ODA(政府開発援助)

令和3年3月3日

評価年月日:令和2年12月10日
評価責任者:国別開発協力第三課長 黒宮 貴義

1 案件名

1-1 供与国名

 ウガンダ共和国(以下「ウガンダ」という。)

1-2 案件名

 西ナイル地域の難民受入地域における国道改修計画

1-3 目的・事業内容

 ウガンダ北部の西ナイル地域において、ユンベ県内の国道(約23.6 キロメートル)、周辺の支線道路(約4 キロメートル)及び橋梁等を改修・改善することにより、社会・経済基盤の整備、物流の円滑化及び雇用創出を図り、もって北部地域における社会的安定及び経済成長の促進に寄与するもの。
 供与限度額は38.21億円。

1-4 環境社会配慮、外部要因リスクなど留意すべき点

  • (1)本計画は、JICA環境社会配慮ガイドライン(2010年4月制定)におけるカテゴリBであり、道路セクターのうち大規模なものに該当せず、環境への望ましくない影響は重大でないと判断され、かつ、同ガイドラインに掲げる影響を及ぼしやすい特性及び影響を受けやすい地域に該当しない。
  • (2)用地取得・住民移転等の先方負担事項が予定どおり実施されること。
  • (3)南スーダン等からの難民受入れ数の増加により社会・経済の安定性が損なわれないこと。

2 無償資金協力の必要性

2-1 必要性

  • (1)ウガンダ(一人あたり国民総所得(GNI)780ドル)は、OECD開発援助委員会(DAC)の援助受取国リスト上、後発開発途上国に分類される。
  • (2)同国北部の西ナイル地域は、1970年代の軍事クーデター以降、複数の武装組織による紛争等の影響を受け、長年開発が停滞していた。2006年以降、復興・開発に向けた取組が進んでいるが、貧困削減や経済格差是正に向けたインフラ開発・整備の必要性が高い。
  • (3)そうした中、隣国南スーダンで2016年7月に治安が悪化し、同国における南スーダン難民数が20万人台半ばから100万人超にまで急増した。中でも、本計画の対象地域であるユンベ県には国内最多の約23万人の難民が居住しており、ホストコミュニティの負担が増大している。また、内陸国である同国は、貨物・旅客輸送の大半を陸上運輸に依存しているが、道路の舗装率が極めて低く、ユンベ県においても主要物流幹線である国道ですら未舗装かつ路面状態が劣悪であり、円滑な物流が阻害されている。
  • (4)同国政府は、北部における平和の定着やインフラ改善等を通じた持続可能な社会・経済発展の実現を目指している。また、2017年に「ウガンダ難民連帯サミット」を国連と共催し(我が国からは岸外務副大臣(当時)が出席)、多くの難民を受け入れている同国への支援を国際社会に対して要請した。本計画は、同サミット直後に実施したJICAの調査によって開発ニーズが高いと評価された道路を対象としており、同国から我が国の協力により整備を希望する旨の要請があったものである。
  • (5)我が国は、対ウガンダ国別開発協力方針において、「経済成長を通じた貧困削減と地域格差是正の支援」を大目標に掲げ、経済成長を実現するための環境整備や北部地域の社会的安定を重点分野に掲げており、本計画は同方針に合致する。また、本計画は、持続可能な開発目標(SDGs)のゴール3(健康的な生活の確保―道路交通事故による死傷者半減)、5(ジェンダー平等の実現)、9(強靭なインフラの構築等)、11(包摂的、安全、強靭で、持続可能な都市と人間住居の構築)及び16(持続可能な開発のための平和で包摂的な社会の促進等)にも貢献すると考えられることから、本計画の実施を支援する必要性は高い。さらに、2017年6月、岸外務副大臣(当時)はグテーレス国連事務総長とムセベニ・ウガンダ大統領が共催した「ウガンダ難民連帯サミット」に出席し、ウガンダにおいて基礎インフラ整備支援を行っていく意向を表明しており、本計画の実施は外交上の意義も大きい。

2-2 効率性

  • (1)本計画による国道改修は、JICAが実施した調査において開発ニーズが確認され、他機関の支援との重複が無い区間に限って整備を行う予定。適正な事業規模の確保の観点からあらかじめ工法を精査しており、同国道については将来交通量や車両種別等を、支線道路及び橋梁については当該路線が果たす役割等を勘案し、適切な舗装工法等を採用する予定。
  • (2)建設機材に関し、一般的な建設材料や建設機械は現地調達とし、現地調達が困難な一部の資機材(橋梁用部材及びコンクリートプラント等)は日本又は第三国調達とすることで、適正な規模かつ効率的な事業となるよう留意する。

2-3 有効性

 本計画の実施により、2019年の実績値を基準値として、事業完成3年後の2027年の目標値と比較すると、主に以下のような成果が期待される。

  • (1)定量的効果(本計画における整備対象区間)
    • ア 平均交通量が、361台/日から715台/日に増加する
    • イ 旅客数が、1,780人/日から2,341人/日に増加する。
    • ウ 貨物量が、244トン/日から343トン/日に増加する。
    • エ 平均走行速度が天候にかかわらず、64キロメートル/時に上昇する(現在は乾季45 キロメートル/時、雨季10 キロメートル/時)。
  • (2)定性的効果
    • ア 悪天候時に通行不能になっている区間に橋梁を整備することで、同区間が年間を通じて通行可能になる。
    • イ 労働集約型工法(LBT)で支線道路を整備することにより、ホストコミュニティ住民及び難民の雇用機会を創出する。
    • ウ ユンベ県を中心とした経済活動の活性化、LBTに参画した住民・難民の道路整備能力強化、市民生活の改善が見込まれる。

3 事前評価に用いた資料及び有識者等の知見の活用等

  • (1)ウガンダ政府からの要請書
  • (2)JICA協力準備調査報告書(JICAを通じて入手可能)
  • (3)ウガンダ国別評価(2017年度・第三者評価)
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