり、環境への望ましくない影響は重大でないと判断され、かつ、同ガイドラインに掲げる影響を及ぼしやすい特性及び影響を受けやすい地域に該当しないと判断される。
  • (2)ホンジュラスの治安や感染症の発生状況が大幅に悪化しないか注視する必要がある。

2 無償資金協力の必要性

2-1 必要性

  • (1)ホンジュラス(一人あたり国民総所得(GNI)2,540ドル)は、OECD開発援助委員会(DAC)の援助受取国リスト上、低中所得国に分類される。
  • (2)同国では、陸上貨物の大半が車輛で輸送されており、物流は道路輸送に大きく依存している。同国内の主要幹線道路の1つである国道六号線は、同国の首都テグシガルパと隣国ニカラグア間の物流を支える唯一の国道であり、1日あたり約8,000台の交通量があるが、山岳地帯を抜けるルートであり、降雨、土砂、地すべり等の自然災害による通行止めや、それに伴う大幅な迂回を強いられている状況である。こうした状況を放置すれば大事故に繋がる蓋然性が高いのみならず、物流網が麻痺し、首都のみならず地方も含めて多大なる経済損失を招く可能性があり、同問題への対策が喫緊の課題となっている。
  • (3)同国の政府計画(Plan del Gobierno)(2022年~2026年)では、「質の高い道路インフラの整備」を重要課題の1つと位置付け、災害へのレジリエンス強化を目標の1つに掲げている。本計画対象道路は、中米インフラ・運輸大臣会合によって2023年5月に承認された中米物流マスタープランで定められた11の経済回廊のうちの1つにも該当する区間であり、国内のみならず域内の物流網を支える重要な幹線道路であることから、対策の優先度は非常に高い。
  • (4)我が国の対ホンジュラス国別開発協力方針(2021年6月)では、重点分野「防災及び環境・気候変動対策」において協力プログラム「災害に強い社会づくりプログラム」を設定しており、本計画は同方針に合致するものである。
  • (5)ホンジュラスの所得水準は相対的に高いことから、「所得水準が相対的に高い国に対する無償資金協力の効果的な活用について」に基づき、無償資金協力の供与の適否について精査が必要である。本計画は、同国の開発課題・開発政策並びに我が国及びJICAの協力方針・分析等に合致し、同国の主要幹線道路である国道六号線の地すべり箇所に対し、ア 自然災害による被害拡大や再発を避けるための緊急的な対応(「緊急性・迅速性」)と、イ 人間の安全保障の観点から、自然災害など個人の生命、生活に対する脅威へ対応(「人道上のニーズ」)するものである。また、同国の物流網を支える幹線道路において日本が防災に配慮した橋梁を建設し、災害の懸念を取り除くことで、同国の経済の活性化に寄与するものであり、SDGsゴール9(産業と技術革新の基盤をつくろう)とゴール11(住み続けられる街づくりを)にも貢献するとともに、日本のプレゼンス強化に寄与する。以上のことから、本事業は無償資金協力による実施が適当である。
  • (6)ホンジュラス側は、災害対策に係る設計・施工に対する非常に高い信頼から日本の技術を用いた対策を要請してきており、無償資金協力を通じた日本企業による確実な実施に大きな期待を寄せている。本計画を通じ、重要な国道における災害対策を支援することは、長らく災害対策において信頼を築いてきた我が国として、同国政府の開発努力を後押しすることで、同政権の期待に応え、ひいては二国間関係の強化に資するとの観点から極めて重要である。また、本計画の実施は、長い信頼と友好の歴史を有し、基本的価値観を共有する同国との更なる関係強化及び開発協力としての必要性の観点から外交的意義が高い。

2-2 効率性

 2019年度からホンジュラスを含む中米統合機構(SICA)を通じた開発計画調査型技術協力「持続的な経済開発・地域統合のための中米地域物流ロジスティックス開発マスタープラン策定支援プロジェクト」を開始しており、本計画及び中米各国での取組と連携し、域内の物流及び経済活動の更なる活性化促進による相乗効果が期待される。

2-3 有効性

 本計画の実施により、2023年の実績値を基準値として、事業完成から3年後の2030年の目標値と比較すると、以下のような成果が期待される。

  • (1)定量的効果
    • ア 年平均の1日あたりの交通量(台数)が、9,183台から13,012台に増加する。
    • イ 年平均の輸送可能貨物量が、590万9千トンから810万5千トンに増加する。
  • (2)定性的効果
     主要幹線道路における交通の安全性の向上や舗装路面の改良による平坦性と走行性の改善を通じ、域内物流の機能強化、地方経済の活性化と自然災害への脆弱性の低減が図られる。

3 事前評価に用いた資料及び有識者等の知見の活用等

  • (1)ホンジュラス政府からの要請書
  • (2)JICA協力準備調査報告書(JICAを通じて入手可能)
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