ODA(政府開発援助)

令和4年9月12日

評価年月日:令和4年5月30日
評価責任者:国別開発協力第三課長 西野 修一

1 案件名

1-1 供与国名

 モザンビーク共和国(以下「モザンビーク」という。)

1-2 案件名

 マプト中央病院新生児棟建設計画

1-3 目的・事業内容

 本計画は、マプト市のマプト中央病院において、新生児棟の整備及び関連医療機材を供与することにより、周産期医療サービスの改善を図り、同市の母子保健サービスの向上を通じた同国の人間開発に寄与するもの。
 供与限度額は29.87億円。

1-4 環境社会配慮、外部要因リスクなど留意すべき点

 本計画は、「国際協力機構環境社会配慮ガイドライン」(2010年4月制定)におけるカテゴリはCであり、環境影響を及ぼしやすいセクター及び特性並びに影響を受けやすい地域のいずれにも該当しない。

2 無償資金協力の必要性

2-1 必要性

  • (1)モザンビーク(一人あたり国民総所得(GNI)440ドル)は、OECD開発援助委員会(DAC)の援助受取国リスト上、後発開発途上国に分類される。
  • (2)モザンビーク政府は、「保健セクター戦略計画2020-2024」の下に、妊産婦・新生児死亡率の改善のためのサービスの質的・量的拡大を掲げ、母子保健サービス向上の施策を推進してきたが、同国における妊産婦死亡率(出生10万人に対し)は289人、新生児死亡率(出生1,000人に対し)は28.5人(世界銀行 2022年)と、周辺国・地域と比較すると依然として高い。
  • (3)本計画が対象とするマプト中央病院は、首都圏を含む同国南部を管轄するトップリファラル病院として位置づけられ、第四次医療レベルのサービスを提供することが期待されているが、1978年の開設後、内戦下で十分な維持管理が行われなかった影響もあり、施設等の老朽化が著しい。特に新生児科及び産婦人科は、施設の老朽化、医療資機材の不足、利用者の集中に伴う狭小な医療スペースの影響で、その機能を十分に果たせていない。また、新生児科の一部が産婦人科から離れて配置されているため、関連部門間の連携に支障が生じ、効率的な医療サービスが提供できていない。
  • (4)さらに、同病院では、狭小な医療スペースのため、新型コロナウイルス感染症(以下、「COVID-19」)感染者を隔離して適切なサービスを提供することができていない。同病院は重篤化したCOVID-19患者も受け入れていることから、感染対策の徹底が同病院で適切な周産期医療サービスを提供するためにも喫緊の課題となっている。
  • (5)我が国の対モザンビーク国別開発協力方針においては、人間開発・社会開発(保健サービスの向上)を重点分野の一つとして掲げており、周産期医療サービスの改善を図る本計画は同方針に合致するものであり、また、持続可能な開発目標(SDGs)ゴール3(保健)にも貢献することから、本計画を実施する必要性は高い。
  • (6)さらに、本計画は、第7回アフリカ開発会議(TICAD7)において、我が国が表明した300万人の基礎医療アクセスの改善に貢献するものであり、モザンビークの開発ニーズに応えることで更なる二国間関係の強化に資する観点から、外交的な意義も高い。

2-2 効率性

 医療サービスの早急な拡充を行う場合、過大設計にならないように留意することが望ましいが、本事業は、病院敷地の有効活用、診療部門間の連携、将来的な拡張を考慮した病院設計とすることで、拡大する医療ニーズへの対応を図ることにより、効率化を図る。
 また、同国では、技術協力「保健人材指導・実践能力強化プロジェクト」(ProFORSA)のフェーズ1(2012~2015年)及びフェーズ2(2016~2019年)において、母子保健人材の指導・能力強化を実施している。本計画においては、ProFORSAで育成した保健医療人材を活用することで、母子保健サービスの向上を図る予定であり、先行協力案件との相乗効果が期待される。

2-3 有効性

 本計画の実施により、2018年~2020年の平均値を基準値として、事業完成3年後の2028年の目標値と比較すると、主に以下の成果が期待される。

  • (1)新生児患者を収容できる件数が、3,864件/年から4,600件/年に増加する。
  • (2)新生児患者を検査できる件数が、9,516件/年から11,350件/年に増加する。
  • (3)周産期医療サービスの向上により、対象地域内で対応が不可能であった患者の受入れや治療が可能となる。また、COVID-19を含む、高病原性の新興感染症に対する医療対応能力が強化される。
  • (4)移動効率の改善により、産婦人科、新生児科と一貫した周産期医療サービスの提供が可能となる。

3 事前評価に用いた資料及び有識者等の知見の活用等

  • (1)モザンビーク政府からの要請書
  • (2)協力準備調査報告書(JICAを通じて入手可能)
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