ODA(政府開発援助)

令和元年5月28日

評価年月日:平成31年2月8日
評価責任者:国別開発協力第一課長 岡野 結城子

1 案件名

1-1 供与国名

インドネシア共和国(以下「インドネシア」という。)

1-2 案件名

中部スラウェシ州パル第四橋再建計画

1-3 目的・事業内容

 本計画は,中部スラウェシ州の地震・津波により甚大な被害を受けた中核的なインフラ(橋梁,道路等)を再建及び堤防等の公共施設を建設することにより,より災害に強い社会の形成を図り,もってインドネシアの均衡ある発展を通じた安全で公正な社会の実現に向けた支援に寄与する。供与限度額は25億円。

1-4 環境社会配慮,外部要因リスクなど留意すべき点

 本計画は「国際協力機構環境社会配慮ガイドライン」(2010年4月制定)上,JICAの贈与承諾前にサブプロジェクトが特定できず,かつサブプロジェクトが環境への影響を持つことが想定されるため,環境社会配慮カテゴリー分類はFIに該当する。

2 無償資金協力の必要性

2-1 必要性

  • (1)インドネシア(一人あたり国民総所得3,540ドル)は,OECD開発援助委員会(DAC)の援助受入国リスト上,低・中所得国に分類される。
  • (2)2018年9月28日,中部スラウェシ州の州都パル市の北80キロメートルを震源とするマグニチュード7.4の地震が発生した。同震災では,主に液状化に起因すると推測される内陸部での地滑り及び沿岸部の津波の影響により,同年11月20日時点で死者2,101名,重傷者4,438名,行方不明者1,373名,住宅破壊約7万戸という,甚大な被害が生じた。
  • (3)現在,国家開発企画庁が中心となり,我が国からの技術的な助言も活用しつつ復興基本計画の策定を行っており,今後,公共事業・国民住宅省等の関係省庁や地方自治体等が具体的な復興アクションプランを策定の上,各種事業を実施する予定である。また,インドネシアでは,中部スラウェシ州地震・津波の他,ロンボク島地震(2018年8月),スンダ海峡津波(2018年12月)等自然災害が相次いでおり,復興・復旧予算を国内予算だけで対応することができないため,インドネシア政府は,災害復興・復旧の知見を有するドナー国,国際機関の知見及び資金を活用することを要望している。
  • (4)インドネシア政府は,復興・復旧に際して,我が国が「第3回国連防災世界会議」(2015年3月)で発表した「仙台防災協力イニシアティブ」等で示している「より良い復興(Build Back Better)」(災害復興後の復旧・復興段階において,被災の教訓を踏まえ,脆弱性を克服し,次の災害発生に備え,より災害に対して強靭な地域づくりを行うという考え方)を取り入れる意向を示している。
  • (5)本計画は,現在最終調整中の復興基本計画に基づき,インドネシア政府による各種復旧・復興計画の策定及び復旧・復興技術の実施にかかる支援を行う開発計画調査型技術協力「中部スラウェシ州復興計画策定及び実施支援プロジェクト」(以下「緊急開発調査」という。)と連携しつつ計画から実施までの一体的な協力により中核的なインフラを再建することにより,災害に対して強靭な地域づくりに向けたインフラの復旧・復興を実現するものであり,Build Back Betterの考え方を具現化するものでもある。
  • (6)我が国の対インドネシア国別開発協力方針(2017年9月)の重点分野の一つである「均衡ある発展を通じた安全で公正な社会の実現に向けた支援」では,安全で公正な社会に向けた防災対策支援を掲げている。本計画は災害で被害を受けたインフラをより災害に強い形で復旧するものであり,同方針に合致する。また,SDGsゴール9(強靭なインフラの構築)及びゴール11(持続可能な都市)の達成に貢献する。
  • (7)2018年10月1日,安倍総理大臣はジョコ・ウィドド大統領に対して,中部スラウェシ州で発生した地震・津波に関し,「日本は,インドネシアと同様,地震や津波による甚大な被害を多く経験してきており,緊急援助物資の供与をはじめ,最大限の支援を行う用意がある」旨表明しており,本計画の実施が二国間関係の強化に資することが期待される。

2-2 効率性

  • (1)我が国は,インドネシア中部スラウェシ州の地震・津波発生を受け,緊急援助及び被災状況に係る情報収集のためのJICA調査団の派遣を皮切りに,インドネシア政府策定の復興基本計画(最終調整中)に対する技術的な助言や,具体的な復興アクションプランの作成や事業実施支援のために緊急開発調査を実施している。本計画は,同復興基本計画に則り,上記緊急開発調査及びその他のJICA技術協力と連携して実施される。
  • (2)中部スラウェシ州地震・津波の復興・復旧については,アジア開発銀行(ADB),世界銀行等が支援を表明しており,他ドナーによる支援内容と調整を図った上で本計画を実施する。

2-3 有効性

 本計画の実施により,以下の成果が期待される。

  • (1)定量的効果:具体的なサブプロジェクトの妥当性・有効性については,緊急開発調査で確認予定。
  • (2)定性的効果
    • ア 迅速に強靭なインフラを再建することにより,被災地の持続的な社会・経済開発に資する。
    • イ 我が国が発表した「仙台防災協力イニシアティブ」の中で示されたBuild Back Betterの考え方を取り入れた復興の実現が期待される。

3 事前評価に用いた資料及び有識者等の知見の活用等

  • (1)インドネシア政府からの要請書
  • (2)JICAより提出された資料
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