ODA(政府開発援助)

政策評価法に基づく事前評価書

平成28年6月8日

評価年月日:平成28年3月7日
評価責任者:国別開発協力第一課長 原 圭一

1 案件名

1-1 供与国名

ミャンマー連邦共和国

1-2 案件名

口蹄(てい)疫対策改善計画

1-3 目的・事業内容

 本計画は,ヤンゴン市の国立口蹄疫研究所において,口蹄疫診断・ワクチン製造に係る施設及び機材を整備することにより,同研究所の口蹄疫防疫対策能力を強化するとともに,ミャンマーにおける農畜産生産の安定化を図り,もって国民の生活向上に寄与することを目的としている。供与限度額は,14.17億円。

1-4 環境社会配慮,外部要因リスクなど留意すべき点

 以下の事項がミャンマー政府により実施される必要がある。

  • (1)既存建物等の撤去と整備,既存インフラの更新,インフラの引き込み(電気)等
  • (2)維持管理・運営のための予算及び人材の確保

2 無償資金協力の必要性

2-1 必要性

  • (1)ミャンマーは,労働人口の約60%が農業(畜水産・林業を含む)に従事しており,農業を主要産業とする地方部の貧困率は29%(都市部では15%)。ミャンマーの牛及び水牛の飼養頭数は約18百万頭とASEAN諸国の中で最も多く,役畜として耕起・運搬等に使われるほか,牛糞堆肥の利用や,輸出を含めた肉や乳製品の取引など,貧困率の高い地方部の農家の収入向上及び食料安全保障のために重要な役割を果たしている。
  • (2)ミャンマーでは数年おきに口蹄疫が大流行し,農業生産性や家畜輸出等に悪影響をもたらしている。しかし,ミャンマーでは口蹄疫に対する家畜疾病診断及びワクチン製造に必要な機材・施設の著しい老朽化により,診断能力,ワクチンの質・量のいずれにおいても不十分であり,口蹄疫が発生するたびに国民の6割にあたる農業従事者に深刻な経済的損失を与えている。
  • (3)本計画による口蹄疫診断・ワクチン製造に係る施設及び機材の整備により,口蹄疫防疫対策能力の強化が期待される。
  • (4)「農村開発・貧困緩和アクションプラン」(2011年)にて,「畜・水産セクター開発」は開発課題の一つに位置づけられており,口蹄疫を含む動物疾病の管理は政策として明示されており(畜産・水産セクター短期計画(2011~2015年)),口蹄疫対策国家計画の策定が進められている。また,我が国は対ミャンマー支援の重点分野として「国民の生活向上のための支援」を定めており,口蹄疫防疫対策能力強化を通じ,国民の多くが従事する農畜産生産の安定化を図る本計画は,これら方針に合致する。

2-2 効率性

 本計画の円滑な実施及び維持管理のため,本計画では一定量のスペアパーツを供与機材に含め,ソフトコンポーネントとして適切な機材使用と維持管理のための初期技術指導を行う。また技術協力プロジェクトによる実施機関の能力向上支援を検討する。

2-3 有効性

 本計画の実施により,以下のような成果が期待される。

基準年(2013年実績値)→目標値(2021年:事業完成3年後)

  • (1)口蹄疫ワクチン製造量:25万ドーズ/年→100万ドーズ/年
  • (2)口蹄疫診断件数:1,755(検体/年)→4,000(検体/年)
  • (3)口蹄疫診断精度の向上(診断可能な血清型の種類):0→7(注:口蹄疫は,相互にワクチン効果の認められない7種類の血清型及び各血清型の下に地域型がある)

3 事前評価に用いた資料及び有識者等の知見の活用等

  • (1)ミャンマー連邦共和国政府からの要請書
  • (2)JICAの事業化調査報告書(JICAを通じて入手可能)