ODA(政府開発援助)

令和3年3月30日

評価年月日:令和3年3月23日
評価責任者:国別開発協力第二課長 秋山 麻里

1 案件概要

(1)供与国名

 インド

(2)案件名

 全インド医科大学マドゥライ校整備計画

(3)目的・事業内容

 インド南部のタミル・ナド州マドゥライ市において、高度な医療を提供しつつ医療人材を育成する全インド医科大学マドゥライ校の病院施設と大学施設を整備し、また、病院運営及び人材育成体制の強化等を支援することにより、感染症対策を含む医療サービスの質の改善、医療人材の育成及び供給体制の強化を図り、もって同州の保健医療体制の強化とユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)の実現に資することにより持続的で包摂的な成長への支援に寄与するものである。

  • ア 主要事業内容
    • (ア)病院施設(約900病床、うち新型コロナウイルス感染症を含む感染症専用は約150病床)・大学施設(生徒総数約1,500人)建設、医療機材・研修機材等整備及び運用保守サービス
    • (イ)コンサルティング・サービス(詳細設計、入札補助、施工監理、病院運営・人材育成及び体制強化、地域医療体制強化、日印医療界交流促進、環境社会配慮支援等)
  • イ 供与条件
供与限度額 金利 償還(うち据置)期間 調達条件
227.88億円 0.95% 30(10)年 アンタイド

 (注)コンサルティング・サービス部分は金利0.01%を適用。

(4)環境社会配慮、外部要因リスクなど留意すべき点

EIA(環境影響評価)
 本計画は、「国際協力機構環境社会配慮ガイドライン」(2010年4月制定)(以下、「JICAガイドライン」という。)に掲げる影響を及ぼしやすいセクター・特性及び影響を受けやすい地域に該当せず、環境への望ましくない影響は重大でないと判断されるため、カテゴリBに該当する。
用地取得及び住民移転:特になし。
外部要因リスク
 新型コロナウイルス感染症拡大の影響が生じうる可能性があることから、その対策として、実施機関が案件形成時及び案件実施時に取り組むべき全36項目の対策リストに合意済みである。

2 資金協力案件の評価

(1)必要性

開発ニーズ
 インドでは、医療人材の不足が深刻であり、この背景の一つに医療教育研究機関の不足が挙げられる。同国全土における医療人材不足は、民間医療機関に比べて相対的に報酬の低い公的医療機関、特に一次・二次医療機関への医師の配置が劣後する環境を生み出し、深刻となっており、貧困層も含む一般の国民に対して十分な質の医療サービスを提供する上で、医療人材の確保は喫緊の課題となっている。
 こうした中、同国政府は「首相保健安全プログラム(Pradhan Mantri Swasthya Suraksha Yojana ; PMSSY)」を2003年に開始し、公的高度医療サービスへのアクセス及び質の改善、地域間格差是正、また、世界水準の医科大学・教育機関の増設を目標に掲げ、その具体的な取組の中核として医療アクセスが限られた地域を選定して「全インド医科大学(All India Institute of Medical Sciences ; AIIMS」の建設を全国で順次進めている。
 タミル・ナド州の第二の都市であるマドゥライ市においては、公的な三次医療機関が一つしか存在せず、常時病床占有率が95%を超えるなど、常に飽和状態となっているほか、同州における医療従事者数は、1,000人当たり2.2人とWHOの推奨する基準(1,000人当たり4.5人)(WHO、2016)の半数にも満たない深刻な医療従事者不足の状況であり、かかる状況などを踏まえて、PMSSYによるAIIMSの新設が予定されている。
我が国の基本政策との関係
 インドの人口の約3割が依然として貧困状態にあること、電力及び運輸等の経済インフラが絶対的に不足していることなどの開発ニーズを踏まえ、2016年3月に策定された「対インド国別援助方針」においては、今後の対インドODAの重点目標の1つとして、「持続的で包摂的な成長への支援」を掲げて、基礎的社会サービス(保健、衛生及び上下水道を含む)の整備等の支援を重視しており、本計画は同方針に合致するものである。
 また、両国は「日印特別戦略的グローバル・パートナーシップ」の下で関係強化を着実に進めており、円借款を始めとするODAを通じて、経済・社会開発を進める同国の取組を支援することは、こうした二国間関係の更なる強化にもつながり、外交政策上の意義が高い。

(2)効率性

 本計画では、施工監理段階で雇用されるコンサルタントによるコンサルティング・サービスの一環として、病院職員の運営・維持管理能力及び適切な医療機材の選定支援、正しい運用・維持管理に関する詳細なメンテナンス計画の策定及び関連の研修を実施する予定である。さらに、リファラル体制を含む地域医療との連携に係る体制整備についても本計画のコンサルティング・サービス等を通じ支援していく。

(3)有効性

 本計画の実施により、事業完成2年後(2028年)には、以下のような成果が期待される。

  • ア 定量的効果
    • (ア)新たに建設される病院施設において、入院患者数116人/日、外来患者数5,000人/日及び緊急患者数48人/日の対応が可能となる。
    • (イ)新たに建設される大学施設において、医学生150人/年及び看護大学生150人/年の入学受入れが可能となる。
  • イ 定性的効果
    タミル・ナド州における非感染症及び新型コロナウイルス感染症を含む感染症に対する医療体制強化及び医療人材の育成を通じたユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)の進展、同地域における先端医療研究及び人材育成の拠点的機能の強化、並びに医師、看護師の教育体制強化による、女性を含む若年層の雇用機会の拡大に寄与する。

3 事前評価に用いた資料、有識者等の知見の活用

 インド政府からの要請書、インド国別評価報告書(第三者評価/2017年度)JICAガイドライン別ウィンドウで開く、その他JICAより提出された資料。
 本計画に関する情報は、交換公文締結後に公表される外務省の約束状況に関する資料及び案件概要借款契約締結後公表されるJICAのプレスリリース別ウィンドウで開く及び事業事前評価表別ウィンドウで開くを参照。
 なお、本計画に関する事後評価は、実施機関であるJICAが行う予定。

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