ODA(政府開発援助)
政策評価法に基づく事前評価書
評価年月日:平成28年3月14日
評価責任者:国別開発協力第一課長 原 圭一
1 案件概要
(1)供与国名
ベトナム社会主義共和国
(2)案件名
第二期ホーチミン市水環境改善計画(第三期)
(3)目的・事業内容
ホーチミン市の排水・下水道システムの整備を行うことにより,浸水被害の軽減及び汚水処理能力の向上を図り,もって同市の都市・生活衛生環境の改善に寄与するもの。
- ア 主要事業内容
- 土木工事
- コンサルティング・サービス
- イ 供与条件
供与限度額 金利 償還(据置)期間 調達条件 209.67億円 年0.3% 40(10)年 一般アンタイド (注)コンサルティング・サービス部分は金利0.01%を適用。
(4)環境社会配慮,外部要因リスクなど留意すべき点
- ア 環境影響評価(EIA)
本計画は「環境社会配慮確認のための国際協力銀行ガイドライン」(2002年4月公布)に掲げる影響を及ぼしやすい特性に該当するため,カテゴリーAに該当する。また,本計画に係る環境影響評価(EIA)報告書は2005年10月及び2005年12月にホーチミン市天然資源環境局により承認済み。
- イ 用地取得及び住民移転
192世帯の住民移転,約2万平方メートルの用地取得を伴い,同国国内手続きに沿って移転及び取得が進められ,2015年7月に終了した。
- ウ 外部要因リスク
特になし。
2 資金協力案件の評価
(1)必要性
- ア 開発ニーズ
ベトナムは工業化及び都市部への人口集中に伴い,都市部の産業廃水及び生活排水が増大する一方,下水道システムの整備が進んでおらず,汚水が直接河川に放流されているため水環境汚染が深刻である。ホーチミン周辺を流れる河川の水質は,家庭用取水源の水域に適用される国家地表水水質を満たしていない。
1999年にJICAにより実施された「ホーチミン市都市排水下水整備計画開発調査」を通じてまとめた計画は同市の排水・下水セクターの上位計画として位置付けられ,特に本事業の対象地域は優先地域とされている。 - イ 我が国の基本政策との関係
2012年12月に策定された対ベトナム社会主義共和国国別援助方針においては,「脆弱性への対応」を重点分野に掲げており,「急速な都市化・工業化に伴い顕在化している環境問題への対応」に係る支援に重点的に取り組むとしている。下水道・排水システムの整備を目的とする本計画は右方針に整合している。
(2)効率性
下水道維持管理や下水道経営能力の強化等に係る技術協力を通じて,下水道人材育成のための体制構築を図ることで,本計画の効率性を確保する。
(3)有効性
本計画の実施により,事業完成2年後の2021年にはホーチミン市水環境改善計画(I)で建設された処理場分と併せて汚水処理場能力が469,000立方メートル/日となる見込みである。それにより,浸水被害の軽減,及び汚水処理能力の向上を図り,もって同市の都市・生活衛生環境の改善を通じた脆弱性への対応に寄与する。
3 事前評価に用いた資料,有識者等の知見の活用
要請書,国際協力銀行環境社会配慮ガイドライン,ベトナム国別評価,その他国際協力機構より提出された資料。
案件に関する情報は,交換公文締結後公表される外務省の約束状況に関する資料及び案件概要,借款契約締結後公表される国際協力機構のプレスリリース及び事業事前評価表
を参照。
なお,本案件に関する事後評価は実施機関である国際協力機構が行う予定。