ODA(政府開発援助)

平成27年8月27日

評価年月日:平成27年5月13日
評価責任者:国別開発協力第三課長 西永 知史

1 案件名

1-1 供与国名

セネガル共和国

1-2 案件名

カオラック州,ティエス州及びファティック州中学校建設計画

1-3 目的・事業内容

 本事業は,対象3州(カオラック州カオラック県・ニオロ県,ティエス州ンブール県及びファティック州ファティック県)において,中学校の施設建設及び教育家具の整備・供与を行うことにより,基礎教育へのアクセス改善,教育の質の向上と教育マネジメント強化を図り,もって基礎的社会サービスの向上に寄与する。供与限度額は13.49億円である。

1-4 環境社会配慮,外部要因リスクなど留意すべき点

  • (1)本事業は,中学校の施設建設及び教育家具の整備・供与を主たる内容としており,特段の環境社会影響は想定されないところ,JICA環境社会配慮ガイドラインにおいてもカテゴリーC(環境社会への影響が最小限)に分類される。
  • (2)本事業実施の前提条件として,先方政府により適切な教員配置及び敷地整備等の予算措置がなされる必要がある。

2 無償資金協力の必要性

2-1 必要性

  • (1)セネガル政府は「教育の質・公平性・透明性改善計画(2013年~2025年)」において,初等教育(6年)と前期中等教育(4年)を合わせた10年間の基礎教育の普遍化を最優先課題の一つとして掲げている。
  • (2)セネガルでは,2005年から初等教育に加えて前期中等教育も義務化され,初等教育総就学率は67.2%(2000年)から93.9%(2011年),前期中等教育総就学率が19.6%(2000年)から53.2%(2011年)と,近年ともに向上している(セネガル2011年度版全国教育統計報告書)。また,前期中等教育(中学校)の生徒数は,2004年から2012年の間に,約31万人から約71万人に増加し,平均年間増加率は約11%である(セネガル全国教育統計2012/2013)。この様な背景の下,教育施設の拡充ニーズは初等教育から依然として不足が顕著な前期中等教育へ移行しつつある。
  • (3)本事業の対象地域である地方都市部では,1教室あたりの生徒数が政府による1教室当たりの標準人数(45人)と比べて高く(カオラック州:54名,ティエス州:59名,ファティック州:51名),特に本事業対象地域は1教室当たりの生徒数が100名を超える状態にある。加えて,2011年に前期中等教育への入学条件であった初等教育修了資格が免除されたことから,今後も前期中等教育学齢期の生徒数増加や前期中等教育進学率の向上に伴い中学生数の増加傾向は続き,教室不足や過密状態の悪化が懸念される。かかる状況から,本事業による施設建設と教室家具の整備が求められている。

2-2 効率性

  • (1)本邦コンサルタントが現地業者による施工の監理を行うことで効率性を高める。
  • (2)技術協力プロジェクト「教育環境改善プロジェクトフェーズ2」(2010年~2015年)及び「理数科教育改善プロジェクトフェーズ2」(2011年~2015年)において,初等教育レベルで質の高い教育を受けた児童が,初等教育修了後,本事業にて整備される中学校へと進学し,改善されたアクセス・学習環境下にて基礎教育課程を継続することが期待される。
  • (3)無償資金協力により「ファティック州教員研修センター整備計画」(2014年~2016年)を実施しており,同教員研修センターで養成される教員が本事業で建設された中学校に配属されることが期待される。

2-3 有効性

 本件の実施により,以下のような成果が期待される。

  • (1)事業完成後3年目(2020/2021年度)に,計画対象校における継続使用可能な教室数が,68教室(基準値:2014/2015年度)から251教室に増加し,計画対象校における継続使用可能な1教室当たりの生徒数151名(基準値:2014/2015年度)から49名に減少する。
  • (2)約12,300名分の生徒の良好な学習環境を整備することにより,前期中等教育の質の改善に寄与する。
  • (3)男女別トイレを整備することにより,女子生徒の就学意欲が向上する。

3 事前評価に用いた資料及び有識者等の知見の活用等

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