ODA(政府開発援助)

令和4年3月16日

(評価書)作成年月日:令和4年2月16日
評価責任者:国別開発協力第二課長 秋山 麻里

1 案件名

1-1 供与国名

 バングラデシュ人民共和国(以下「バングラデシュ」という。)

1-2 案件名

 行政運営研究・人材育成施設整備計画

1-3 目的・事業内容

 本計画は、ダッカ市内のガバナンス・マネジメント研究所において、幹部行政官の育成及び政策研究のための施設及び機材を整備することにより、高度人材の育成環境の改善を図り、もってバングラデシュ政府の政策策定能力の向上を通じた社会脆弱性の克服に寄与するもの。
 供与限度額は24.29億円。

1-4 環境社会配慮、外部要因リスクなど留意すべき点

  • (1)バングラデシュの治安・政情が極度に悪化しないことに留意が必要。
  • (2)本計画は、既存のガバナンス・マネジメント研究所の施設及び機材を整備する案件であることから、JICA環境社会配慮ガイドライン(2010年4月制定)におけるカテゴリCであり、環境や社会への望ましくない影響は最小限であると判断される。

2 無償資金協力の必要性

2-1 必要性

  • (1)バングラデシュ(一人あたり国民総所得(GNI)2,010ドル(2020年))は、OECD開発援助委員会(DAC)の援助受取国リスト上、後発開発途上国に分類されている。
  • (2)同国は、インド及びミャンマーと国境を接し、南西アジア地域の安定と経済発展に重要な役割を果たしているととともに、地域の連結性強化等の観点から「自由で開かれたインド太平洋」の実現において重要な位置を占めている。かかる観点から、我が国は、長年主要ドナーとして継続的に同国を支援している。
  • (3)同国は、コロナ禍からの早期復興、貧困削減、持続可能な開発等を目標に掲げ、外国投資促進や輸出の多角化等の取組を通じ、更なる経済成長を経て、将来的には2041年までの先進国入りを目指している。しかし、世界銀行の国別政策・制度比較(Country Policy and Institutional Assessment)(2018年)によると、「公的部門における透明性、説明責任、汚職」、「行政機構の質」、「公的部門の管理・制度」等の分野は南西アジア諸国の平均以下に留まり、行政サービスの質の低さが国家開発のボトルネックの一つとなっている。具体的には、同国の行政機関における政策分析や提案は、その多くをドナーやシンクタンク等の外部機関に頼る状況にあり、同国政府関係者の政策研究・策定能力の向上に向けた環境整備を進めることが喫緊の課題となっている。
  • (4)本計画の実施は、ダッカ市内のガバナンス・マネジメント研究所において、幹部行政官等の育成及び政策研究のための施設及び機材を整備することにより、高度人材の育成環境の改善を図り、もってバングラデシュ政府の政策策定能力の向上を通じた社会脆弱性の克服に寄与するものである。我が国の対バングラデシュ国別開発協力方針においては、「中所得国化に向けた、全国民が受益可能な経済成長の加速化」及び「社会脆弱性の克服」を重点分野とし、留意事項として「従来からの課題であるガバナンスの改善のため、あらゆる分野の支援において、政府機能の強化、行政サービス向上が図られるようにする」としており、本計画は同方針に合致する。また、本計画は、開発協力の観点に止まらず、同国政府の開発政策に沿った、日本への期待が高い分野での支援であるため、二国間関係の更なる強化という外交的観点からも意義が大きい。

2-2 効率性

 本計画で整備する施設において、技術協力「国家健全性戦略支援プロジェクトフェーズ2」や、技術協力「公共投資管理プロジェクトフェーズ2」等で得られた知見や人材育成奨学計画等の研修員の研修成果を共有することで支援における相乗効果を図る。

2-3 有効性

 本計画の実施により、2020年の実績値を基準値として、事業完成から3年後の2026年の目標値と比較すると、主に以下のような成果が期待される。

  • (1)定量的効果
    • ア 修士課程の拡大により、同課程修了者数が年間300人から1,000人に増加する。
    • イ 短期研修の拡大により、同研修修了者数が年間490人から1,285人に増加する。
  • (2)定性的効果
     バングラデシュ政府の政策策定能力の向上、官民両セクター間の連携を通じた、民間セクターの発展に寄与する政策提言等の実施が期待される。

3 事前評価に用いた資料及び有識者等の知見の活用等

  • (1)バングラデシュ政府からの要請書
  • (2)JICA協力準備調査報告書(JICAを通じて入手可能)
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