ODA(政府開発援助)

令和4年11月9日

評価年月日:令和4年9月15日
評価責任者:国別開発協力第三課長 西野 修一

1 案件名

1-1 供与国名

 ザンビア共和国(以下「ザンビア」という。)

1-2 案件名

 稲種子生産ほ場及び研修施設整備計画

1-3 目的・事業内容

 本計画は、ザンビア農業研究機構(ZARI)マウント・マクル研究所及びマンサ研究所において、稲作技術普及のための施設及び機材、並びに原種種子及び認証種子生産のためのほ場及び同灌漑設備を整備することにより、稲作技術の普及体制と認証種子の生産能力の強化を図り、もって同国のコメの生産量増大に寄与するもの。
供与限度額は、15.90億円。

1-4 環境社会配慮、外部要因リスクなど留意すべき点

 本計画は、「国際協力機構環境社会配慮ガイドライン」(2010年4月制定)に掲げる農業セクターのうち大規模なものに該当せず、同ガイドラインに掲げる影響を及ぼしやすい特性及び影響を受けやすい地域に該当しないため、カテゴリBであり、環境への望ましくない影響は重大ではないと判断される。

2 無償資金協力の必要性

2-1 必要性

  • (1)ザンビア(一人当たり国民総所得(GNI)1,190米ドル:2020年:世銀)は、OECD開発援助委員会(DAC)の援助受取国リスト上、後発開発途上国に分類される。
  • (2)同国は国土の約6割が耕作可能地で、労働人口の49.6%(FAO、2019年)が農業に従事しているものの、生産性が低いためGDPに占める農業の割合は9.8%(第7次国家開発計画)に過ぎない。同国政府は「第7次国家開発計画(2017-2021)」及び「第二次国家農業政策(2016)」において、主食のメイズ偏重から脱し作物生産を多様化・高付加価値化することを目標に掲げ、コメを重点作物に位置付けている。
  • (3)同国では、2019年のコメ消費量4.4万トンに対して生産量は2.0万トンに過ぎず(FAO、2019年)、消費するコメの半分以上を輸入に依存している。今後も都市部の人口増加に伴いコメの需要拡大が見込まれるため、同国は、「アフリカ稲作振興のための共同体フェーズ2(CARD2)」に参加し、コメ生産量を2030年までに2倍に拡大する目標を掲げ、新規稲作農家の増加、既存稲作農家の生産性向上、コメの生産性向上に必要な優良種子(認証種子)の増産に取り組んでいる。
  • (4)こうした中、農作物の栽培技術の研究開発・研修を担うルサカ近郊のマウント・マクル研究所とルアプラ州のマンサ研究所では、JICAの技術協力等を通じて種子生産を含む稲作技術を研究・開発しているほか、ルアプラ州を対象に年間延べ2,000人の農家や普及員に研修を実施している。しかしながら、両研究所の研修施設は小規模でかつ老朽化し、研修用の灌漑ほ場はなく、研修可能な人数や期間が限られており、加えて、研修用の農業機械も整備されていないことから、収穫後処理技術等の実践的研修を効率的に行うことができていない。
  • (5)我が国の対ザンビア国別開発協力方針(2018年6月)においても、重点分野「産業の活性化」の中で農業セクターの活性化が掲げられており、本事業は同方針に合致するとともに、コメの生産量増大に資することから、SDGsゴール2(飢餓をゼロに)にも貢献するものである。また、同国はCARD2の重点国であり、本事業はTICAD7で表明されたコメ生産量倍増や農業技術開発・展開の方針にも合致することから、本計画を実施することは我が国の外交政策上も重要である。

2-2 効率性

 新型コロナウイルス感染症拡大やウクライナ情勢などによる為替変動、原油・資機材の物価・輸送費増など、案件開始までに想定される事業費上振れリスクに対応するため、事業費縮減を図った(縮減内容:(1)ソフトコンポーネント取りやめ、(2)農業機械車庫の仕様の簡素化、(3)稲処理施設の規模縮小、(4)土木施設の簡素化、(5)農業機材の削減)。

2-3 有効性

 本計画の実施により、2020/21年の実績値を基準値として、事業完成3年後の2027年の目標値と比較すると、主に以下のような成果が期待される。

  • (1)両研究所(施設内)研修受講者延べ人数(人/年)が、78人から1,800人に増加する。
  • (2)(1)の内、リーダー農家の研修修了者数(人/年)が、0人から160人に増加する。
  • (3)マンサ研究所の原種種子生産量(トン/年)が、0トンから3.4トンに増加する。
  • (4)マンサ研究所の認証種子生産量(トン/年)が、6トンから12トンに増加する。

3 事前評価に用いた資料及び有識者等の知見の活用等

  • (1)ザンビア政府からの要請書
  • (2)JICAの協力準備調査報告書(JICAを通じて入手可能)
ODA(政府開発援助)
ODAとは?
広報・イベント
国別・地域別の取組
SDGs・分野別の取組
ODAの政策を知りたい
ODA関連資料
皆様の御意見
政策評価法に基づく事前・事後評価へ戻る