ODA(政府開発援助)
政策評価法に基づく事前評価書
平成28年3月23日
評価年月日:平成28年3月7日
評価責任者:国別開発協力第1課長 原 圭一
1 案件名
1-1 供与国名
カンボジア王国
1-2 案件名
チュルイ・チョンバー橋改修計画
1-3 目的・事業内容
本計画は,首都プノンペンにおいて,首都中心部とチュルイ・チョンバー地区を結ぶ国道6A号線のチュルイ・チョンバー橋を改修することにより,安全で円滑な交通・物流の確保を図り,もって経済基盤の強化に寄与するもの。供与限度額は33.43億円である。
1-4 環境社会配慮,外部要因リスクなど留意すべき点
工事期間中,本橋の通行止めと第二橋への交通振り替えが実施されること。
2 無償資金協力の必要性
2-1 必要性
- (1)カンボジア国内では経済発展に伴い交通量が急増しており,主要国道を中心に道路整備が進められている。首都プノンペン北部に位置し,国道6A号線の起点部にてトンレサップ川に架かるチュルイ・チョンバー橋(以下「本橋」という。)は,1961年に我が国資金によって建設され,カンボジア国王から「日本・カンボジア友好橋(日本橋)」と命名されたもの。本橋は,プノンペン北部の住民にとって重要な通勤・生活道路の一部であると同時に,農業や林業及び関連産業が盛んな北東9州と首都とを結ぶ交通・物流の要所となっている。
- (2)2014年11月には,交通量の増大から,本橋に並行する第二チュルイ・チョンバー橋(以下「第二橋」という。)の供用を開始し,本橋とあわせて4車線として運用している。
- (3)しかしながら,本橋開通から53年が経過し,この間我が国支援により改修が行われてきているが,アプローチ橋の支承及び橋桁の端に著しい損傷が発見される等している。現在は大型車両の通行を制限して運用せざるを得ず,国道6A号線の交通の円滑化に大きく支障が出ており,本橋の全面的な改修・補強が喫緊に必要である。
2-2 効率性
技術協力プロジェクト「道路・橋梁の維持管理能力強化プロジェクト」(2015-2019年)により強化されたカンボジア政府の橋梁の維持管理能力が,本橋の維持管理にも適用される。
2-3 有効性
本件の実施により,以下のような成果が期待される。
- (1)本橋を通行する車両の平均走行速度が2015年の26.8km/hから,事業完成3年後の2021年には40km/hに増加する。
- (2)本橋を通行する大型車の通行台数が,2015年の0台/日から,事業完成3年後の2021年に1,278台/日まで増加する。
- (3)プノンペン北部の住民の学校,病院,職場へのアクセスが向上する。また,カンボジア北東9州と,プノンペン市内間との輸送安定化による経済活性化が期待できる。
3 事前評価に用いた資料及び有識者等の知見の活用等
- (1)カンボジア政府からの要請書
- (2)JICAの調査報告書(JICAを通じて入手可能)