ODA(政府開発援助)
政策評価法に基づく事前評価書
令和2年8月5日
評価年月日:令和2年3月9日
評価責任者:国別開発協力第三課長 黒宮 貴義
1 案件名
1-1 供与国名
ガンビア共和国(以下「ガンビア」という。)
1-2 案件名
第四次地方飲料水供給計画
1-3 目的・事業内容
ガンビア国内の地方村落において、ソーラー式給水施設を整備することにより、対象村落における安全な水へのアクセスの改善を図り、もって水因性疾患リスクの軽減など、同国の基礎生活環境の改善及び持続的発展に寄与する。
供与限度額は15.91億円。
1-4 環境社会配慮、外部要因リスクなど留意すべき点
本計画は、JICA環境社会配慮ガイドライン(2010年4月制定)におけるカテゴリCであり、環境への望ましくない影響は最小限であると判断される。
2 無償資金協力の必要性
2-1 必要性
- (1)ガンビア(一人当たり国民総所得700ドル)は、OECD開発援助委員会(DAC)の援助受取国リスト上、後発開発途上国に分類される。
- (2)同国政府はMDGsに基づき、改良された飲料水源利用率を1990年の69%から2015年までに85%まで引き上げることを目標に掲げ、我が国も三次にわたる無償資金協力を通じて給水施設の拡充を支援してきており、給水率の改善に貢献してきた。他方、現在30分以内に改良された飲料水源へアクセスできる住民の割合は、都市部では87%であるのに対し、地方部では63%に留まっており、引き続き支援が必要な状況である。
- (3)地方部の既存飲料水源は老朽化した浅井戸が多く、約30%において有機的汚染が報告されており、こうした浅井戸や、河川等の表流水を利用している地方部の住民は水因性疾患のリスクにさらされている。
- (4)こうした中、同国政府は「国家開発計画」(2018-2021)において、優先分野の一つとして入手可能で安全な水への公正なアクセス改善を挙げている。また、「水資源戦略計画」(2017-2019)において、安全な飲料水へのアクセス率の改善や、地域コミュニティを主体とした給水施設の維持管理体制の強化を目標としている。
- (5)我が国は、対ガンビア国別援助方針において、水分野を含む「持続的な発展と基礎生活環境の改善」を重点分野として掲げ、基礎生活環境を改善するために給水施設の適切な運営・維持管理等を支援することとしており、本計画は同方針に合致するものである。また、SDGsゴール6「万人の水と衛生の利用可能性と持続可能な管理の確保」にも貢献するものであり、本計画を実施する意義は高い。
- (6)同国は、国際社会において基本的に我が国の立場を支持する友好的な国であり、二国間関係の維持・発展の観点からも、同国への支援を実施することは外交的な意義も高い。
2-2 効率性
- (1)ガンビア政府の要請を踏まえつつ、現地調査による支援対象地域の絞り込みを実施し、必要かつ適切な事業規模とした。
- (2)過去に同国において実施した無償資金協力「第三次地方飲料水供給計画」(評価年度2016年)の事後評価等では、給水施設が新設された村落における(1)村落水管理委員会と民間維持管理会社の役割分担、(2)料金徴収の計画性と透明性、及び(3)村落水管理委員会と民間維持管理会社の間の連絡方法の明確化が事業の成功につながったと指摘された。これを踏まえ、本案件においては、給水施設の整備に加え、村落水管理委員会及び民間維持管理会社による維持管理体制の構築と責任分担の明確化、及び行政による監督・モニタリング・支援活動の強化を計画している。
2-3 有効性
本計画の実施により、事業完成3年後(2025年)には、2018年比で以下の成果が得られることが期待される。
- (1)対象地域における給水人口が22,000人から47,800人に増加する。
- (2)対象地域における1日あたりの給水量が、528立方メートルから1,673立方メートルに増加する。
- (3)対象地域において安全な水供給が実現することにより、衛生状況が改善され、水因性疾患のリスクが減少する。
3 事前評価に用いた資料及び有識者等の知見の活用等
- (1)ガンビア政府からの要請書
- (2)JICA協力準備調査報告書(JICAを通じて入手可能)