ODA(政府開発援助)
政策評価法に基づく事前評価書
平成28年5月12日
評価年月日:平成28年2月1日
評価責任者:国別開発協力第三課長 今福 孝男
1 案件名
1-1 供与国名
ウガンダ共和国
1-2 案件名
ウガンダ北部グル市内道路改修計画
1-3 目的・事業内容
本計画は,ウガンダ北部の拠点となっているグル市内の主要道路,道路排水施設及び附帯設備を整備することにより,円滑かつ安全な交通の確保と沿線住民の生活環境の改善を図り,もって同地域における平和構築に寄与するもの。供与限度額は,21億3,600万円。
1-4 環境社会配慮,外部要因リスクなど留意すべき点
- (1)本計画は,「国際協力機構環境社会配慮ガイドライン」に掲げる道路セクターのうち大規模なものに該当せず,環境への望ましくない影響は重大でないと判断され,かつ,同ガイドラインに掲げる影響を及ぼしやすい特性及び影響を受けやすい地域に該当しないため,カテゴリBに分類される。
- (2)以下の事項がウガンダ政府により実施される必要がある。
- ア 本計画工事着工前に用地取得・住民移転・埋設物(上下水道や光ファイバー等)の移設
- イ 道路の維持管理に必要な予算措置
- (3)ウガンダ国内の情勢安定に関する前提条件は以下のとおり。
- ア 内戦終結後の平和と復興の進展状況が急変しないこと。
- イ 南スーダン難民受け入れにより社会・経済の安定性が損なわれることがないこと。
2 無償資金協力の必要性
2-1 必要性
- (1)ウガンダ北部のグル市は,1980年代から約20年にわたり続いた内戦終結後の復興支援の拠点であるとともに,北部回廊の通過都市となっており,近年は南スーダンの平和構築に向けた経済・交通の要衝となっている。特に,2013年12月以降,南スーダン情勢の急変を受けて,同市周辺には南スーダン国境から難民が急激に流入しており,推計13万人に上るウガンダ全体への難民流入による負荷を支える上で,同市の生活・経済基盤の安定化は急務となっている。
- (2)ウガンダ政府は,第2次北部復興開発計画に基づき,グル市を拠点としてウガンダ北部の復興事業を推進しているが,内戦の間,道路の整備・維持管理が十分でなかったことから,市内の多くの箇所で舗装の剥離や路肩の崩壊等が発生している。さらに,車両は劣化部を避けて走行するほか,雨期を中心に浸水が発生することなどから,路面や路肩が更に損傷し,円滑・安全に走行できる舗装区間はほとんど失われており,市民生活はもとより,復興の拠点としての機能にも支障が生じている。
- (3)このため,同市では厳しい予算状況の中,道路整備費用を捻出し,応急的な修繕に努めているものの,広範囲かつ重度の劣化の抜本的改善には至っていない。
- (4)かかる状況を踏まえ,ウガンダ政府は我が国に対して,グル市において劣化の激しい市内道路の改修や排水設備等の整備に対する支援を要請したものである。
- (5)本計画は,我が国の対ウガンダ援助重点分野「北部地域における平和構築」の協力プログラム「北部地域復興支援」に位置付けられるとともに,2013年にTICAD Vにおいて表明した「インフラ整備分野における6,500億円の公的資金投入」に沿った案件である。
2-2 効率性
本計画の実施に当たっては,整備対象路線の維持管理を所掌するグル市技術部に対し,道路維持管理に係る技術移転を目的として,ソフトコンポーネントを通じて混合アスファルト塗装の維持管理手法に関する技術的指導を行うことにより,無償資金協力の開発効果を一層増大させる。
2-3 有効性
本件の実施により,以下のような成果が期待される。
- (1)基準値(2014年実績値)から目標値(2021年:事業完成3年後)への推移として,平坦性(IRI)については平均値6.23m/kmから平均値3.00m/km以下に,年間交通事故数については26件から13件以下に,年間通行不能時間については7日から0日になると見込まれる。
※本計画は,路面表示や標識,ラウンドアバウト交差点の整備等の交通安全対策を含む。 - (2)技術指導等を通じて,整備対象路線の維持管理を所掌するグル市技術部への技術移転を行い,引渡し後の適正な維持管理ができるよう能力向上に寄与する。
- (3)グル市の経済活動の活性化及び市民生活の改善とともに,南スーダン国境からの難民流入への対応を含め,ウガンダ北部地域全体の平和と安定の促進に貢献する。
3 事前評価に用いた資料及び有識者等の知見の活用等
- (1)ウガンダ政府からの要請書
- (2)JICAの協力準備調査報告書