ODA(政府開発援助)

政策評価法に基づく事前評価書

平成28年4月7日

評価年月日:平成28年3月31日
評価責任者:国別開発協力第二課長 田中 秀治

1 案件概要

(1)供与国名

インド

(2)案件名

オディシャ州総合衛生改善計画(第二期)

(3)目的・事業内容

 インド東部オディシャ州ブバネシュワール市及びカタック市において,下水道施設・雨水排水施設を整備することにより,安定的な下水道サービスの提供及び雨水排水の改善を図り,もって同地域の住民の衛生・生活環境の改善を通じて貧困・環境問題の改善に寄与するものである。

  • ア 主要事業内容
    • (ア)下水道施設:下水処理場,ポンプ場,下水管の建設等
    • (イ)雨水排水施設(カタック市):排水路の建設・改修,ポンプ場の建設,水門の改修
    • (ウ)社会開発:公衆トイレの建設,スラムにおける衛生環境改善,住民啓発活動等
    • (エ)コンサルティング・サービス
  • イ 供与条件
    供与限度額 金利 償還(うち据置)期間 調達条件
    257.96億円 0.3% 40(10)年 一般アンタイド

    (注)コンサルティング・サービス部分は金利0.01%を適用。

  • (4)環境社会配慮,外部要因リスクなど留意すべき点

    • ア EIA(環境影響評価)
       本計画は,「国際協力機構環境社会配慮ガイドライン」(2010年4月公布)に掲げるカテゴリBに該当する。本計画はインド国内法上、環境影響評価(EIA)報告書の作成が義務付けられていない。なお、下水道施設からの排水基準、処理場の設計に関してオディシャ州公害管理局(Odisha State Pollution Control Board)からクリアランスを取得済み。
    • イ 用地取得及び住民移転
       本計画では,下水処理場及びポンプ場建設のため約107.7エーカーの用地取得が必要であるが,うち106.7エーカーはJBICガイドライン,同国国内法及び実施機関が定める補償方針に従い,既に取得済み。残り1.0エーカーについても,同手続きに従って進められる。なお,住民移転を伴わない。
    • ウ 外部要因リスク:特になし。

    2 資金協力案件の評価

    (1)必要性

    • ア 開発ニーズ
       インドでは,都市部への急激な人口増加や工業化に伴う上水需要の増加により,下水の排出量が増大している。一方,現状の下水処理施設の処理能力では汚水発生量の30%程度(2009年)しか処理できておらず,衛生施設へのアクセス率も36%(2012 年)と低い。その結果,河川や土壌,地下水の水質汚濁等の問題を招いており,地域住民の衛生・生活環境が脅かされている。また,下水道サービスを担う事業体は,低い戸別接続率,低い料金徴収率,人材不足等,運営・維持管理の面での技術的・財務的な課題を抱えている。
       インド政府は,国家衛生政策(2008 年)及び第12 次5か年計画(2012 年4 月~2017 年3 月)において,都市部全人口への下水・衛生施設の提供を政策目標として掲げている。インド東部オディシャ州は貧困率が国内で最も高い州の一つ(57.2%,2005年)であり,ブバネシュワール市はその州都であるが,人口の急増に対して下水道施設の整備が追いついていないため,地域住民の衛生環境の悪化及び周辺河川の水質汚濁を招いている。ブバネシュワール市から25km北に位置するカタック市は,1949年のブバネシュワール市への遷都まで州都として栄えた古都であり,現在も州内の商業活動の中心であるが,マハナディ川・カタジョリ川の中州に位置し,雨水排水施設が不十分であるため,雨期には市内の低地が冠水している。また,人口の急増に対して下水道施設の整備が追いついていないため,地域住民の衛生環境の悪化及び両河川の水質汚濁を招いている。衛生環境改善及び河川の水質保全のために,下水道施設の整備が必要とされている。
       このため,本計画を実施することは,インド東部オディシャ州ブバネシュワール市及びカタック市において,下水道施設・雨水排水施設を整備することにより,安定的な下水道サービスの提供及び雨水排水の改善を図り,もって同地域の住民の衛生・生活環境の改善を通じて貧困・環境問題の改善に寄与するものであり,インドの開発政策とも高い整合性を有しており,本計画のニーズは大きい。
    • イ 我が国の基本政策との関係
       2006年5月に策定された「対インド国別援助計画」においては,対インドODAの重点目標として,(a)経済成長の促進,(b)貧困・環境問題の改善及び(c)人材育成・交流拡大を掲げている。本計画は,保健・衛生及び上下水道の整備という観点からインドの貧困・環境問題の改善に資する案件として,上記(b)に合致するものである。

    (2)効率性

     本計画においては,コンサルティング・サービスの支援を通じて住民の支払い意思額・能力を把握した上で,適切な料金体系を策定する他,必要な法制度の整備や下水管の個別接続推進のため市民に対する広報・啓発活動等を実施する予定となっている。

    (3)有効性

     本計画の実施により,安定的な下水道サービスの提供及び雨水排水の改善を図り,もって同地域の住民の衛生・生活環境の改善を通じて貧困・環境問題の改善に寄与することが期待される。運用・効果指標(いずれも事業完成2年後(2020年)見込み)として,汚水処理人口(ブバネシュワール市:26万人,カタック市:38.7万人),汚水処理量(ブバネシュワール市:2.88万m3/日,カタック市:4.25万m3/日),汚水処理施設利用率(ブバネシュワール市:60%,カタック市:50%)等を設定している。

    3 事前評価に用いた資料,有識者等の知見の活用

     要請書,インド国別評価報告書国際協力機構環境社会配慮ガイドライン別ウィンドウで開く,その他国際協力機構から提出された資料。
     案件に関する情報は,交換公文締結後に公表される外務省の約束状況に関する資料及び案件概要,借款契約締結後公表される国際協力機構のプレスリリース別ウィンドウで開く及び事業事前評価表別ウィンドウで開くを参照。
     なお,本案件に関する事後評価は実施機関である国際協力機構が行う予定。(了)