ODA(政府開発援助)
政策評価法に基づく事前評価書
令和4年3月10日
評価年月日:令和4年2月7日
評価責任者:国別開発協力第二課長 秋山 麻里
1 案件名
1-1 供与国名
ホンジュラス共和国(以下、「ホンジュラス」という。)
1-2 案件名
国道一号線橋梁架け替え計画
1-3 目的・事業内容
本事業は、中南米地域の物流の要であるパンアメリカンハイウェイを構成する国道一号線において、老朽化したグアシロペ橋を架け替えることにより、橋梁の安全性の確保を図り、地域及び同国の物流促進や経済の活性化に貢献するとともに、同国の災害対応能力の強化に寄与することを目的とする。
供与限度額は、23.98億円。
1-4 環境社会配慮、外部要因リスクなど留意すべき点
- (1)本事業は、JICA環境社会配慮ガイドライン(2010年4月制定)におけるカテゴリBであり、環境への望ましくない影響は重大でないと判断される。
- (2)このほか、以下の前提・外部条件が確保される必要がある。
- ア ホンジュラス政府により、用地取得及び事業実施に必要な環境ライセンスの取得が適時に実施されること。
- イ 想定外の自然災害が発生しないこと。
- ウ ホンジュラスの政情、治安が悪化しないこと。
2 無償資金協力の必要性
2-1 必要性
- (1)ホンジュラス(一人当たりの国民総所得(GNI)2,200ドル(2020年、世界銀行))は、OECD開発援助委員会(DAC)の援助受取国リスト上、低・中所得国に分類される。
- (2)ホンジュラスの「政府計画2018-2022」においては、「効率的で質の高い運輸」が重要課題と位置付けられている。同国の国道一号線は、北米と中南米を結ぶ国際幹線道路であるパンアメリカンハイウェイの一部を構成し、地域及び同国の物流の要となる幹線道路である。国道一号線に位置し、1943年に建設されたグアシロペ橋は、老朽化が進んでおり、安全上のリスクを抱えている。また、同国はハリケーン等の自然災害が頻発するため、地域の物流の要かつ災害時の地域住民のライフラインとしての重要性を持つグアシロペ橋の早期架け替えが急務となっている。
- (3)ホンジュラスでは、過去に我が国の無償資金協力で建設された橋梁がハリケーンに耐えてきた経験を踏まえ、本案件の実施に対する同国政府からの期待も高い。特に、同国は2020年11月のハリケーン・イオタにより甚大な被害を受けており、同国政府は我が国にインフラ分野での支援を求めている。
- (4)我が国の対ホンジュラス国別開発協力方針では「防災対策」を重点分野としており、ハリケーンなど自然災害が頻発する同国において、災害に強い橋梁を整備する本案件は同方針に合致する。また、SDGsゴール11「包括的で安全かつ強靭で持続可能な都市及び人間居住の実現」にも合致するものである。
- (5)以上の観点から、ホンジュラスにおいて地域の物流の要である国道一号線の橋梁を架け替える本案件の実施は、開発協力としての必要性に加え、二国間関強化にも資するため、外交的意義が高い。
2-2 効率性
洗掘を防止するための橋脚の防護工に係る負担軽減のため橋脚位置を調整したほか、耐候性鋼材を採用し、維持管理の負担を軽減する設計とした。
2-3 有効性
本事業の実施により、2020年の実績値を基準値として、事業完成3年後の2028年の目標値と比較すると、主に以下のような成果が期待される。
- (1)定量的効果
- ア グアシロぺ橋を通過する平均交通量が、8,013(台/日)から11,800(台/日)に増加する。
- イ グアシロぺ橋を通過する旅客数が、346.5(万人/年)から495.5(万人/年)に増加する。
- ウ グアシロぺ橋を通過する貨物量が、273.2(万トン/年)から446.0(万トン/年)に増加する。
- (2)定性的効果
災害リスクが軽減され、橋梁の安全性が向上するとともに、物流が促進及び円滑化され、走行車両及び歩行者の安全性が確保される。
3 事前評価に用いた資料及び有識者等の知見の活用等
- (1)ホンジュラス政府からの要請書
- (2)JICAの基本設計調査報告書(JICAを通じて入手可能)