ODA(政府開発援助)
政策評価法に基づく事前評価書
令和3年9月22日
評価年月日:令和2年7月16日
評価責任者:国別開発協力第三課長 黒宮 貴義
1 案件名
1-1 供与国名
ガーナ共和国(以下「ガーナ」という。)
1-2 案件名
第二次テマ交差点改良計画
1-3 目的・事業内容
テマ市においてテマ交差点の立体化をすることにより、交通の円滑化を通じたガーナの主要経済圏及び内陸国との交通利便性向上及び物流改善を図り、もってガーナの経済インフラ整備に寄与するもの。
供与限度額は36.56億円。
1-4 環境社会配慮、外部要因リスクなど留意すべき点
- (1)本計画は、JICA環境社会配慮ガイドライン(2010年4月制定)におけるカテゴリBであり、環境への望ましくない影響は重大ではないと判断される。
- (2)施設の効果的な運用及び維持管理を図るための体制が、ガーナ側において構築されること。
2 無償資金協力の必要性
2-1 必要性
- (1)ガーナ(一人当たり国民総所得(GNI)2,130ドル)は、OECD開発援助委員会(DAC)の援助受取国リスト上、低中所得国に分類される。
- (2)同国は、西アフリカ地域において、政治的・社会的安定を保ち、テマ港等大規模商業港や多くの国際回廊を擁することから、同国における運輸交通インフラの整備は、西アフリカ地域の経済成長において重要な役割を果たすことが期待されている。
- (3)同国では、国内輸送の約95%を道路交通が占めているが、高度経済成長に伴い物流量が増加していることから、道路拡張・延伸が喫緊の課題となっている。特に、首都アクラ及び国内最大の商業港テマ港を擁するグレーターアクラ州に同国の人口の約16%、車両の約65%が集中している。また、テマ港の貨物取扱高の増加(2007年から2016年で60%以上)や、同国政府によるテマ港拡張計画、円借款「東部回廊ボルタ川橋梁建設計画」の実施により、首都アクラとテマ港を中心とする経済圏の交通量の増加が見込まれている。
- (4)同国政府は「国家運輸政策」に基づき、西アフリカ地域の交通ハブとしての機能を強化すべく国際幹線道路の整備を進め、「中期国家開発政策枠組み」に基づき、主要都市を結ぶ幹線道路の整備、幹線道路都市部での混雑緩和等に取り組むとしている。
- (5)特に、首都アクラを含む西アフリカの海岸都市を結ぶ「ラゴスーアビジャン回廊」とガーナとブルキナファソを結ぶ「東部回廊」の交差するテマ交差点においては、現行のラウンドアバウト式の交差点では増加する交通量に対応できず、恒常的に交通渋滞が発生し、長距離物流を行う上でボトルネックとなっている。
- (6)我が国は、対ガーナ国別開発協力方針(2019年9月)において、インフラ開発を重点分野の一つに掲げており、本計画は同方針に合致するとともに、SDGsゴール9(強靭なインフラの構築)及びゴール11(持続可能な都市の構築)にも貢献すると考えられる。また、我が国は、2019年8月に開催したTICAD7において、「質の高いインフラ投資に関するG20原則」を踏まえた質の高いインフラ投資の推進を表明しており、本計画はこれを具体化するものである。
- (7)同国は、アフリカ諸国の中でも伝統的な親日国として知られており、国際社会においては、我が国の立場に基本的に好意的な理解を示すことが多く、また、日本企業による西アフリカ進出のゲートウェイとしての期待も高い。
本計画は、二国間関係の維持・発展のみならず、西アフリカ地域全体の経済発展にも裨益する効果を含んでおり、日本企業進出の後押しにもつながることから、外交的意義も高い。
2-2 効率性
- (1)必要性及び施工効率を勘案し、ガーナ政府とも調整の上、本計画の規模の絞り込みを行った。
- (2)新設施設及び機材に関しては複数案を検討し、建設費・維持管理費等の観点及び持続的かつ効率的な運用・維持管理を行う上で最も合理的な計画を採用した。
2-3 有効性
- 本計画の実施により、2015年の実績値を基準値として、事業完成3年後の2026年の目標値と比較すると、以下のような効果が期待される。
- (1)定量的効果
- ア テマ交差点における輸送旅客数が、86.6百万人/年から185.7百万人/年に増加する。
- イ テマ交差点における輸送貨物量が、44.3百万トン/年から91.5百万トン/年に増加する。
- ウ テマ交差点付近2キロメートル区間(西方面から東方面へ)の午前ピーク時の走行時間が、8.2分から2.0分に短縮される。
- エ テマ交差点付近2キロメートル区間(北方面から南方面へ)の午前ピーク時の走行時間が、15.6分から2.0分に短縮される。
- (2)定性的効果
ガーナ、コートジボワール及びトーゴ等を結ぶ沿岸回廊と、ガーナ及びブルキナファソを結ぶ東部回廊の連結性が向上する。
3 事前評価に用いた資料及び有識者等の知見の活用等
- (1)ガーナ政府からの要請書
- (2)JICA協力準備調査報告書(JICAを通じて入手可能)
- (3)ガーナ国別評価報告書(平成21年度【第三者評価】)