ODA(政府開発援助)

平成31年1月9日

評価年月日:平成30年11月7日
評価責任者:国別開発協力第三課長 井関 至康

1 案件名

1-1 供与国名

ルワンダ共和国(以下,「ルワンダという。」)

1-2 案件名

キガリ市ンゾベ-ノトラ間送水幹線強化計画

1-3 目的・事業内容

 本計画は,ルワンダの首都キガリ市において,上水道の基幹施設であるンゾベ浄水場とノトラ配水池間の送水管,ンゾベ浄水場のポンプ設備及びノトラ配水池の施設の整備等により,送水量の増加と安定供給を図り,もって給水状況の改善を通じた社会サービスの向上に寄与するものである。供与限度額は31.91億円。

1-4 環境社会配慮,外部要因リスクなど留意すべき点

 本計画の環境社会配慮カテゴリ-分類はBであり,「国際協力機構環境社会配慮ガイドライン」(2010年4月制定)に掲げる影響を及ぼしやすいセクター・特性及び影響を受けやすい地域に該当せず,環境への望ましくない影響は重大でないと判断される。本計画においては,工事中の土壌流出防止のためのフェンス設置,廃棄物の分別保管,残土の再利用等の対策により環境への影響を防止する。また,0.5ヘクタールの用地取得及び2世帯10人の非自発的な住民移転が必要となるが,ルワンダ国内手続及びJICA環境社会配慮ガイドラインに沿って作成された住民移転計画に沿って,用地取得及び補償手続等が行われる予定である。本計画に係る住民協議では,本計画の実施に対する特段の反対は確認されていない。工事中は,施工業者が水質汚濁,廃棄物等についてモニタリングし,また,実施機関が用地取得及び補償手続等のモニタリングを行う。

2 無償資金協力の必要性

2-1 必要性

  • (1)ルワンダ(一人あたり国民総所得720ドル)は,OECD開発援助委員会(DAC)の援助受取国リスト上,後発開発途上国に分類される。
  • (2)ルワンダは,近年7%前後の経済成長率を維持しており,不安定な状況が続く大湖地域において,内戦からの復興及び経済成長のモデル国として極めて重要な存在となっている。そのような中,同国の人口は増加の一途を辿っており,特に首都キガリ市の人口は,2012年の約113万人から2025年には約250万人になると見込まれており,将来の人口増加による水需要拡大に対応するため,市内の上水道基幹施設の整備が喫緊の課題となっている。
  • (3)キガリ市内の浄水場の総生産水量のうち,約5割を担うンゾベ浄水場からは,その約9割がノトラ配水池へ送水され,その後配水池を通じて約55万人に給水されている。しかし,ンゾベ浄水場とノトラ配水池を結ぶ既存送水管の口径が小さいことから,ンゾベ浄水場の現在の浄水能力に応じた送水ができていない。また,ノトラ配水池はンゾベ浄水場に対して約200メートルの高所に設置されていることから高圧送水しなければならず,過去10年で少なくとも6件の大きな漏水事故が発生している。さらに,送水圧の不足と非効率な配水管接続のため,ノトラ配水池周辺地域の給水制限は週3~4日にも及んでいる。かかる状況から,ルワンダ政府は,同国において水・衛生分野のリードドナーである我が国に対して,キガリ市の上水道基幹施設整備に対する支援を要請した。
  • (4)ルワンダ政府は国家開発計画「Vision 2020」において,給水施設・給配水管を含む経済発展に資するインフラ整備を最優先課題の一つとして掲げており,本計画はこれに沿うものである。また,我が国の対ルワンダ共和国国別開発協力方針(2017年7月)では,「社会サービスの向上」を重点分野の一つに位置付け,安全な水へのアクセス向上に向けた包括的な支援を実施していくこととしており,本計画はこの方針に合致する。
  • (5)さらに,我が国は第6回アフリカ開発会議(TICAD VI)において,質の高いインフラ投資を実施することを表明しており,本計画はこれを具体化するものでもある。
  • (6)日・ルワンダは,国際社会においても協力関係にあり,また,ルワンダは2018年のアフリカ連合(AU)議長国であるため,本計画の実施を通じて友好国ルワンダとの二国間関係の強化を図ることは,我が国の対アフリカ外交にも大きく寄与するものと期待される。

2-2 効率性

  • (1)ルワンダ政府の要請を踏まえつつ,現地調査による支援対象の絞り込みを行い,必要かつ適正な規模とした。具体的には,軟弱地盤で高水圧の区間の送水管においては,溶接接合による鋼管を計画し,鋼管の離脱及び漏水の可能性を極力排除する構造とした。また,完成後の上水道施設の運用,施設の維持管理を複雑にしないよう,ンゾベ浄水場からノトラ配水池間まで直接送水するシステムを採用した。
  • (2)送水管(鋼管)の一部は河川に沿って設置する計画であり,雨季の施工が出来ないため,日本または第三国から熟練溶接工を派遣して複数班体制で施工することで,工期短縮を図る計画とした。また,河川横断箇所については河川護岸を侵さない工法を採用し,全体工期の短縮と共に建設費及び施工監理費を縮減した。

2-3 有効性

  • (1)定量的効果
    本計画の実施により,ノトラ送水系の平均送水量は35,750立方メートル/日(2017年実績値)から52,800立方メートル/日(計画完了から3年後(2024年))に増加する。また,管布設箇所の地盤(軟弱地盤)に対応した送水管の管種選定,布設方法を採用することにより,ノトラ送水系の送水管路の事故件数は,年間当たり6.8件/100キロメートル(2017年実績値)から0.7件/100キロメートル(計画完了から3年後(2024年))に減少する見込み。さらに,ノトラ配水池周辺地域の給水制限日数は,3~4日/週(2017年実績値)から0日/週(計画完了から3年後(2024年))に減少する見込み。
  • (2)定性的効果
    送水量の増加と安定供給による給水状況の改善を通じて,キガリ市の社会サービスが向上する。

3 事前評価に用いた資料及び有識者等の知見の活用等

  • (1)ルワンダ政府からの要請書
  • (2)「ンゾベ-ノトラ間送水幹線強化計画」協力準備調査報告書(JICAを通じて入手可能)
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