ODA(政府開発援助)

令和4年2月9日

評価年月日:平成30年9月6日
評価責任者:国別開発協力第三課長 井関 至康

1 案件名

1-1 供与国名

 タンザニア連合共和国(以下「タンザニア」という。)

1-2 案件名

 キゴマ港改修計画(以下、「本計画」という。)

1-3 目的・事業内容

 港湾施設の老朽化が深刻であるキゴマ港において、旅客埠頭の改修、貨物倉庫の建設及び旅客埠頭へのアクセス道路の舗装を行うことにより、旅客の乗降や荷役の安全性・効率性の改善を図り、もって中央回廊上の交易、輸送の改善に寄与するもの。供与限度額は27.26億円。

1-4 環境社会配慮、外部要因リスクなど留意すべき点

 本計画は、「国際協力機構環境社会配慮ガイドライン」上大規模なものに該当せず、環境への望ましくない影響は重大でなく、また、影響を及ぼしやすい特性及び影響を受けやすい地域に該当しないため、環境社会配慮カテゴリはBである。
 汚染対策について、工事中の大気汚染・水質汚濁・廃棄物等には、重機のアイドリングストップ、散水、汚水処理タンクの設置、建築廃材の再利用等の対策を講じることで影響は最小化される見込み。供用開始後の水質汚濁、廃棄物等については、シルトカーテンの設置、キゴマ・ウジジ両市が運営する廃棄物処理場での運搬処理等の対策を講じることで、影響は最小化される見込み。

2 無償資金協力の必要性

2-1 必要性

  • (1)タンザニア連合共和国(一人当たり国民所得900ドル)は、OECD開発援助委員会(DAC)の援助受取国リスト上、貧困国に分類されており、貧困率は28.2%と高い水準である。
  • (2)タンガニーカ湖に面するキゴマ港は、ダルエスサラームから陸路(鉄道・道路)を経て同港に至り、同港から水路を経てブルンジ、コンゴ民主共和国、ルワンダ、ザンビアへと通じる中央回廊上に位置し、物流・人流拠点として重要度が高い。一方で、キゴマ港の各港湾施設は整備されてから約100年が経過していることから老朽化が深刻である。旅客埠頭に関しては、桟橋施設のコンクリート杭の劣化により安全面に課題がある上に、水深不足から旅客船は接岸できず、船と岸壁の間にバージと不安定なタラップを通した状態での危険かつ非効率な旅客の乗降や貨物荷役を余儀なくされている。また旅客埠頭へのアクセス道路は未舗装であり、旅客・貨物車両の通行に支障を来たしている。キゴマ港の近代化は、中央回廊の物流及び人流の促進における喫緊の課題となっており、同国政府が策定した「第二次五カ年開発計画」では、中央回廊開発におけるフラッグシップ事業として位置づけられている。
  • (3)キゴマ港の改修を含む中央回廊開発はタンザニア現政権下の最優先事業であることから、同国政府は我が国に対して、旅客埠頭の改修、旅客ターミナルの建設、貨物倉庫の建設、アクセス道路の舗装を含むキゴマ港の改修に対する支援を要請した。
  • (4)本計画は、我が国の対タンザニア国別開発協力方針(平成29年9月)の重点分野(中目標)の「経済・社会開発を支えるインフラ開発」に位置づけられる。
    また、我が国は、2013年6月のTICADVにおいて、アフリカにおける五大成長回廊整備支援の一つとしてタンザニアを起点とする中央回廊整備支援を掲げており、本計画は同支援を具現化するものである。さらに、キゴマ港はブルンジ、コンゴ民主共和国、ルワンダ、ザンビア等の内陸国を外洋(インド洋)に繋ぐ結節点に位置しており、自由で開かれたインド太平洋戦略の推進にも資する。
  • (5)タンザニアは金や天然ガス等天然資源が豊富であり、東アフリカ共同体(EAC)の本部が所在する同地域における重要国である。また、同国は国際社会において我が国と基本的立場をともにする友好国である。独立以来穏健な外交方針と安定した内政を維持してきた同国の社会・経済の安定と成長の維持は、東アフリカ地域全体の安定にとって、また同地域との関係を重視する我が国にとって、極めて重要である。

2-2 効率性

  • (1)旅客埠頭の設計において各構造型式を比較し、本計画では経済性で有利となる鋼矢板式構造を選定した。
  • (2)浚渫及び掘削作業で発生する土砂を、旅客埠頭を現状より広くするための埋立材に利用することで、コスト削減を図った。
  • (3)場内及びアクセス道路の舗装については、コンクリートはアスファルトに比べトラックや荷役車両のような集中荷重に対して強く、耐用年数も長いため、仕様をアスファルト舗装とせずコンクリート舗装とすることで、新たなアスファルトプラントの設置費用を削減した。

2-3 有効性

 本計画の実施により、以下の成果が期待される。

  • (1)旅客埠頭において、岸壁に直接接岸する船舶数が0隻/年(2017年:実績値)から26隻/年(2024年:事業完成3年後)に増加する。
  • (2)旅客の乗船に要する時間が120分/隻(2017年:実績値)から80分/隻(2024年:事業完成3年後)、下船に要する時間が90分/隻(2017年:実績値)から50分/隻に(2024年:事業完成3年後)短縮する。
  • (2)旅客と貨物の動線分離や混雑解消等により、旅客埠頭の安全性・快適性が向上するほか、旅客の乗降・荷役の効率化により、中央回廊の物流及び人流の促進に寄与する。

3 事前評価に用いた資料及び有識者等の知見の活用等

  • (1)タンザニア連合共和国政府からの要請書
  • (2)JICA協力準備調査報告書(JICAを通じて入手可能)
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