ODA(政府開発援助)

令和4年3月25日

作成年月日:令和4年3月24日
評価責任者:国別開発協力第一課長 竹端 昌宏

(注)本件は令和2年7月にE/N署名された案件であるが、評価書の公表は令和3年度となったもの。

1 案件名

1-1 供与国名

 ミャンマー連邦共和国(以下「ミャンマー」という。)

1-2 案件名

 ヤンゴン河航路標識改修計画

1-3 目的・事業内容

 本計画は、ヤンゴン港への船舶の航行安全に係る航路標識及び気象海象観測所を整備することにより、ミャンマー国内外を結ぶ物流の効率化と航行安全性の向上を図り、もってミャンマーの貿易の活性化に寄与するもの。
 供与限度額は13.99億円。

1-4 環境社会配慮、外部要因リスクなど留意すべき点

 本計画は、JICA環境社会配慮ガイドライン(2010年4月制定)におけるカテゴリCであり、環境や社会への望ましくない影響は最小限であると判断される。

2 無償資金協力の必要性

2-1 必要性

  • (1)ミャンマー(一人あたり国民総所得1,310ドル)は、OECD開発援助委員会(DAC)の援助受取国リスト上、後発開発途上国に分類される。
  • (2)ミャンマー政府は、2016年7月に発表した経済政策において「電力・道路・港湾といった基礎的経済インフラの整備」を重要目標とし、ヤンゴン港の整備に力を入れている。同国では、民主化の進展に伴う経済成長が顕著であり、ヤンゴン港での貨物取扱量も増加している。特にコンテナ貨物取扱量の伸びは著しく、2011年の年間39万TEUから2017年には年間104万TEUまで増加し、平均の前年比伸び率は17%となっている。さらに、2025年には年間約260万TEUに達すると予測されており、ヤンゴン港が同国の物流拠点として今後一層重要な役割を果たすことが予想される。
  • (3)他方、ヤンゴン河の河口からヤンゴン港までの航路は、狭い川幅と強い潮流、不十分な航路標識や未整備の航路管制システムにより、航行におけるリスクが高く、船舶の衝突や座礁事故がしばしば発生している。また、ヤンゴン地区にアクセスするには2か所の浅瀬を通過する必要があるが、夜間の船舶航行支援施設の未整備により、1日1度の昼間の満潮時間に航行が限定されており、ヤンゴン港へのアクセスのボトルネックとなっているため、同問題の解決が喫緊の課題となっている。
  • (4)我が国は、対ミャンマー経済協力開発方針の柱の一つを「持続的成長のために必要なインフラや制度の整備等の支援」としており、本計画はヤンゴン港に航行する船舶の安全性向上・通行量増加を通じて持続的経済成長に寄与するものであり、同方針に合致する。また、経済成長及びインフラ整備に資するとの観点からは、SDGsゴール8(持続可能な経済成長)及びゴール9(強靱なインフラの構築)にも貢献するものである。
  • (5)また、ティラワ経済特別区(SEZ)につながるヤンゴン河の航行安全に資する本計画は、日本ミャンマー協力プログラムにおける重点分野のうち「III. 都市部の製造業集積・産業振興」及び「IV. 都市部と地方を結ぶ運輸インフラ整備」に合致し、本計画はこれらの方針を具現化するものであり、二国間関係の更なる強化という外交的観点からも意義が大きい。

2-2 効率性

 我が国は、ミャンマーの港湾セクターに対し、技術協力「ヤンゴン港・内陸水運施設改修プロジェクト」(2009~2015)、円借款「ティラワ地区インフラ開発事業(フェーズ1)」(2013年6月L/A締結)を実施しており、これらプロジェクトと本計画は相互に補完するものとなっている。

2-3 有効性

 本計画の実施により、2017年の実績値を基準値として、事業完成から3年後の2025年の目標値と比較すると、主に以下のような成果が期待される。

  • (1)定量的効果
    • ア ヤンゴン港への入港船舶数(隻/年)が、年間2,267隻から約3,200隻に増加する。
    • イ ヤンゴン港のコンテナ取扱量(TEU/年)が、年間1,043,469TEUから約2,000,000TEUに増加する。
  • (2)定性的効果
     貿易の活性化、ヤンゴン港への航行安全の確保、物流の効率化が期待される。

3 事前評価に用いた資料及び有識者等の知見の活用等

  • (1)ミャンマー政府からの要請書
  • (2)JICA協力準備調査報告書(JICAを通じて入手可能)
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