ODA(政府開発援助)

令和2年11月5日

評価年月日:令和2年10月15日
評価責任者:国別開発協力第三課長 黒宮 貴義

1 案件名

1-1 供与国名

 パレスチナ自治政府(以下「パレスチナ」という。)

1-2 案件名

 教育の質及び環境改善のための学校建設計画

1-3 目的・事業内容

 本計画は、パレスチナ自治区のヨルダン川西岸地区及びガザ地区において、就学前教室を含む初等・中等学校の建設及び教育機材の整備を行うことにより、初等・中等教育における学習環境の改善を図り、もって教育の質の向上に寄与するもの。
 供与限度額は24.64億円である。

1-4 供与国名

 環境社会配慮、外部要因リスクなど留意すべき点

  • (1)本計画は、「国際協力機構環境社会配慮ガイドライン」(2010年4月制定)上、環境への望ましくない影響は最小限であると判断されるため、環境社会配慮カテゴリはCである。
  • (2)また、本計画の実施には、パレスチナとイスラエル間の紛争が治安状況を劇的に変化させないこと、事業実施のための環境が保全されていることを外部要因としている。

2 無償資金協力の必要性

2-1 必要性

  • (1)パレスチナにおいては、学校数及び教室数の不足から、老朽化した狭小な教室の活用、二部制又は三部制での授業実施等を余儀なくされており、学校における学習時間が十分に確保できていないことに加え、二部制又は三部制及び過密した教室での学習は、中途退学のリスクを高めることが報告されている。このため、パレスチナの増え続ける学齢人口に対して質の高い教育を提供するために、学校建設及び学校施設の改善が喫緊の課題となっている。また、学校建設等を通じた住民の生活環境の改善は、パレスチナの民政の安定に寄与するものであり、住民による和平路線維持の観点から、中東和平の文脈においても重要視されている。
  • (2)このような状況を踏まえ、パレスチナは「国家政策アジェンダ2017-2022」において、「万人への質の高い教育」を国家の優先課題と定め、「就学率と修了率の向上」を国家政策として掲げている。これを具現化するものとして教育庁は「教育セクター戦略計画2017-2022」を定め、その中で「教育の質の向上」、「就学の維持」及び「就学前教育の充実」を優先課題としている。また、教育の質向上のための取組の一つとして、デジタル教材を含む教育機材の整備を推進している。
  • (3)我が国は、対パレスチナ自治区国別開発協力方針において、教育を含む「人間の安全保障に基づく民生の安定と向上」を重要分野と位置付けており、本計画は同方針に合致するとともに、SDGsゴール4「万人の包摂的で衡平な質の高い教育の確保、生涯学習の機会の促進」にも貢献すると考えられることから、本計画の実施を支援する必要性は高い。
  • (4)また、我が国は、安倍前総理大臣が打ち出した「中庸が最善」という考え方の下、中東・北アフリカ地域への安定化支援として、パレスチナ等の不安定な国・地域における経済開発・社会安定化支援等を実施していくことを表明しており、本計画は、我が国が対パレスチナ支援の柱の一つにしている「民生の安定と向上」を学校建設等による教育の質の向上を通じて実現させるものであることから、我が国の外交政策上の重要性に鑑みても、 本計画の実施を支援する必要性は高い。

2-2 効率性

 複数のサイトで同時に工事を実施することで工期短縮を図り、また、資機材の調達を原則パレスチナ内で行うことで調達コストを縮減するとともに、造成量、擁壁量が可能な限り少なくなるように配置計画を策定することで、効率的・効果的な案件実施を行う。

2-3 有効性

 本計画の実施により、事業完成3年後(2026年)には、2019年比で以下の成果が得られることが見込まれる。

  • (1)対象校で継続利用が可能な教室(間借り、狭小、老朽化した教室以外の教室)で学ぶ児童・生徒数が、2,430人から7,590人に増加する。
  • (2)対象校で間借り、狭小、老朽化した教室で学ぶ児童・生徒数が、2,000人から0人に減少する。

3 事前評価に用いた資料及び有識者等の知見の活用等

  • (1)パレスチナからの要請書
  • (2)JICA協力準備調査報告書(JICAを通じて入手可能)
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