ODA(政府開発援助)

平成27年12月21日

評価年月日:平成27年6月25日
評価責任者:国別開発協力第二課長 花尻 卓

1 案件名

(1)供与国名

ネパール連邦人民共和国

(2)案件名

ネパール地震復旧・復興計画

(3)目的・事業内容

 本計画は,ネパール地震により特に甚大な被害を受けた14郡において,公共施設,道路及び橋梁等の再建・整備並びに被災者支援のための施設・機材等の整備等を行うことにより,「より良い復興(Build Back Better)」の実現を図り,もって持続可能で均衡のとれた経済成長のための社会基盤・制度整備に寄与するもの。供与額は40億円。

(4)環境社会配慮,外部要因リスクなど留意すべき点

 考慮すべき留意点としては,以下の事項が挙げられる。

  • ア 緊急開発調査において事業内容の妥当性・有効性が確認されること。
  • イ 極端な価格上昇が発生しないこと。
  • ウ 各サブプロジェクトの実施機関が,ネパール国内法制度およびJICA環境社会配慮ガイドラインに基づき必要な対応策をとること。

2 無償資金協力の必要性

(1)必要性

  • ア 2015年4月25日,首都カトマンズ北西約80キロ(ガンダキ県ラムジュン郡)を震源とするM7.8の地震が発生。その後の余震の影響もあり,これまでに死者8,631人,負傷者16,808人,全壊家屋約50万戸,半壊家屋約27万戸という,甚大な被害が生じた(5月21日時点)。
  • イ ネパール政府は,今般の地震による被害総額が約100億ドル(同国のGDPは192億ドル)に達する可能性があるとしており,また,アジア開発銀行(ADB)は,同国の2014/2015年度(2014年7月~2015年7月)の実質GDP成長率予測値を0.8%下方修正し,3.8%とするなど,同国経済への深刻な影響が見込まれている。
  • ウ 国連やネパール政府等の試算によれば,特に被害が大きく激震地に指定された14郡には,全人口の20%が居住しており,今次地震の死傷者並びに重大な被害を受けた公共施設及び個人住宅のいずれにおいても,全体の90%以上の被害がこれら14郡に集中している(2015年5月9日現在)。また,今次地震で発生した地滑り等により,全国的に多くの道路や橋梁が被害を受けたため,これら14郡を含む被災地の復旧・復興の足かせとなっている。
  • エ かかる状況を受け,ネパール政府から我が国に,復旧・復興のための公共施設,道路,橋梁等の再建・整備及び被災者支援のための施設・機材等の整備について支援要請がなされた。
  • オ 本計画は,我が国政府が2015年3月に発表した「仙台防災協力イニシアティブ」の基本方針である「より良い復興(Build Back Better)」のコンセプトに基づいた早期の震災復興を促進するものであり,実施の意義は大きい。

(2)効率性

  • ア 本計画には,複数の分野にわたるサブプロジェクトと,複数の実施機関が関わることが想定されるため,ネパール政府関係機関で構成する進捗管理委員会を立ち上げ,プログラムとして進捗管理,必要な調整,問題への対応等を行う体制を構築する。
  • イ 災害復旧・復興の現場における資材や人件費の高騰を想定し,事業の迅速な実施のために,価格上昇を考慮したサブプロジェクトの詳細検討を行う。
  • ウ 持続的な開発につながるよう,地震以外の災害リスクも加味した復興支援を実施する。

(3)有効性

 本件の実施により,支援対象施設の公共サービスの質及び防災力の向上,同地域の持続的な社会・経済開発,「より良い復興(Build Back Better)」の実現が期待される。

3 事前評価に用いた資料及び有識者等の知見の活用等

  • (1)ネパール政府からの要請書
  • (2)災害後ニーズ調査報告書
  • (3)防災協力イニシアティブの評価報告書
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