ODA(政府開発援助)

令和2年9月3日

評価年月日:令和2年6月4日
評価責任者:国別開発協力第一課長 渡邊 滋

1 案件名

1-1 供与国名

 ラオス人民民主共和国(以下「ラオス」という。)

1-2 案件名

 教員養成校改善計画

1-3 目的・事業内容

 本計画は、全国8校の教員養成校(Teacher Training College:以下「TTC」という)において、TTC及び付属校の新築・建替及び教育用機材の整備を行うことにより、就学前・初等・中等教育の新規教員養成及び現職教員研修の環境の改善を図り、もって同国の基礎教育の質の改善に寄与するもの。
 供与限度額は、19.12億円。

1-4 環境社会配慮、外部要因リスクなど留意すべき点

 本計画は、JICA環境社会配慮ガイドライン(2010年4月制定)におけるカテゴリCであり、環境への望ましくない影響は最小限と判断される。

2 無償資金協力の必要性

2-1 必要性

  • (1)ラオス(一人あたり国民所得2,460ドル)は、OECD開発援助委員会(DAC)の援助受取国リスト上、後発開発途上国(LDC)に分類されている。
  • (2)同国は、インドシナ半島の中央に位置するメコン地域の要衝である。1991年以降、我が国は、対ラオス支援のトップドナー(OECD/DAC基準)として、同国との間で良好な関係を築いている。近年では、2015年に両国間の関係が「戦略的パートナーシップ」に格上げとなり、2016年には「ラオスの持続的な発展に向けた日本・ラオス開発協力共同計画」が表明されるなど、両国関係は益々深化している。
  • (3)同国では、初等教育のアクセスは改善しつつあるものの(純就学率は2007年の86.0%から2017年の98.7%(ラオス教育スポーツ省統計))、教育の質の改善が今後の課題となっている(初等教育の留年率4.1%、最終学年残存率81.1%(2017年、同統計))。また、中等教育についても、低い総就学率(前期中等教育82.9%、後期中等教育51.4%(2016年、同統計))に加えて、生徒の学習達成度が低いことが課題であり、この点からも教育(特に教員)の質の改善が求められているところである。
  • (4)同国において教育(特に教員)の質改善の要となるのはTTCであり、同国では、就学前・初等・中等教育の新規教員(約5,200人/年)のうち約8割が全国8校のTTCで養成されており(2016年)、模範的な教授法(授業観察・授業実践・授業研究)の指導のため、TTCの付属校も設けられている。
  • (5)同国政府はかかるTTCの役割を重視しており、第8次教育開発5か年計画 (2016-2020年)において、TTC教員の能力強化、付属校の活用強化を通じた新規・現職教員養成の質の改善に取り組む方針を打ち出している(策定中の次期計画においても同様の方針が含まれる見込み)。また、教育・スポーツ省の省令により付属校の責任を明確にするとともに、付属校の人事・予算権限を郡政府からTTCに移すなどTTCと付属校の一体運営体制を強化したり、他の国際機関と協力しながら教員養成のカリキュラムや教材の改善を図ったりするなど、TTCの能力強化を行っているところである。
  • (6)こうした中、TTC及び付属校の施設については、全8か所のTTCのうち4か所が築後40年を超え老朽化が進み、実習施設や図書館等の設備も不足している。また、付属校では、改善されたカリキュラムの実践に必要な施設・機材が不足しているとともに、一部のTTCは付属校と離れた立地のため、授業実践の機会を提供することが困難となっている。
  • (7)本計画は、同国の開発課題・開発政策及び我が国の対ラオス国別開発協力方針における重点分野(教育環境の整備と人材)の一つである「基礎教育改善プログラム」に合致するものであるとともに、SDGsのゴール4(教育)にも寄与することから、本計画の実施を支援する必要性は高い。
  • (8)また、本計画の実施を支援することは、同国における日本の開発協力に対する認知度向上にも大いに貢献すると考えられることから、外交上の意義は高い。

2-2 効率性

  • 技術協力プロジェクト「初等教育における算数学習改善プロジェクト」(2016年-2022年)で初等教育の算数教材及び指導書の開発、TTCの教員・学生に対する算数教科の知識向上、並びに現職教員研修の質改善を支援しており、本計画による教員養成施設の改善との相乗効果が期待される。

2-3 有効性

 本計画の実施により、2018年基準値と事業完成3年後の2026年の目標値を比べて、以下のような成果が期待される。

  • (1)定量的効果
    • ア 教育省の標準設計を満たし、老朽化しておらず、かつTTCに近接している実践的な教員教育の場として効果的に継続利用できる付属校数は、現在就学前・初等教育・中等教育合わせて全国規模で3校しか存在しないが、本計画により付属校数はそれぞれの教育課程で8校ずつ整備されることになり、全国規模では合計24校に拡大される。
    • イ 教員養成の研修・研究の場として良好な環境を有するTTC付属校の(1)就学前教育、(2)初等教育、(3)中等教育の各教室数が、それぞれ(1)5教室、(2)10教室、(3)0教室から、(1)32教室、(2)40教室、(3)56教室となる。
  • (2)定性的効果
    TTC付属校を整備することにより、就学前、初等、中等教育の(1)授業・カリキュラム研究、(2)教員養成、(3)現職教員・指導主事の持続可能な職能開発を行う環境が改善され、ラオスの教育の質の向上に寄与する。また、TTC付属校において、本計画で整備した施設・機材を活用した授業が行われることにより、周辺地域の児童・生徒に質の高い教育が提供される。

3 事前評価に用いた資料及び有識者等の知見の活用等

  • (1)ラオス政府からの要請書
  • (2)JICAの調査報告書(JICAを通じて入手可能)
  • (3)ラオス国別評価(2013年度/第三者評価)
  • (4)メコン地域のODA案件に関わる日本の取組の評価(2014年度/第三者評価)
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