ODA(政府開発援助)

平成28年5月2日

評価年月日:平成28年3月3日
評価責任者:国別開発協力第三課長 今福 孝男

1 案件名

1-1 供与国名

トーゴ共和国

1-2 案件名

ロメ漁港整備計画

1-3 目的・事業内容

 本計画は,トーゴ唯一の漁港であるロメ漁港を近接地へ移転・整備することにより,漁港機能と漁業関係者の就労機会の維持・継続,漁港内の混雑解消及び安全確保,水産物の衛生状況や流通体制の改善を図り,もって持続的経済成長の促進及び貧困削減・格差是正に寄与する。供与限度額は27.94億円である。

1-4 環境社会配慮,外部要因リスクなど留意すべき点

  • (1)環境社会配慮カテゴリ-分類はBであり,自然条件への望ましくない影響は最小限である。
  • (2)ロメ自治港(PAL)により,JICA環境社会配慮ガイドラインに則ったプロジェクトサイトの住民移転と整地,電気・水道の引き込みが行われる。
  • (3)インフラ・交通省(MIT)により,事業関連施設等の建築許可が下りる。

2 無償資金協力の必要性

2-1 必要性

  • (1)トーゴは,内水面を含め年間約25,000トンの水産物生産量を有するが,自給率は約40%に留まっており,年間約37,000トンの水産物を輸入していることから,貿易赤字の一因となっている。同国の第二次貧困削減戦略文書「経済成長加速化と雇用促進のための戦略(SCAPE/2013年から2017年)」では,農業及び水産業を成長のためのポテンシャル産業として位置付けており,自給率向上とともに,欧米及び日本市場向け輸出の促進を目標として掲げている。
  • (2)ロメ漁港は,国内唯一の漁港であり海面漁業による水揚量の7割を担っていたが,ニャシンベ大統領主導による「港湾立国」政策の推進に向け,2011年から隣接する商業港の拡張が開始され,漁港は全面移転を求められている。同国政府が移転のための調査を行ったが,資金不足により現在まで移転には至っていない。
  • (3)2015年時点で,既存漁港の範囲は2011年以前の3分の1程度となり,機能縮小を強いられるとともに,漁船の密集による接触・破損事故等の安全上の問題も生じている。また,既存漁港は港内の水揚・荷捌スペースへの車両等の乗り入れが困難になっているほか,排水機能の不備,水産物を扱う資機材の汚れ及び衛生検査機材の欠如等の問題がある。以上の事由により,安全かつ適正規模の漁港整備が急務となっているところ,同国政府は我が国に対し,漁港移設及び漁港機能の回復・拡充を要請した。
  • (4)我が国は,開発計画調査型技術協力「トーゴロジスティクス回廊開発・整備計画策定調査」(2012年から2013年)において,トーゴ回廊全体の分析を行うとともに,同回廊の効率的・効果的な開発のためのマスタープランを策定した。本計画は,同調査において最優先で取り組むべき計画の一つとして提言されているものであり,TICAD V横浜行動計画で示された「成長回廊整備」にも資するものである。
  • (5)また,トーゴは水産分野において我が国と重要な協力関係にあり,我が国は,トーゴを水産外交上重要な国のひとつとして位置付けている。

2-2 効率性

  • (1)2012年から2013年実施の開発計画調査型技術協力「トーゴロジステック回廊開発・整備計画策定調査」の調査結果を基に実施する。
  • (2)水理模型実験の実施により海洋土木の仕様検討を進めた結果,長周期波の影響を抑え,防波堤の強度維持と港内の静穏度を確保するための見直しを行ったため,事業規模が増加したものの,右を受け,陸上施設については必要最低限のコンポーネントに縮減することでコスト縮減を図った。

2-3 有効性

 本件の実施により,以下のような成果が期待される。

  • (1)漁港縮小の影響が生じないため,本計画完了3年後の2021年も,泊地利用零細漁船数(178隻(2014年9月))及び施設利用者数(3,000人(2014年9月))を維持できる。
  • (2)混雑解消及び他船や施設との接近・衝突回避により,漁港内の安全が確保され,水産施設及び水産物の衛生状況や流通体制が改善される。
  • (3)品質管理機関の常駐及び検査資機材整備により,品質管理体制が改善される。
  • (4)統計事務所の設置により,水産物に関連する統計資料の整備や政策への反映が可能となる。

3 事前評価に用いた資料及び有識者等の知見の活用等

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