ODA(政府開発援助)

令和5年11月21日

評価年月日:令和5年9月8日
評価責任者:国別開発協力第三課長 井土 和志

1 案件名

1-1 供与国名

 トーゴ共和国(以下、「トーゴ」という。)

1-2 案件名

 ソコデ市バイパス道路建設計画

1-3 目的・事業内容

 本計画は、国道1号線と17号線の分岐点があるソコデ市(トーゴ中部)において、同市街地を迂回するバイパス道路を建設することにより、ソコデ市街地の通過交通量の抑制及び国道17号線の利用促進を通じて市街地の渋滞発生の回避及び交通安全の強化並びに同国北部及び周辺国への交通・物流の円滑化を図り、もってトーゴの回廊開発を通じた持続的経済成長の促進と基礎的社会サービス強化を通じた貧困削減・格差是正に寄与する。
 供与限度額は、39.39億円。

1-4 環境社会配慮、外部要因リスクなど留意すべき点

 本計画は、「国際協力機構環境社会配慮ガイドライン」(2010年4月制定)に掲げるカテゴリBであり、道路セクターのうち大規模なものに該当せず、環境への望ましくない影響は重大でないと判断され、かつ、同ガイドラインに掲げる影響を及ぼしやすい特性及び影響しやすい地域に該当しない。

2 無償資金協力の必要性

2-1 必要性

  • (1)トーゴ(一人当たり国民総所得(GNI)990ドル)は、OECD開発援助委員会(DAC)の援助受取国リスト上、後発開発途上国に分類されている。
  • (2)トーゴは、海底が深い天然の良港であるロメ港を有し、南北に長い国土はブルキナファソ等の内陸国へつながるトーゴ・ロジスティックス回廊(以下、「トーゴ回廊」という。)を形成している。また、同国のロメ空港は近年、民間航空会社により西アフリカ、更に遠隔地を結ぶハブ空港として活用されつつあり、今後日本企業が西アフリカでビジネスを展開していく上で重要な拠点となりうる。
  • (3)トーゴの首都ロメからブルキナファソの首都ワガドゥグまでをつなぐトーゴ回廊は、周辺地域の他回廊と比べ距離が短く輸送費が安いという優位性等があり、また、警察・検問数を減らすといったトーゴ政府の取組により、同回廊を通じた輸送貨物は増加傾向にあり、近隣内陸国の物流の生命線となっている。こうした中、同国政府は、国家開発計画(PND2018-2022)及びロードマップ2025に基づき、回廊の開発及びそれに付随する成長産業の促進に取り組んでおり、他ドナーとともにトーゴ回廊の整備が進められている。
  • (4)トーゴ回廊は、主に同国を南北に縦断する国道1号線と、国道1号線上にある同国中部の都市ソコデから西に分岐して、北部で再度国道1号線に合流する国道17号線とで構成されている。国道1号線は、急カーブや急勾配の山岳道路区間が続き、大型トラック等の通過や雨期の洪水により路面の損傷が激しいため、ソコデ市から分岐する国道17号線が、国道1号線の代替道路としての機能を果たすことが期待されているが、未舗装区間及び未架橋区間が残っている。
  • (5)かかる状況から、他ドナー及び我が国は国道17号線の整備を実施しており、これら一連の整備事業をもって国道17号線が国道1号線の代替路線として機能する見込みであり、ソコデ市の通過交通量の増加も予想される。この国道17号線の分岐点はソコデ市の市街地に位置しており、国道17号線を利用する車両のソコデ市通過交通量(バイパス接続予定地点)は2021年時点の471台/日から、2041年には4,600台/日にまで増加する見込みであり、この内3,000台が貨物輸送を目的とした大型車両が占めることが予想されている。国道17号線事業の完成に伴い、ソコデ市内の渋滞に伴う物流の停滞や歩行者・二輪車との交通事故の増加等が懸念されており、これら課題への対応が喫緊に求められている。
  • (6)本計画は、バイパス道路の建設により、ソコデ市街地の渋滞回避と交通安全の強化とともにトーゴ回廊の交通・物流の円滑化を通じて、同国の開発課題の解決に資するものであり、SDGsゴール3「保健」、ゴール9「インフラ、産業化、イノベーション」及びゴール11「持続可能な都市」にも貢献する。また、我が国の対トーゴ国別開発協力方針(2019年9月)において、重点分野として「回廊開発」が定めているほか、本計画は、TICADプロセスにおいて我が国が支援を表明した三重点回廊のうちの一つである西アフリカ「成長の環」の実現に資するものであり、実施する必要性は高い。
  • (7)また、サヘル地域を中心に情勢不安の周辺国が多い中、トーゴでは近年、民主化が進展しており、西アフリカ及び国際社会の平和と発展に積極的な貢献を行っている。我が国とトーゴは、良好な二国間関係を背景に国際社会においても協力関係にあり、同国の開発ニーズ及び我が国の支援方針に合致し、西アフリカの経済的・政治的な安定強化にも資する本計画を実施することは、更なる二国間関係の強化の観点からも重要である。

2-2 効率性

 トーゴ政府の要請を踏まえつつ、現地調査による支援対象の絞り込みを実施し、必要かつ適切な規模とするとともに、事業費の妥当性を検討した。また、国道17号線との交差点形状は、大型重車両の発進停止による環境負荷が小さく、信号が不要でメンテナンス費用も小さい環境的に優れたラウンドアバウト交差点とした。

2-3 有効性

 本計画の実施により、2021年の実績値を基準値として事業完成3年後の2029年の目標値を比べて、以下のような成果が期待される。

  • (1)定量的効果
    • ア バイパスの1日当たり交通量が、1,400台となる。
    • イ ソコデ市街地のピーク時の所要通過時間が、24分から13分に減少する。
    • ウ ソコデ市街地の国道1号線の1日当たり大型車交通量が、900台から400台に減少する。
    • エ バイパスを利用する年間貨物量が、11,023,000トンとなる。
    • オ バイパスを利用する年間旅客数が、1,241,000人となる。
  • (2)定性的効果
    • ア トーゴ国内及び周辺国への旅客輸送や物流の定時制確保、住民及びトーゴ回廊利用者の交通の利便性向上、ソコデ市内の一般車両、オートバイ、及び歩行者等の交通弱者の安全性向上を通じた交通事故の減少。
    • イ ソコデ市街地内の交通量減少、住民の生活圏移動の円滑化、市街地における安全な活動及び行動の活性化。

3 事前評価に用いた資料及び有識者等の知見の活用等

  • (1)トーゴ政府からの要請書
  • (2)JICAの調査報告書(JICAを通じて入手可能)
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