ODA(政府開発援助)

令和3年3月30日

評価年月日:令和3年3月23日
評価責任者:国別開発協力第二課長 秋山 麻里

1 案件概要

(1)供与国名

 インド

(2)案件名

 ラジャスタン州地方給水・フッ素症対策計画(フェーズ2)

(3)目的・事業内容

 インド北西部のラジャスタン州北東部及び西部の2県において、上水道施設の整備を行うとともに、フッ素症対策を含む安全な水の利用と管理に係る給水衛生組合等の組織能力強化及び住民への啓発活動を行うことにより、同地域の住民等に対し安定的に清潔な水の供給を図り、もって住民の生活利便性の向上、衛生改善及び健康増進に資することにより、持続的で包摂的な成長への支援に寄与するものである。

  • ア 主要事業内容
    • (ア)上水道施設の建設:取水施設(2か所)、導水管(約25キロメートル)、浄水場(2か所計約103,000立法メートル/日)、ポンプ場(約60か所)、幹線送水管路(約550キロメートル)、送水管(約2,200キロメートル)、高架配水池(約350か所)、配水本管(約4,200キロメートル)、村落配水管網(約20,000キロメートル)、給水管(約40万戸)等
    • (イ)NGOによるコミュニティ組織能力強化及び啓発活動:村単位の給水衛生組合の組成支援及び組織強化、戸別接続利用の促進、フッ素症対策等衛生改善及び健康問題に関連する上水道利用に係る啓発活動、ジェンダーに係る啓発活動、各種調査、広報活動
    • (ウ)コンサルティング・サービス:基本設計、入札補助、施工監理、実施機関の組織能力強化、NGOによるコミュニティ組織能力強化及び啓発活動における計画策定・活動補助・分析等
  • イ 供与条件
供与限度額 金利 償還(うち据置)期間 調達条件
458.16億円 1.15% 30(10)年 アンタイド

 (注)コンサルティング・サービス部分は金利0.01%を適用。

(4)環境社会配慮、外部要因リスクなど留意すべき点

EIA(環境影響評価)
 本計画は、「国際協力機構環境社会配慮ガイドライン」(2010年4月制定)(以下、「JICAガイドライン」という。)に掲げる影響を及ぼしやすいセクター・特性及び影響を受けやすい地域に該当せず、環境への望ましくない影響は重大でないと判断されるため、カテゴリBに該当する。
用地取得及び住民移転
 本計画では、約0.16ヘクタールの用地取得を伴うため、インド国内手続き及びJICAガイドラインに沿って作成された計画に基づき、取得が行われる予定である。現時点で用地取得に対し住民からの反対意見はなく、用地取得の方針に対する同意を確認している。なお、用地取得による住民移転は伴わない。
外部要因リスク
 新型コロナウイルス感染症拡大の影響が生じうる可能性があることから、その対策として、実施機関が案件形成時及び案件実施時に取り組むべき全36項目の対策リストに合意済みである。

2 資金協力案件の評価

(1)必要性

開発ニーズ
 インドでは人口増加や経済発展等に伴う上水需要の増加に対し、水源開発及び上水道整備が追いついていない。同国国内の地方部では、パイプ給水を受けることのできる世帯の割合が約32%(2020年)に留まり、上水道整備が特に遅れている地方部での対策が喫緊の課題となっている。
 こうした中、同国政府は、インド水資源省(2019年より水省(Ministry of Jal Shakti)に統合)が2012年に策定した国家水政策(National Water Policy)において「インド全人口に対する飲料水へのアクセス確立」を目標に掲げ、全国で上水道施設の整備を進めている。また、農村開発省飲料水衛生局(2019年より水省に統合)は、2009年に「国家地方飲料水プログラム(National Rural Drinking Water Program)」を立ち上げ、地方部の全住民への安全かつ十分な飲料水の供給を目指して水源開発及び上水道施設の整備を進めている。さらに、2019年5月に発足した第二次モディ政権は、「国家地方飲料水プログラム」を再編する形で「水生活ミッション(Jal Jeevan Mission)」を立ち上げ、2024年までに同国の全世帯に対しパイプ給水を行うことを目標としているほか、国内の水資源や水供給を一元的に管理するため、複数の省が担っていた水資源に関する部局をまとめる形で水省を新設した。
 ラジャスタン州の地方部におけるパイプ給水の割合は、約17%(2020年)と同国地方部全体の約32%と比較しても非常に低い。また、地下水の過剰取水等により地下水位が低下しているほか、州内各地でフッ素による地下水汚染症が確認されている。さらに、赤痢、コレラ等の水系感染症の発症も2016年に約100万件報告されるなど、安全で安定的な上水道サービスの確保は重要な課題となっている。
我が国の基本政策との関係
 インドの人口の約3割が依然として貧困状態にあること、電力及び運輸等の経済インフラが絶対的に不足していることなどの開発ニーズを踏まえ、2016年3月に策定された「対インド国別援助方針」においては、今後の対インドODAの重点目標の1つとして「持続的で包摂的な成長への支援」を掲げて、基礎的社会サービス(保健、衛生及び上下水道を含む)の整備等の支援を重視しており、本計画は同方針に合致するものである。
 また、両国は「日印特別戦略的グローバル・パートナーシップ」の下で関係強化を着実に進めており、円借款を始めとするODAを通じて、経済・社会開発を進める同国の取組を支援することは、こうした二国間関係の更なる強化にもつながり、外交政策上の意義が高い。

(2)効率性

 本計画においては、導水管から浄水場、送水管から各村内の入口に至るまでの配水管網について、施設の設計・建設から供用後11年間の運営維持管理を同じコントラクターが一貫して実施し、実施機関が監理を行う。また、各村内の上水道施設の運営維持管理については、給水が実施される配水対象地域の各村に設立される住民組織である給水衛生組合が接続料徴収や水道料金の回収管理を行う体制となっている。

(3)有効性

 本計画の実施により、事業完成2年後(2030年)には、以下のような成果が期待される。

  • ア 定量的効果
    • (ア)新規に建設される上水道設備における1日当たりの平均給水量:47,500立法メートル(ジューンジュヌ県)、81,500立法メートル(バールメール県)
    • (イ)上水道設備の新規建設に伴う各家庭の蛇口における残留塩素濃度の水質適合率:100%
    • (ウ)上水道設備の新規建設に伴う給水衛生組合組成数:270(ジューンジュヌ県)、845(バールメール県)
    • (エ)給水衛生組合における女性の比率:50%
    • (オ)戸別接続数:108,900(ジューンジュヌ県)、228,600(バールメール県)
  • イ 定性的効果
     安定的な上水の供給、住民の健康状態と生活環境の改善、実施機関及び給水衛生組合の運営・維持管理能力の向上、女性の給水衛生組合への参加を通じた女性の社会参画の促進に寄与する。

3 事前評価に用いた資料、有識者等の知見の活用

 インド政府からの要請書、インド国別評価報告書(第三者評価/2017年度)JICAガイドライン別ウィンドウで開く、その他JICAから提出された資料。
 本計画に関する情報は、交換公文締結後に公表される外務省の約束状況に関する資料及び案件概要借款契約締結後公表されるJICAのプレスリリース別ウィンドウで開く及び事業事前評価表別ウィンドウで開くを参照。
 なお、本計画に関する事後評価は、実施機関であるJICAが行う予定。

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