ODA(政府開発援助)
政策評価法に基づく事前評価書
評価年月日:平成27年8月24日
評価責任者:国別開発協力第一課長 原 圭一
1 案件概要
(1)供与国名
フィリピン共和国
(2)案件名
ダバオ市バイパス建設計画(南・中央区間)
(3)目的・事業内容
ミンダナオ島ダバオ市南端部と同市中心部を結ぶバイパス道路の建設及び既存道路の舗装改良を実施することにより,同市を核とするミンダナオ島最大級の経済圏内の物流改善とダバオ市内の交通渋滞の改善を図り,持続的経済成長及びミンダナオにおける平和と開発に寄与するもの。
- ア 主要事業内容
- 土木工事
- コンサルティング・サービス
- イ 供与条件
供与限度額 金利 償還(据置)期間 調達条件 239.06億円 年0.1% 40(10)年 日本タイド (注)STEP(本邦技術活用条件)を適用。但し,コンサルタント部分は0.01%
(4)環境社会配慮,外部要因リスクなど留意すべき点
- ア 環境影響評価(EIA):本計画は,「国際協力機構環境社会配慮ガイドライン」上,環境への望ましくない影響は重大でないと判断され,かつ,同ガイドラインに掲げる影響を及ぼしやすい特性及び影響を受けやすい地域に該当しないため,カテゴリBに該当する。
- イ 用地取得及び住民移転:本計画では24世帯(96人)の住民移転及び172.8haの用地取得を伴い,同国国内手続き及び住民移転計画に沿って手続きが進められる。
- ウ 外部要因リスク:特になし。
2 資金協力案件の評価
(1)必要性
- ア 開発ニーズ
ミンダナオ島はフィリピン南部に位置する面積約10.2万キロ平方メートル,人口約2,200万人の島である。ダバオ市の主要輸出港であるササ港等からミンダナオ島の主要輸出品目である農産物や工業製品が輸出されており,ダバオ市は島外へのゲートウェイの機能を有し,経済成長の牽引役として,今後重要性を増すことが見込まれている。しかしながら,ダバオ市中心部では,人口過密に伴う交通渋滞が深刻化しており,輸送コストの押し上げにつながっている。
また、フィリピン政府は,「フィリピン開発計画」(2011~2016年)において,運輸交通セクターの優先課題として,マニラ首都圏を中心とする中央から地方に整備対象範囲を拡大し,マニラ以外の主要地域の経済成長を促進することを掲げている。 - イ 我が国の基本政策との関係
対フィリピン国別援助方針における以下3つの重点分野のうち,「ダバオ市バイパス建設計画(南・中央区間)」は下記(ア)及び(ウ)に該当する。- (ア)投資促進を通じた持続的経済成長
- (イ)脆弱性の克服と生活・生産基盤の安定
- (ウ)ミンダナオにおける平和と開発
(2)効率性
本計画では,維持管理主体となる民間事業者への適切なモニタリングが行われるよう,日本の技術を活用しつつトンネル維持管理に係る実施機関の能力強化を行うことで,効率的・効果的な運営・維持管理の実施を図る。また,維持管理主体となる民間事業者についてはトンネル維持管理実績を持つ海外事業者との共同企業体の組成が予定されている。
(3)有効性
本計画は、ミンダナオ島ダバオ市を核とするミンダナオ島最大級の経済圏内の物流改善と同市内の交通渋滞の改善を図り,投資促進を通じた持続的経済成長及びミンダナオにおける平和と開発に寄与するもの。また,本邦技術活用により,我が国と同国の二国間関係の緊密化等に貢献することが期待される。運用・効果指標として,シラワンからササ港までの所要時間は基準値1.27時間(2013年:実績値)から0.47時間(2023年:事業完成二年後目標値)となる見込み。
3 事前評価に用いた資料,有識者等の知見の活用
要請書,フィリピン国別評価報告書,国際協力機構環境社会配慮ガイドライン,その他国際協力機構より提出された資料。
案件に関する情報は,交換公文締結後公表される外務省の約束状況に関する資料及び案件概要(国別約束情報(年度別交換公文(E/N)データ)),借款契約締結後公表される国際協力機構のプレスリリース及び事業事前評価表
を参照。
なお,本案件に関する事後評価は実施機関である国際協力機構が行う予定。