ODA(政府開発援助)

平成30年12月18日

評価年月日:平成30年12月6日
評価責任者:国別開発協力第三課長 井関 至康

1 案件概要

(1)供与国名

コートジボワール共和国(以下,「コートジボワール」という。)

(2)案件名

アビジャン三交差点建設計画

(3)目的・事業内容

 大アビジャン圏を横断するミッテラン通り上に位置する三つの交差点において高架橋を建設し立体化することにより,交通容量を増強して交通の円滑化を図り,もって大アビジャン圏内の経済活性化と経済成長に寄与するものである。

  • ア 主要事業内容
    • 土木工事,資機材調達
    • コンサルティング・サービス
  • イ 供与条件
    供与限度額 金利 償還(据置)期間 調達条件
    161.37億円 年0.10% 40(12)年 日本タイド
    (STEP:本邦技術活用条件)

    (注)コンサルティング・サービス部分の金利は0.01%を適用。

(4)環境社会配慮,外部要因リスクなど留意すべき点

EIA(環境影響評価):本計画は「国際協力機構環境社会配慮ガイドライン」(2010年4月制定)に掲げる道路セクターのうち,大規模なものに該当せず,環境への望ましくない影響は重大ではないと判断され,かつ,影響を及ぼしやすい特性及び影響を受けやすい地域に該当しないため,カテゴリBに該当する。
本計画に関する環境影響評価(EIA)報告書は,2018年11月時点で国家環境庁(Agence Nationale de l'Environnement)による承認手続き中。
社会環境面:本計画は,約3,296平方メートルの用地取得,26世帯の非自発的住民移転を伴い,同国国内手続き及び上記ガイドラインに沿って作成された住民移転計画に基づき取得が進められる。被影響住民から本計画に係る特段の反対意見は出ていない。
外部要因リスク:2020年10月に大統領選挙がある予定であり,その前後に現地治安情勢が不安定化するリスクがあるため,選挙が近づく中,治安情勢に関する密な情報収集に努める。

2 資金協力案件の評価

(1)必要性

開発ニーズ
 コートジボワール国内の道路インフラは,1970年以降の旺盛な外国投資を背景に整備が進んだが,1990年代半ば以降の約15年にわたる政治的混乱を受け新規の道路建設や維持管理は停滞した。その間にも進んだ急速な都市化や2012年以降の高度経済成長により,大アビジャン圏全体で交通量が急激に増加し,市内随所で道路インフラの老朽化や未整備に起因した渋滞が慢性的に発生している。このため,同国の「国家開発計画(2016年~2020年)」では,持続的な都市開発のための交通整備及び質の高いインフラ整備が重点課題の一つに位置付けられている。
 同国政府は,我が国の技術協力を通じて作成された「大アビジャン圏都市整備計画」の優先事業のうち,アビジャン中心部とアビジャン市民の居住地リビエラ地区を結ぶ道路として混雑の激しいミッテラン通り上の交差点の改良を,特に緊急に進めるべき事業として位置付けており,本計画は同通り上の交差点のうち三つ(警察学校前,リビエラ3,パルメリー)の立体交差化(高架橋建設)を図るものである。
我が国の基本政策との関係
 我が国が2018年3月に策定した対コートジボワール共和国国別開発協力方針では,持続的な社会の安定及び経済社会開発の促進を基本方針として,「安全で安定した社会の維持」及び「持続的な経済成長の推進」を重点分野として定めており,運輸交通などのインフラ整備の支援を重視している。
 また本計画は,第6回アフリカ開発会議(TICAD VI)において発表した我が国の取組における三重点地域のうち西アフリカ「成長の環」の総合広域開発に資するものであり,本計画による運輸交通インフラ整備は,コートジボワールのみならず周辺国を含む地域開発に貢献する。またTICAD VIにおいて,我が国は約100億ドル(約1兆円)の質の高いインフラ投資を実施することを表明しており,本計画は同表明の達成に貢献するものである。

(2)効率性

 本計画では,競争性を担保しつつ,類似事業の経験が豊富なコントラクターが調達されるよう,入札図書作成時に資格要件の設定を慎重に検討する。また,交差点毎に調達手続きを行うと時間を要するため,施工期間の短縮も考慮しつつ,一括発注し,発注内容の確定を進める。
 本計画はSTEP案件のため,協力準備調査(F/S)・詳細設計調査(D/D)一体型の有償勘定技術支援の実施,事前通報前のD/D実施,入札手続き所要期間の短縮等が可能であり,調査から調達に至るまでの手続きの迅速化を図っている。

(3)有効性

 本計画を通じて,事業完成2年後(2024年)には,本計画対象三交差点における旅客数(人/日)が約361,000人から約449,000人,貨物量(トン/日)が約603,000トンから約752,000トン,交差点流入交通量(乗用車換算台/日)が約197,000台から約239,000台に増加する。また,本計画対象三交差点を含む憲兵学校/インサック交差点-アクエド交差点間(5.6キロメートル)のピーク時(午前7時)の走行時間が,下りでは約10分から約8分,上りでは約30分から約16分に短縮することが見込まれている。
 本計画では,歩道橋(エレベーター付),バス停の設置,タクシー用路上駐車帯,バスベイ(バス専用停車帯)の整備等の付帯工事も実施されることにより,ミッテラン通り走行時の快適性の向上,ミッテラン通りの沿道環境の改善,ミッテラン通りの交通の安全性の向上に寄与し,ひいては大アビジャン圏内の経済活性化も期待される。
 また本計画がコートジボワールの事実上の首都アビジャンで多くの人の目に触れ,我が国の支援が認識されることを通じ,日・コートジボワール間の二国間関係の強化が期待される。

3 事前評価に用いた資料,有識者等の知見の活用

 要請書,国際協力機構環境社会配慮ガイドライン別ウィンドウで開く,その他国際協力機構より提出された資料。
 案件に関する情報は,交換公文締結後公表される外務省の約束状況に関する資料及び案件概要,借款契約締結後公表される国際協力機構のプレスリリース別ウィンドウで開く及び事業事前評価表別ウィンドウで開くを参照。
 なお,本計画に関する事後評価は実施機関である国際協力機構が行う予定。

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