ODA(政府開発援助)

令和元年7月25日

評価年月日:平成31年4月19日
評価責任者:国別開発協力第一課長 岡野 結城子

1 案件名

1-1 供与国名

フィリピン共和国(以下「フィリピン」という。)

1-2 案件名

メトロセブ水道区汚泥管理計画

1-3 目的・事業内容

 本計画は,フィリピン中部のメトロセブにおいて,腐敗槽汚泥処理施設の建設及び腐敗槽汚泥収集車両の導入並びにメトロセブ水道区の汚泥処理に係る運営体制の構築を支援することにより,家庭汚泥の処理の促進と水・衛生環境汚染を改善し,もって同国の経済成長のための基盤の強化に寄与する。
 供与限度額は,20.52億円。

1-4 環境社会配慮,外部要因リスクなど留意すべき点

  • (1)環境社会配慮:特になし
  • (2)外部要因リスク:特になし

2 無償資金協力の必要性

2-1 必要性

  • (1)フィリピン(一人あたり国民総所得3,660ドル)は,OECD開発援助委員会(DAC)の援助受取国リスト上,低中所得国に分類される。
  • (2)フィリピン中部に位置するメトロセブは,セブ市を含む7市6町から構成されるフィリピン第2の都市圏で,人口約255万人を擁する経済の中心地である。観光業やIT産業等を主要産業として経済成長を続けており,2050年には人口が500万人を超える見込みである。
  • (3)メトロセブ地域においては,約90%の家庭が汚泥腐敗槽を保有していると推計されるが,適切に管理がなされておらず,不十分な排水処理や引抜汚泥の河川等への不法投棄によって環境汚染を引き起こしており,今後,都市化の更なる進行により,水環境,生活環境の悪化,ひいては都市の競争力の低下につながることが懸念されている。
  • (4)フィリピン政府は,2004年に汚水処理事業実施の法的根拠となるClean Water Actを制定した。公共事業道路省は,Clean Water Actに基づき,2010年に国家下水道・腐敗槽汚泥管理計画を策定し,地方自治体等による下水・腐敗槽汚泥処理を推進している。
  • (5)本計画は,2017年1月の日フィリピン首脳会談の場で安倍総理大臣が発表した,フィリピンに対するODA及び民間投資を含めた5年間で1兆円規模の支援の一環でもある。また,フィリピン政府の政策及び我が国及びJICAの援助方針・分析に合致し,メトロセブの都市・公衆衛生環境の改善に資するものであることに加え,本邦企業の海外展開にも資するものであり,SDGsゴール6(水・衛生)に貢献すると考えられることから,本計画の実施を支援する必要性は高い。

2-2 効率性

 本計画対象地域においては,メトロセブの包括的な開発戦略等の実現のためのアクションプランである「メガセブ・ロードマップ2050」(下水分野のサブロードマップ含む)の策定をJICAが支援した(技術協力「メトロセブ持続可能な環境都市構築のためのロードマップ策定支援調査」(2013年度~2015年度))。
 また,円借款事業「特別経済区環境整備事業」(1998年~2005年)により,フィリピンの特別経済区(マクタン,バギオ,バターン)を対象に排水処理施設の建設・改修の支援を行った。
 これらの支援を通じて得られた知見を生かすことで,効果的かつ効率的な,メトロセブ地域における汚泥処理に係る運営体制の構築に資する支援の実施が期待される。

2-3 有効性

 本計画の実施により,以下の成果が期待される。

  • (1)定量的効果:定期的に汚泥を収集する世帯数が,基準年(2017年)実績値である約4,600世帯から,2025年(事業完成3年後)には約43,700世帯に,また,汚泥収集処理量が,同様に約1.4万立方メートル/年から約11.0万立方メートル/年にそれぞれ増加する見込み。
  • (2)定性的効果:腐敗槽汚泥処理施設の建設及び腐敗槽汚泥収集車両の導入並びに運営体制の構築を支援することにより,家庭汚泥の処理が促進される。また,汚泥が収集されたのち脱水され,脱水時の分離液も適正に水処理がなされて公共用水域に放流されるほか,脱水汚泥も処分場に廃棄されるため,水・衛生環境の改善が期待される。

3 事前評価に用いた資料及び有識者等の知見の活用等

  • (1)フィリピン政府からの要請書
  • (2)技術協力「メトロセブ持続可能な年構築のためのロードマップ策定支援調査」
  • (3)フィリピン国別評価(第三者評価)報告書(2010年度)
ODA(政府開発援助)
ODAとは?
広報・イベント
国別・地域別の取組
SDGs・分野別の取組
ODAの政策を知りたい
ODA関連資料
皆様の御意見
政策評価法に基づく事前・事後評価へ戻る