ODA(政府開発援助)

令和3年1月21日

評価年月日:令和2年10月13日
評価責任者:国別開発協力第三課長 黒宮 貴義

1 案件名

1-1 供与国名

 ヨルダン・ハシェミット王国(以下「ヨルダン」という。)

1-2 案件名

 ザイ給水システム改良計画

1-3 目的・事業内容

 アンマン都市圏及びバルカ県への給水を支えるザイ給水システムにおいて、劣化した設備及び機材を更新・改良することで、運転効率の改善と運転費用の削減等を実現し、安定給水を図り、もってヨルダンの自立的・持続的な経済成長の後押しに寄与するもの。
供与限度額は23.79億円。

1-4 環境社会配慮、外部要因リスクなど留意すべき点

  • (1)本計画は、JICA環境社会配慮ガイドライン(2010年4月制定)に掲げる影響を及ぼしやすいセクター・特性及び影響を受けやすい地域に該当せず、環境への望ましくない影響は重大でないと判断されるため、カテゴリBに該当する。
  • (2)新型コロナウイルスの感染拡大に伴う首都封鎖等の悪影響が生じないこと。

2 無償資金協力の必要性

2-1 必要性

  • (1)ヨルダン(一人あたり国民総所得(GNI)4,210ドル)は、OECD開発援助委員会(DAC)の援助受取国リスト上、低中所得国に分類される。
  • (2)同国は、水資源が世界で最も限られている国の一つであるが、人口増加や2011年のシリア危機発生以降のシリア人難民の流入により水需要が増加し、深刻な水需給の不均衡が生じている。同国政府は、安全で十分な量の飲料水供給等を目標とした「National Water Strategy 2016-2025」を水セクターの中心戦略として掲げ、ヨルダン水道庁が、同戦略に基づき水資源の開発、管理等を実施している。
  • (3)ザイ浄水場からの給水量は、アンマン都市圏全体の約30%に相当し、全体の約40%を占める水質に問題がある地下水の希釈にも利用されているため、合わせてアンマン都市圏の給水量の約70%を支えているが、機材・設備、特に浄水処理前の原水を揚水するポンプ等の劣化が著しい。
  • (4)こうした中、難民の流入等による水需要の増加及び故障や機能低下によるザイ給水システムの給水量の低下を防ぐために、老朽化した設備の更新が急務となっている。また、揚水システムは同国全体の発電量の約15%を消費しており、機材等の更新による運転効率の改善や運転費用の削減が必要となっている。
  • (5)我が国は、対ヨルダン国別開発協力方針において、「自立的・持続的な経済成長の後押し」を重点分野に掲げ、水資源が逼迫している乾燥地に位置し、化石燃料等の資源にも乏しい同国に対して、水や電力分野における安定的かつ効率的な資源配分及び財政負担の軽減等に関する支援を行うこととしており、本計画は同方針に合致するものである。また、SDGsゴール6「万人の水と衛生の利用可能性と持続可能な管理の確保」にも貢献するものであり、本計画を実施する意義は高い。
  • (6)同国は、不安定な中東地域における緩衝国の一つとして重要な国であり、我が国とは伝統的に友好関係にある。2018年11月に行われた日・ヨルダン首脳会談の機会に、安倍総理大臣(当時)からアブドッラー国王に対し、我が国は同国の安定と発展を引き続き支援していく旨述べている。また、我が国は、2019年2月のヨルダン支援会合の機会に、同国に対して今後5年間で約1億ドルの無償資金協力を実施することを表明しており、本計画は同表明の達成にも貢献するものであり、外交的意義は高い。

2-2 効率性

 ヨルダン政府との協議を通じ、更新の要望があった機材等について調査を行い、本協力の更新対象を、老朽化が激しくかつザイ給水システムを存続させるために不可欠な機材に絞り込み、適正な規模かつ効率的な事業となるよう、コスト縮減を図った。

2-3 有効性

 本計画の実施により、2019年実績値に比べて計画完成3年後の2026年までに以下のような効果が期待される。

  • (1)ザイ給水システムの運転効率の改善により、ザイ給水システムにより供給される水量1立法メートルあたりの電力消費量が5.10キロワット時から4.91キロワット時へと削減される。
  • (2)年間の温室効果ガス(GHG)排出量が、191.97メガトン-CO2から185メガトン-CO2以下へと削減される。
  • (3)ポンプの故障や修理に伴う揚水量低下が防止されることにより、アンマン都市圏等へ安定的な給水が実施される。

3 事前評価に用いた資料及び有識者等の知見の活用等

  • (1)ヨルダン政府からの要請書
  • (2)JICA協力準備調査報告書(JICAを通じて入手可能)
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