ODA(政府開発援助)

令和4年4月15日

評価年月日:令和4年2月7日
評価責任者:国別開発協力第三課長 西野 修一

1 案件名

1-1 供与国名

 コンゴ民主共和国(以下「コンゴ(民)」という。)

1-2 案件名

 マタディ港コンテナターミナル整備計画

1-3 目的・事業内容

 マタディ港運輸港湾公社のコンテナターミナルにおいて、コンテナヤード舗装の改良とターミナル・オペレーションシステム(TOS)の導入により、コンテナヤードにおけるコンテナ蔵置スペースの回復及び安全性の向上並びに荷役作業の効率化を図り、もってマタディ港の能力強化を通じたコンゴ(民)の運輸インフラ整備に寄与するもの。
 供与限度額は24.89億円。

1-4 環境社会配慮、外部要因リスクなど留意すべき点

 本事業は、JICA環境社会配慮ガイドライン(2010年4月制定)におけるカテゴリーBであり、環境への望ましくない影響は重大でないと判断される。また、前提・外部条件として、サイトの治安が悪化しないこと及び感染症拡大により現地渡航及び活動が制限されないこと等が挙げられる。

2 無償資金協力の必要性

2-1 必要性

  • (1)コンゴ(民)(一人当たり国民所得550ドル)は、OECD開発援助委員会(DAC)の援助受取国リストにおいて、後発開発途上国(LDC)に分類されている。
  • (2)コンゴ(民)は、サブサハラ・アフリカ諸国で最大の国土を有する世界有数の資源国であり、世界第2位の面積を誇る広大な熱帯林と豊かな水資源も有している。一方で、同国は1990年代から2000年代初期にかけての国内・地域紛争及びそれに引き続く混乱の時代を経験し、インフラの未整備及び老朽化が深刻な課題となっており、国家開発戦略計画(2019~2024)の重点分野として「インフラ整備」を掲げ、その一環として既存インフラの改修・保全に取り組む方針である。
  • (3)中央コンゴ州に位置するマタディ港は、同国の輸入貨物の約4割が荷揚げされる国内最大の河川港で、首都キンシャサ等と国際航路を繋ぐ主要港であり、国際・国内物流の拠点となっている。他方で、1930年代に建設された同港コンテナヤードの舗装は劣化し、多数の水たまりが発生し、荷役機械の走行に支障をきたすとともに、コンテナ蔵置スペースの減少により蔵置能力が低下している。また、TOSが未導入のため、荷役効率が低下している。
  • (4)かかる状況から、マタディ港において、2030年に約38.1万TEUまで増加することが見込まれるコンテナ取扱い需要に対応するため、コンテナヤードの舗装の改良及びTOSの導入によるコンテナヤードにおけるコンテナ蔵置スペースの回復、荷役の安全性の向上並びに荷役作業の効率化を図り、もってコンテナ需要が拡大するマタディ港のコンテナ取扱い容量の増大による物流の安定性向上に貢献することを目的として、コンゴ(民)政府から我が国に対して、マタディ港コンテナターミナル改良に係る支援が要請された。
  • (5)我が国は、対コンゴ(民)国別開発協力方針において、運輸交通インフラの整備等を中心に、我が国の質の高いインフラ投資を通じた同国政府の経済発展のための取組を支援することを重点目標として掲げているほか、第7回アフリカ開発会議(TICAD7)において、アフリカにおける連結性強化に向けた質の高いインフラ投資を支援する旨表明しており、本事業はこれら方針に合致する。
  • (6)また、本事業は、マタディ港コンテナターミナルの効率化の推進を通じて、同国の物流の安定化に資するものであり、SDGsゴール9「産業と技術革新の基盤構築」にも貢献すると考えられることから、本事業の実施を支援する必要性は高い。

2-2 効率性

 コンゴ(民)政府の要請を踏まえつつ、現地調査による支援対象の絞り込みを実施し、必要かつ適切な規模とするとともに、事業費の妥当性を検討した。また、コンテナターミナルの舗装改良は経年劣化の少ないコンクリート舗装とし、維持管理が容易・安価となるよう努めるなど、コスト縮減を図った。

2-3 有効性

 本計画の実施により、基準値(2020年実績値)と事業完成から3年後の2027年の目標値を比べると、主に以下のような効果が期待される。

  • (1)定量的効果:コンテナ蔵置スロット数が、1,040TEUから1,187TEUに、年間コンテナ貨物取扱量が、54,000TEU/年から100,000TEU/年に、ヤード内コンテナの平均滞留日数が、10日から7日となる。
  • (2)定性的効果:コンテナヤード内における荷役時の安全性が向上するとともに、国内物流の持続性・安定性が向上する。

3 事前評価に用いた資料及び有識者等の知見の活用等

  • (1)コンゴ(民)政府からの要請書
  • (2)JICA協力準備調査報告書(JICAを通じて入手可能)
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