ODA(政府開発援助)
政策評価法に基づく事前評価書
平成27年10月7日
評価年月日:平成27年10月5日
評価責任者:国別開発協力第二課長 田中 秀治
1 案件概要
(1)供与国名
スリランカ民主社会主義共和国
(2)案件名
バンダラナイケ国際空港改善計画(フェーズ2)(第二期)
(3)目的・事業内容
大コロンボ圏の玄関口であるバンダラナイケ国際空港において,空港施設及び附帯施 設・設備を整備することにより,運輸ネットワークの強化を図り,もって経済成長の促進に寄与するもの。
- ア 主要事業内容
- (ア)土木工事(旅客ターミナルビル,駐機場,高架アクセス道路等)
- (イ)コンサルティング・サービス
- イ 供与条件
供与限度額 金利 償還(うち据置)期間 調達条件 450.28億円 0.1% 40(10)年 日本タイド コンサルタント部分は金利0.01%を適用。
(4)環境社会配慮,外部要因リスクなど留意すべき点
- ア EIA(環境影響評価)
- (ア)本計画は,「国際協力機構環境社会配慮ガイドライン」に掲げられる影響を及ぼしやすいセクター,特性及び影響を受けやすい地域に該当せず,環境への望ましくない影響は重大でないと判断されるため,カテゴリBに該当する。環境影響評価(EIA)報告書は,同国国内法上作成が義務付けられていないが,実施機関は環境管理計画を含む報告書を中央環境庁に提出し,同庁の承認を取得予定。
- (イ)汚染等対策:施設内で発生する汚水について,空港敷地内にある汚水処理施設にて浄化処理が行われる予定。また,施設内焼却炉から発生する排出ガスに関しては,適切な廃棄物焼却方法を適用して,スリランカ国内の環境基準を満たす見込み。
- (ウ)自然環境面:事業対象地域は,国立公園や世界遺産等の影響を受けやすい地域又はその周辺に該当せず,自然環境への望ましくない影響は最小限であると想定される。
- イ 用地取得及び住民移転
本計画は実施機関の所有地内で実施されるため,用地取得及び住民移転は伴わない。 - ウ 外部要因リスク
特になし。
2 資金協力案件の評価
(1)必要性
- ア 開発ニーズ
2009年の国内紛争終結以降,復興需要に伴う急速な経済成長を背景として,スリランカを訪問するビジネス関係者及び観光客は当初の需要予測を大幅に超えて急増している。スリランカ政府は旅客数の需要予測が2020年時点で当初計画を3割以上上回ると見込み,2020年までにバンダラナイケ空港を年間旅客取扱容量1,500万人規模に拡張する計画を決定し,早急な旅客ターミナルの拡張が必要となっている。 - イ 我が国の基本政策との関係
我が国の「対スリランカ国別援助方針(2012年6月)」では,援助重点分野として,「経済成長の促進」を掲げており,本計画は右重点分野に合致する。
(2)効率性
担当機関であるスリランカ空港公社は,過去の円借款事業を通じ建設された空港施設を適切に運用及び維持管理を行っており,十分な実績・知見を有している。同公社は,空港拡張に伴い新規に配置される職員に対し研修を実施し,引き続き運用・維持管理を図る。
(3)有効性
本計画は,大コロンボ圏の玄関口であるバンダラナイケ国際空港において,空港の施設及び附帯施設・設備を整備することにより,運輸ネットワークの強化を図り,もってスリランカの経済成長に促進に寄与するもの。本計画では,2020年(事業完成2年後)目標値として,(ア)航空機年間国際線発着回数を91,438回(2013年実績:47,027回),(イ)年間国際線旅客数14,726千人(2013年実績:7,312千人)を達成することを目指している。
3 事前評価に用いた資料,有識者等の知見の活用
要請書,スリランカ国別評価報告書(2013年度),国際協力機構環境社会配慮ガイドライン,その他国際協力機構から提出された資料。
案件に関する情報は,交換公文締結後公表される外務省の約束状況に関する資料及び案件概要(国別約束情報(年度別交換公文(E/N)データ)),借款契約締結後公表される国際協力機構のプレスリリース及び事業事前評価表
を参照。
なお,本案件に関する事後評価は実施機関である国際協力機構が行う予定。