ODA(政府開発援助)

政策評価法に基づく事前評価書

平成29年6月7日

評価年月日:平成29年6月1日
評価責任者:国別開発協力第一課長 原 圭一

1 案件概要

(1)供与国名

ベトナム社会主義共和国

(2)案件名

海上保安能力強化計画

(3)目的・事業内容

 本計画は,ベトナム海上警察が運用する巡視船6隻を整備することにより,ベトナムの領海等における海難救助や海上法執行等,ベトナム海上警察が海上保安活動を適切に実施するための能力向上を図り,もって同国のガバナンス強化に寄与するもの。

  • ア 主要事業内容
    • (ア)巡視船6隻(全長約79メートル)の建造
    • (イ)コンサルティング・サービス(入札補助,施工監理等)
  • イ 供与条件
    供与限度額 金利 償還(据置)期間 調達条件
    384.82億円 年0.1% 40(10)年 日本タイド

    (注)コンサルティング・サービス部分は金利0.01%を適用。

(4)環境社会配慮,外部要因リスクなど留意すべき点

 本計画の環境社会配慮カテゴリ分類は「C」であり,外部要因リスクは特にない。

2 資金協力案件の評価

(1)必要性

  • ア 開発ニーズ
    • (ア)ベトナムはインドシナ半島の東部に位置し,約3,200キロメートルに渡る海岸線を有しており,約100万平方メートルの排他的経済水域を持つ。同国が面している南シナ海は,アジアでも有数の好漁場であるとともに,天然ガスや石油の埋蔵量も多く,経済活動が活発に行われている。また,中東からアジア各国に原油・液化天然ガスを運ぶ大型タンカー等が多数航行する海上交通の要衝でもあることから,同海域の安全確保は,日本はもとより,アジア全体の安定に不可欠といえる。
    • (イ)本計画で支援するベトナム海上警察の所管する海域では,海難事故の発生リスクが高く,また違法操業,密輸出入事件,海賊案件も発生しており,海上犯罪への取締りも課題となっているが,巡視活動に適した船舶の数が不足しており,外洋の巡回業務や事故発生時の捜索救難活動等に必要な体制を整備出来ていない状況にある。したがって,ベトナムの海上法執行能力を強化する本計画の実施ニーズは大きい。
  • イ 我が国の基本政策との関係
    • (ア)我が国は,これまでにも海上保安分野での支援実績があり,また本計画は対ベトナム国別援助方針「ガバナンス強化」に合致しており,更に持続可能な開発目標(SDGs)のゴール14及び16の達成に貢献すると考えられることから,同分野における我が国の継続的な支援への期待は高い。
    • (イ)2014年3月に安倍総理及びサン国家主席によって表明された日・越「戦略的パートナーシップ」において,海洋協力の分野では,「海洋の安全に関し,両国間の協力を更に強化すること」が確認されている。また,2015年7月に行われた安倍総理及びズン首相による首脳会談においても,「海における法の支配」に基づいて国際法を遵守するよう共に協力していくことが確認され,安倍総理より,新造巡視船艇について,両国間の協議を進め早期に実現したいとの表明があった。更に,2016年の安倍総理とフック首相による首脳会談においても,この方針が確認されていることから,本計画は両国関係の更なる強化及び日本の外交政策の推進の観点から重要である。

(2)効率性

 JICAがベトナムに対してこれまでに海上保安分野の課題別研修を実施している。また,外務省は,2014年及び2015年に無償資金協力「中古船舶及び海上保安関連機材の供与」を実施しており,本計画との相乗効果が期待される。

(3)有効性

 本計画の実施により,以下の成果が期待できる。
 ベトナム海上警察における海上保安活動に係るオペレーション能力が向上・改善するとともに,巡視可能な海域が広がる。
 本計画の実施により,海上保安業務を行っているベトナム海上警察が所管する海域の安全を確保するために,継続的に巡視経海業務に当たることができる船舶の絶対数が不足している中,巡視活動能力が大幅に強化され,海難事故に対しての迅速な対応や,違法操業,密輸出入事件や海賊事案等様々な違法行為の取締り,摘発件数の増加が想定され,多くの尊い人命が救助されることが期待される。

3 事前評価に用いた資料,有識者等の知見の活用

  • (1)ベトナム国別評価報告書,国際協力機構(JICA)環境社会配慮ガイドライン,その他国際協力機構(JICA)から提出された資料。
  • (2)案件に関する情報は,交換公文締結後に公表される外務省の約束状況に関する資料及び案件概要,借款契約締結後公表される国際協力機構(JICA)のプレスリリース及び事業事前評価表を参照。
  • (3)なお,本案件に関する事後評価は実施機関である国際協力機構(JICA)が行う予定。