ODA(政府開発援助)

令和3年11月19日

評価年月日:令和3年9月15日
評価責任者:国別開発協力第三課長 西野 修一

1 案件名

1-1 供与国名

 ベナン共和国(以下「ベナン」という。)

1-2 案件名

 クフォ県及びプラトー県における飲料水供給システム強化計画

1-3 目的・事業内容

 クフォ県及びプラトー県主要都市において、深井戸掘削により新規水源を開発し、配水管及び高架水槽等の給水施設を建設することにより、対象地域における給水量の増大を図り、もって対象地域における水因性疾患の減少、住民の生活環境改善及び水汲み労働の軽減に寄与する。
 供与限度額は32.18億円。

1-4 環境社会配慮、外部要因リスクなど留意すべき点

  • (1)本事業は、JICA環境社会配慮ガイドライン(2010年4月制定)におけるカテゴリBであり、環境への望ましくない影響は重大でないと判断される。
  • (2)政情・治安等が極度に悪化しないこと。

2 無償資金協力の必要性 

2-1 必要性

  • (1)ベナンは、国家開発計画において重要課題の一つとして「安全な水へのアクセス改善」を掲げ、給水率の改善を進めてきた。また、同国政府は2016年に「政府行動計画2016-2021(PAG)」を定め、2021年までに村落部住民250万人及び都市部住民270万人(全体人口1,087万人)の安全な水へのアクセスを確保し、給水率100%を達成することを重点目標の一つとし、全国で給水施設の整備を進めている。これまでの取組により、全国の給水率は57%(WHO/UNICEF、1990年)から76%(同、2017年)へ改善されてはいるが、依然目標値に達していない。加えて、浅井戸や雨水貯水などの代替水源は水因性疾病の原因となっており、5歳未満の小児では下痢症が医療機関の受診件数の上位を占めている。
  • (2)クフォ県及びプラトー県の給水率は、クフォ県70%、プラトー県60%(ベナン水道公社、2016年)であり、上述の全国平均と比較して低い水準にとどまっている。特に近年、都市部の人口増加(増加率3.9%(世界銀行、2019年))に伴い、水需要が増加し、両県の都市部における給水事情は悪化しており、更なる給水量の確保が急務となっている。
  • (3)本事業は、クフォ県及びプラトー県の主要都市部において給水施設を建設することで、当該地域の給水量の増大を図り、もって対象地域における水因性疾患の減少、住民の生活環境改善及び水汲み労働の軽減に寄与するものであり、PAGで掲げられた45の最優先事業の一つに位置付けられるものである。また、新型コロナウイルスの流行拡大を防止するためにも、水供給と手洗いが重要であり、感染症対策にも直接貢献する案件である。
  • (4)我が国の対ベナン国別開発協力方針は、3つの重点分野の一つとして、国民生活を支える基礎的社会サービスの改善を支援する「国民生活の環境改善」を掲げている。国民の安全な飲料水へのアクセス改善に貢献する本事業は、我が国の同国に対する協力方針に合致するものである。
  • (5)同国政府は、安全な水へのアクセス改善を重要課題として捉えており、我が国がこれまで同国で実施してきた給水案件を高く評価しているほか、2018年6月の日ベナン外相会談時の共同コミュニケにおいても、先方大臣からの飲料水供給分野における我が国の協力継続への期待が示されており、本事業は、二国間関係の点からも重要である。加えて、本事業は、給水施設の建設を通じて、対象地域における安全な水へのアクセス改善及び感染症対策に資するものであり、SDGsゴール3(健康と福祉)及びゴール6(安全な水とトイレ)にも貢献すると考えられることから、本事業の実施を支援する必要性は高い。

2-2 効率性

  • (1)ベナン政府からの要請を踏まえつつも、現地調査による支援対象の絞り込みを実施し、必要かつ適切な規模とした。
  • (2)過去に実施した同様の案件との比較を行い、事業費の妥当性を検討し、コスト縮減を図った。

2-3 有効性

 本事業の実施により、2018年の実績値を基準値として、事業完成3年後の2027年の目標値と比較すると、主に以下のような成果が期待される。

  • (1)定量的効果
    • ア クフォ県、プラトー県における一日平均有収水量(立方メートル/日)が2018年実績値から事業完成3年後、それぞれ855から5,051、284から1,151に増加する。
    • イ クフォ県及びプラトー県の給水人口がそれぞれ33,170人から107,325人、11,010人から24,448人に増加する。
  • (2)定性的効果
    • ア 住民の衛生状況が改善され、水因性疾病及び感染症が減少する。
    • イ 住民の水汲み労働が軽減する。
    • ウ 利用者への給水サービスの質が向上する。

3 事前評価に用いた資料及び有識者等の知見の活用等 

  • (1)ベナン政府からの要請書
  • (2)「クフォ県及びプラトー県における飲料水供給システム強化計画」協力準備調査報告書
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