ODA(政府開発援助)
政策評価法に基づく事前評価書
令和3年3月8日
評価年月日:令和3年2月10日
評価責任者:国別開発協力第三課長 黒宮 貴義
1 案件名
1-1 供与国名
ブルキナファソ
1-2 案件名
中央地方及び中央南部地方における中学校建設計画(UNICEF連携)
1-3 目的・事業内容
中央地方及び中央南部地方において、中学校の新設及び関連機材の整備を行うことにより、対象地域における前期中等教育へのアクセス改善を図り、もって学習環境の整備及び包摂的かつ公正な質の高い教育の実現に寄与する。
供与限度額は13.50億円。
1-4 環境社会配慮、外部要因リスクなど留意すべき点
特になし
2 無償資金協力の必要性
2-1 必要性
- (1)ブルキナファソ(一人あたり国民総所得(GNI)790ドル)は、OECD開発援助委員会(DAC)の援助受取国リスト上、後発開発途上国に分類される。
- (2)同国政府は、中期開発戦略「国家経済社会開発計画2016から2020」(Plan National de Développement Economique et Social、以下「PNDES」という。)において、第一次産業に偏った産業構造からの脱却を目指し、経済構造の変革、教育、高等教育、職業訓練、若年雇用対策等を優先取組事項として掲げており、基礎教育開発は、同国の優先セクターに位置付けられている。
- (3)同国の前期中等教育(中学校)の総就学率は、21.5%(2005/2006年)から改善しているものの、中学校施設の不足のため、現状50.6%(2018/2019年)にとどまっており、初等教育(総就学率89.5%)修了者が中学校へ進学する割合は限られている。また、学校施設の不足から一教室当たりの収容生徒数が多いため、過密状態での授業、学習を強いられるなど、悪質な学習環境に加え、教育の質の面でも課題があり、前期中等教育での修了率は40.6%にとどまり、留年率も23%に上っている(以上全て国民教育・識字・国語推進省2019年)。
- (4)このような背景から、同国政府による現行の基礎教育サブセクター計画「基礎教育戦略開発プログラム2012から2021」(Programme de Développement Stratégique de l’Education de Base、以下「PDSEB」という。)では、前期中等教育総就学率の向上(2021年までの目標値:70.8%)を目標に掲げ、前期中等教員養成や中学校の新設に取り組んでいる。
- (5)本計画で対象とする中央地方及び中央南部地方では、一教室当たりの生徒数が平均71から75人と同国の学校設置基準の目標値である一教室当たり45から50人を大きく上回っており、校舎の新設が急務となっている。
- (6)我が国は、TICAD7において、理数科教育の拡充や学習環境改善により300万人の子どもたちに質の高い教育を提供することを表明しており、本計画はこれを具体化するものである。加えて、サヘル地域に位置し、6か国と国境を接する同国の安定は、サヘル地域の安定にとって重要であるが、若者の教育や職業訓練等による支援は不満を持った若者がテロ組織に参加することを防ぎ、テロ対策としても肝要である。こうした観点から、本計画の実施は、我が国がTICAD7において表明した「アフリカの平和と安定に向けた新たなアプローチ(NAPSA)」に資するものであり、外交的意義が高いと認められる。さらに、対ブルキナファソ国別開発協力方針(2018年8月)では「教育の質の向上」が重点分野の筆頭に位置付けられており、本計画は同方針にも合致する。
- (7)また、本計画は中学校の建設及び教育機材の整備を通じ前期中等教育のアクセス改善に資するものであり、SDGsゴール4「すべての人に包摂的かつ公正な質の高い教育を確保し、生涯学習の機会を促進する」にも貢献すると考えらえることから、本計画の実施を支援する必要性は高い。
2-2 効率性
- (1)ブルキナファソ政府からの要請を踏まえつつも、支援対象の絞り込みを実施し、必要かつ適切な規模とした。
- (2)過去に実施した同様の案件との比較を行い、事業費の妥当性を検討し、コスト縮減を図った。
2-3 有効性
本計画の実施により、2020年の実績値を基準値として、事業完成3年後の2025年の目標値と比較すると、主に以下のような成果が期待される。
- (1)定量的効果
- ア 建設される前期中等教室数(教室)が、0から104に増加する。
- イ 建設される教室で就学可能となる生徒の数が、0から5,200人に増加する。
- (2)定性的効果
- ア 良好な学習環境を整備することにより、前期中等教育の質が向上する。
- イ 男女別のトイレを整備することにより、女子生徒に快適、安全な学習環境が整備され、女子教育が促進される。
3 事前評価に用いた資料及び有識者等の知見の活用等
- (1)ブルキナファソ政府からの要請書
- (2)UNICEFからのプロポーザル