ODA(政府開発援助)

令和3年4月2日

評価年月日:令和2年6月4日
評価責任者:国別開発協力第三課長 黒宮 貴義

1 案件名

1-1 供与国名

 シエラレオネ共和国(以下「シエラレオネ」という。)

1-2 案件名

 フリータウンにおける子ども病院強化計画

1-3 目的・事業内容

 シエラレオネの首都フリータウンにおいて国内唯一の小児専門病院である子ども病院をフリータウン市ジンガーホール地区から同市ラムリー地区に移転し、新たに施設建設及び機材整備を実施することにより、不足する一般外来患者の受入れ、緊急治療、集中治療等の小児医療サービスの質の向上を図り、もって同国の社会基盤の強化に寄与するもの。
 供与限度額は23.83億円。

1-4 環境社会配慮、外部要因リスクなど留意すべき点

  • (1)本計画は、JICA環境社会配慮ガイドライン(2010年4月制定)におけるカテゴリCであり、環境への望ましくない影響は最小限であると判断される。
  • (2)本計画の実施に先立ち、建設予定地の一部に位置する私設建設物の移設が実施されること。
  • (3)対象病院の効果的な運用及び維持管理を図るための体制が、シエラレオネ側において構築されること。

2 無償資金協力の必要性

2-1 必要性

  • (1)シエラレオネ(一人当たり国民総所得(GNI)490ドル)は、OECD開発援助委員会(DAC)の援助受取国リスト上、後発開発途上国に分類される。
  • (2)同国は、2000年半ばまで続いた11年間に及ぶ内戦や2014年-2015年に続いたエボラ出血熱の流行の結果、社会的・経済的基盤が弱体化した。復興から開発の段階に着実に進んでいるが、国連開発計画の人間開発指標(2019年)は、189か国中181位となっており、平均余命、妊産婦死亡率等の開発指標は深刻な状況である。
  • (3)同国政府では、「中期国家開発計画2019-2023」において、質の高い保健サービスへのアクセスを掲げ、「国家保健セクター戦略計画」及び「母子保健戦略2017-2021」において、母子保健サービスの質の向上を掲げているものの、同国は財源不足等により、中核病院の保健サービスの質が低くなっている。
  • (4)同国において、重篤小児患者は、首都フリータウンにある子ども病院(三次病院)で治療することとなっているが、施設の不足等により、一次・二次病院で対応すべき軽傷・中傷患者で満杯となっており、三次病院として対応すべき重篤患者の治療に専念できていない。また、同病院では施設・機材が不足・老朽化しているため、小児外科手術に十分に対応できないなど、小児専門病院としての医療サービスの質の改善が課題となっている。
  • (5)我が国は、対シエラレオネ国別開発協力方針(2019年4月)において、社会基盤の強化(ア 保健・栄養、イ 教育・職業訓練・行政能力強化)を重点分野の一つに掲げており、本計画は同方針に合致するとともに、SDGsゴール3(すべての人々に健康と福祉を)に貢献すると考えられる。また、我が国は、2019年8月に開催したTICAD7において、「UHC拡大とアフリカ健康構想」を表明しており、本計画はこれを具体化するものである。
  • (6)同国は、各種国際会議等においても我が国と協力しており、二国間関係の強化の観点からも本計画を通じた支援は重要である。

2-2 効率性

  • (1)必要性及び施工効率を勘案し、シエラレオネ政府とも調整の上、本計画の規模の絞り込みを行った。
  • (2)新設施設及び機材に関しては複数案を検討し、用地取得・建設費・維持管理費等の観点及び持続的かつ効率的な運用・維持管理を行う上で最も合理的な計画を採用した。

2-3 有効性

 本計画の実施により、同病院における2018年基準値と事業完成3年後の2025年の目標値を比べて、主に以下のような効果が期待される。

  • (1)定量的効果:三次病院としての機能が強化され、ア 画像診断件数が1,200件/年から1,600件/年に増加、イ 外科専門手術の例数が375件から460件に増加する。また、ウ 現状実施されていない生理機能検査が年間1,760件実施可能となる。さらに、エ 小児専門外来受診者数が430人/年から550人/年に増加する。
  • (2)定性的効果:子ども病院と二次病院におけるリファラル(患者の紹介・搬送)の連携が強化される。

3 事前評価に用いた資料及び有識者等の知見の活用等

  • (1)シエラレオネ政府からの要請書
  • (2)JICA協力準備調査報告書(JICAを通じて入手可能)
ODA(政府開発援助)
ODAとは?
広報・イベント
国別・地域別の取組
SDGs・分野別の取組
ODAの政策を知りたい
ODA関連資料
皆様の御意見
政策評価法に基づく事前・事後評価へ戻る