ODA(政府開発援助)
政策評価法に基づく事前評価書
令和4年5月6日
評価年月日:令和4年4月26日
評価責任者:国別開発協力第三課長 西野 修一
1 案件名
1-1 供与国名
南スーダン共和国(以下「南スーダン」という。)
1-2 案件名
ジュバ市内橋梁建設計画
1-3 目的・事業内容
本計画は、ジュバ市内において同市内の幹線道路上にある4橋梁の架け替えを行うことにより、安全な通行の確保および交通容量の拡大を図り、もって基礎的な経済・社会インフラ整備に寄与するもの。供与限度額は、26.55億円である。
1-4 環境社会配慮、外部要因リスクなど留意すべき点
- ア 環境社会配慮カテゴリー分類はBであり、自然条件への望ましくない影響は最小限である。
- イ 以下の事項が南スーダン政府により実施される必要がある。
- 先方政府の負担事項(整地、インフラ引き込み等)
- 必要な人材配置がなされること。
2 無償資金協力の必要性
2-1 必要性
- (1)南スーダンは、1955年以降二度にわたるスーダン内戦を経て、2011年7月に独立を果たしたが、長年にわたる内戦は、経済状況の悪化を招き、住民の基礎的な生活環境に大きな影響を及ぼした。同国の首都であるジュバ市では、人口が急激に増加しており、内戦により荒廃し老朽化した都市インフラの整備が復興・開発に向け緊急の課題となっている。主要物資をケニア・ウガンダ等の近隣国から輸入している南スーダンにとり、国際幹線道路と国内輸送の結節点となっているジュバの道路インフラの整備は、物流改善の観点からも重要である。
- (2)同市内道路については、土道区間が多くを占め、また排水道路も十分に整備されていないため、雨期に通行が困難となる区間も多い。また、市内幹線道路に位置する橋梁も、幅が狭く交通のボトルネックとなるもの、施工不良又は老朽化により崩落の危険性があるものが混在し、重車両の通行が制限されており、将来交通の増加に対応することは困難である。
- (3)我が国が南スーダンの国造りを支援することは、同国の平和の定着に資するのみならず、アフリカ全体の安定に大きく寄与するとともに、原油を中心とした豊富な天然資源を有する同国との二国間関係を強化することにも寄与する。また、現在、和平合意履行プロセスが進捗しており、本計画の実施を通じて、地域住民に対する平和の配当を示す意義は高く、併せて和平プロセスの進捗に向けた支援における我が国のプレゼンス確保にもつながる。
2-2 効率性
南スーダンでは資機材の大部分を国外からの持ち込み、技能労働者も第三国人の雇用とせざるを得ないことや、物価上昇による資材価格の高騰も見込まれることから、優先度の高い市内の4橋梁のみの架け替えとすることでコスト縮減を図った。
2-3 有効性
本計画の実施により、以下のような成果が期待される。
- (1)4橋梁の一日当たりの交通量(乗用車換算)は、2021年の実績値に比較して、供用10年後(2035年:目標値)には、それぞれ70%以上増加することが見込まれる。
- (2)旅客輸送や物流の定時性が確保されるとともに、橋梁通行時の安全性及び交通の利便性が向上する。
3 事前評価に用いた資料及び有識者等の知見の活用等
- (1)南スーダン政府からの要請書
- (2)JICA協力準備調査報告書(JICAを通じて入手可能)
(注)本計画は平成28年5月20日に閣議決定されたが、同年7月の南スーダンの治安悪化により交換公文の署名に至ることができなかった。その後、再度の治安悪化及び新型コロナウイルス感染の拡大等により実施が困難であったものの、令和3年6月に事業化調査を行い、改めて交換公文の署名を行い、案件を実施するもの。