ODA(政府開発援助)

令和3年2月3日

評価年月日:令和2年12月10日
評価責任者:国別開発協力第一課長 渡邊 滋

1 案件名

1-1 供与国名

 パプアニューギニア独立国(以下、「PNG」という。)

1-2 案件名

 地方電力供給網拡張計画

1-3 目的・事業内容

 本計画は、PNGのモマセ地域、ハイランド地域及び西ニューブリテン地域の全27地区において、中央電力系統から裨益対象世帯への電力網(送電線等)の敷設を行うことにより、同国の電力の安定的供給及び国民電化率の一層の向上を図り、もって同国の経済成長基盤の強化及び社会サービスの向上に寄与するもの。
 供与限度額は10億円。

1-4 環境社会配慮、外部要因リスクなど留意すべき点

 特になし。

2 無償資金協力の必要性

2-1 必要性

  • (1)PNG(一人あたり国民総所得(GNI)2,780ドル)は、OECD開発援助委員会(DAC)の援助受取国リスト上、低中所得国に分類される。
  • (2)同国は、国内市場が小さく、国際市場から地理的に遠いなど、太平洋島嶼国に共通する開発上の課題を抱えている。
  • (3)同国は、太平洋島嶼国の全体の人口の8割以上を占め、人口の増加、経済の発展に伴い、国内の電力需要は今後も増大することが見込まれている。一方、発電所及び送配電網の整備が不十分であるため、電力供給力は国内需要を大幅に下回っており、2018年時点での同国の国民の電化率は13%と、国内では慢性的な電力不足が生じている。
  • (4)上記背景から、我が国は平成24年度有償資金協力「ラム系統送電網強化計画」にて、本邦企業も進出しているレイ地域に電力を供給するラム水力発電所からの送電線(供給力)の増強、更にはレイを中心とする周辺地域への電力供給の安定性向上に向けて支援を実施している。これと並行し、同国政府は2030年までに国民電化率70%を達成し(開発戦略計画2010~2030)、2050年までに100%を達成(ビジョン2050)することを目標とし、電力事情の改善に向けた取組を加速させている。
  • (5)我が国は、2018年5月に開催された第8回太平洋・島サミットで採択された首脳宣言で、「強靭かつ持続可能な発展のための基盤の強化」を協力の柱の一つとして位置づけ、強靭で質の高いインフラ整備の取組が必要と表明している。また、対PNG国別開発協力方針において、「経済成長基盤の強化」、「社会サービスの向上」及び「環境・気候変動・防災」を重点分野として定めているところ,本計画は重点分野「経済成長基盤の強化」及び「社会サービスの向上」に合致することから、本計画の実施を支援する必要性は高い。
  • (6)同国は、我が国の漁船が同国の排他的経済水域内で操業する等、漁業分野での関係が深く、また、国際社会においても我が国の立場に好意的な理解を示すことが多く、良好な協力関係にある。さらに、日米豪NZ PNGは、2018年11月に「PNG電化パートナーシップ」を発表し、PNGの電化率を2030年までに70%まで向上させることで合意しており、本計画は日米豪NZの協力事業と位置づけることが可能であることから、本計画の実施はPNGとの二国間関係強化に資するのみならず、日米豪NZ間の連携の強化にも繋がり、大きな外交的意義がある。

2-2 効率性

  • (1)調達代理機関が適時に現地にて案件監理を行い、調達代理機関の技術者が公共事業省を技術支援し、現地施工監理を行うこととする。
  • (2)PNGにおける電力分野での協力は、米国、豪州、ニュージーランドが支援のコミットメントメントを表明。本計画で対象となる地域における中央電力系統から裨益対象世帯への電力網(送配線等)の敷設を行う事業については、他ドナーからの支援と本計画との直接の重複はない。

2-3 有効性

 本計画の実施により、事業完成3年後の2024年には主に以下のような成果が期待される。

  • (1)定量的効果
    • ア 全27地区の電化対象世帯数が、5,270世帯となる。
    • イ 電化製品類の浸透(電力負荷:キロワット)が、2,635キロワットに増加する。
    • ウ 電力料金の年間徴収額が、35,000,000円相当となる。
    • エ PNG国内ベースにおける電化率が、0.4%に上昇する。
  • (2)定性的効果
    • ア 1日の労働(稼働)可能時間の増加に伴い、家内工業(労働)、雇用機会が増え、その結果、世帯所得が増加する。ひいては、都市部との経済格差の改善に繋がる。
    • イ 学習可能時間の増加に伴い、基礎教育の浸透はもとより、教育の高度化が促進され、世帯所得が増加する。ひいては、都市部との経済格差の改善に繋がる。
    • ウ 地域内での日常生活において、特に夜間での安全性が確保され、生活環境の改善・強化が図られる。

3 事前評価に用いた資料及び有識者等の知見の活用等

  • (1)PNG政府からの要請書
  • (2)World Bank発行「Papua New Guinea Electrification Project (P159840):Project Information Document, March 9, 2017
  • (3)太平洋島嶼国のODA案件に関わる日本の取組の評価(2015年度/第三者評価)
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