ODA(政府開発援助)
政策評価法に基づく事前評価書
令和元年7月12日
評価年月日:令和元年6月5日
評価責任者:国別開発協力第三課長 井関 至康
1 案件名
1-1 供与国名
ギニア共和国(以下「ギニア」という。)
1-2 案件名
国道三号線スンバ橋架け替え計画
1-3 目的・事業内容
老朽化により落橋の危険性があり,かつ,十分な幅員が確保されていないスンバ橋の架け替えを行うことにより,首都コナクリから北部の近隣諸国に通じる国道三号線の円滑な物流の維持・促進を図り,もってギニアの経済インフラの整備及び西アフリカ域内の連結性向上に寄与する。供与限度額は14.14億円。
1-4 環境社会配慮,外部要因リスクなど留意すべき点
本計画は,JICA環境社会配慮ガイドライン(2010年4月制定)におけるカテゴリBであり,環境への望ましくない影響は最小限と判断される。
2 無償資金協力の必要性
2-1 必要性
- (1)ギニア(一人当たり国民総所得820ドル)は,OECD開発援助委員会(DAC)の援助受取国リスト上,後発開発途上国(LDC)((注)2018年度版開発協力白書図表I-7より)に分類される。
- (2)同国は,豊富な雨量と肥沃な土壌に加え,海や河川などの水資源を有しており,農業や水産業の開発潜在力は高い。また,世界の埋蔵量の3分の1を占めるボーキサイトを始め,鉄,金及びダイアモンド等の天然資源を有している。しかし,ガバナンスの脆弱性やインフラ整備の遅れ,人材不足等のため,依然としてLDCに位置しているが,こうした問題を解決できれば,大きな発展が期待できる。
- (3)ギニアの道路総延長は約43,000キロメートルであり,うち国道は7,625キロメートルである。1958年の独立後も十分な整備が行われなかったため,都市間道路の整備の遅れ,都市への人口集中を背景にした都市部・郊外における交通渋滞などの問題を抱えている。そのため,同国では,経済・社会開発国家計画(Plan National de Developpment Economique et Social 2016-2020)において,国土開発のためのインフラ整備を優先課題としている。
- (4)国道三号線は,国連アフリカ経済委員会が推進しているアフリカ全土を網羅し経済開発を促進することを目的としたトランスアフリカンハイウェイのダカール-ラゴス間を構成し,北部の近隣諸国につながる幹線道路であり,西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)域内の国際回廊の一部となっている。
- (5)本計画の対象となるスンバ橋は建設後50年以上経過しており,劣化・損傷が著しくかつ耐荷重不足により落橋の危険性があるため低速走行を余儀なくされている。また,日交通量が4,000台の状況の中,幅員が狭く,一車線通行であるため,通過待ち車両による渋滞が発生し物流のボトルネックとなっている。さらに,歩道がないため歩行者の交通事故の危険性が増大しており,本計画を実施する必要性は高い。
- (6)我が国は,対ギニア国別開発援助方針において,経済インフラの整備を支援することとしており,本計画は同方針に合致する。また,我が国は,第6回アフリカ開発会議(TICAD VI)において,アフリカにおける質の高いインフラ投資を支援することを表明しており,本計画はこれを具体化するものである。さらに,SDGsゴール9(産業と技術革新の基礎をつくる)にも貢献すると考えられることから,本計画の実施を支援する必要性は高い。
- (7)同国は,国際社会において基本的に我が国の立場を支持する友好国であり,二国間関係の維持・発展の観点からも同国への支援は重要である。
2-2 効率性
- (1)ギニア政府の要請を踏まえつつ,現地調査による支援対象の絞り込みを実施し,必要かつ適切な規模とした。
- (2)橋の上部工形式について,コスト面に優位のある形式を選定した。また,盛土材や砕石について,ギニア側から資材提供を受けることで,コスト削減を図った。
2-3 有効性
本計画の実施により,2017年基準値と事業完成3年後の2025年の目標値を比べて,主に以下のような効果が期待される。
- (1)対象橋を通行する車両の年平均日交通量が,4,039台から5,550台に増加する。
- (2)対象橋を通行する貨物車の年平均日交通量が,853台から1,150台に増加する。
- (3)対象橋の通過時間が,27秒から5秒に短縮される。
- (4)対象橋を通行する旅客数が,年間549万人から756万人に増加する。
- (5)対象橋を通過する貨物量が,年間68万トンから92万トンに増加する。
- (6)対象橋の安全性が向上することにより,安定的な物流・交通が確保される。
3 事前評価に用いた資料及び有識者等の知見の活用等
- (1)ギニア政府からの要請書
- (2)JICA協力準備調査報告書(JICAを通じて入手可能)