ODA(政府開発援助)
政策評価法に基づく事前評価書
平成30年10月11日
評価年月日:平成30年2月5日
評価責任者:国別開発協力第三課長 大場 雄一
1 案件名
1-1 供与国名
ルワンダ共和国(以下「ルワンダ」という。)
1-2 案件名
第三次変電及び配電網整備計画
1-3 目的・事業内容
首都キガリ市において,変電所及び付帯する配電設備を整備・拡充することにより,電力供給の安定化を図り,もって同国の経済基盤整備に寄与する。供与限度額は26.35億円。
1-4 環境社会配慮,外部要因リスクなど留意すべき点
本計画の環境社会配慮カテゴリー分類はBであり,環境への望ましくない影響は重大でないと判断され,また影響を及ぼしやすい特性や地域に該当しない。
2 無償資金協力の必要性
2-1 必要性
- (1)ルワンダでは,2004年に生じた深刻な電力不足後,発電電力量は増加し安定しつつあるものの,2016年の発電設備容量は110メガワット(同年において電力需要に対応するために必要な発電設備容量は160メガワット),電化率は全国平均24.6%であり,依然として低水準にある。また,近年の年率8%程度の経済成長を背景に,電力需要は年率10%以上のペースで増加している。かかる事情から,同国政府は「第二次経済開発貧困削減戦略」及び「エネルギーセクター戦略計画(2013~2018年)」の中で,ア 発電設備の増強,イ 電化率の向上を重要な目標としている。
- (2)首都キガリ市は,同国内の全電力消費量の64%を占め,電力需要が増加しているが,それに対応するための変電・配電設備への投資が十分ではない。そのため,市内の主要変電所の需要率が高く,過負荷状態に陥っており,停電発生の原因となっている。また,2014年の送電ロスは23%となっている。首都における不安定な電力供給が,経済活動及び人々の生活向上に大きな支障をきたしており,キガリ市内の変電所の容量増強及び配電網の整備による電力供給の安定化が急務であることから,本計画に係る支援が先方政府から要請された。
- (3)我が国は,対ルワンダ国別開発協力方針において,「経済基盤整備(運輸交通・貿易円滑化・電力)」を重点分野に掲げ,ハード面の支援に加えて,施設の維持管理能力の強化等のソフト面の支援を有機的に組み合わせた支援を行っている。これまで我が国は,無償資金協力「変電及び配電網整備計画」(2011~2014年)及び「第二次変電及び配電網整備計画」(2016~2018年)による変電・配電整備による電力供給安定化のためのハード面の支援を実施するとともに,技術協力により同国電力公社の設備維持管理能力及び開発計画に係る技術的能力の向上を図るソフト面での支援を実施してきた。本計画は,我が国によるこれら支援と相互補完的であり,送電線の一カ所が破線した場合や一地域での急激な電力需要の増加等による停電の発生を防ぐことにつながり,キガリ市における経済基盤の整備及びキガリ市内113万人への安定的な電力供給に寄与するものであることから,我が国が実施する意義は大きい。
- (4)ルワンダは,国際場裏において日本の立場を支持する友好国であり,二国間関係の維持・発展の観点から同国への支援は重要である。
2-2 効率性
- (1)ルワンダ政府の要請を踏まえつつ,現地調査による支援対象の絞り込みを実施し,必要かつ適切な規模とした。
- (2)供与機材については,単価及び維持管理費の比較検討を行い,その結果を基に導入機材を選定した。
- (3)過去に実施した同様の案件との比較を行い,事業費の妥当性を検討し,コスト縮減を図った。
2-3 有効性
- (1)定量的効果
本計画の実施により,本計画の支援対象であるガソギ変電所の変圧器設備の容量は10メガボルトアンペア(2017年実績値)から30メガボルトアンペア(計画完了から3年後(2022/23年度))に増強されることが見込まれる。さらに,同変電所の送電端電力量は,13,469メガワット時(2017年実績値)から86,724メガワット時(計画完了から3年後(2022/23年度))に増加することが見込まれる。 - (2)定性的効果
本計画の実施により,ガソギ変電所及び,同変電所と相互補完関係にあるギコンド変電所及びビレンボ変電所における需要率が低減し,過負荷状態が改善されることにより,キガリ市における電力供給の安定化につながり,ひいては,キガリ市の経済・社会開発の促進に寄与する。
3 事前評価に用いた資料及び有識者等の知見の活用等
- (1)ルワンダ政府からの要請書
- (2)「第三次変電所及び配電網整備計画」協力準備調査報告書(JICAを通じて入手可能)