ODA(政府開発援助)
政策評価法に基づく事前評価書
平成30年6月28日
評価年月日:平成30年5月16日
評価責任者:国別開発協力第二課長 寺田 広紀
1 案件名
1-1 供与国名
ガイアナ共和国(以下「ガイアナ」という。)
1-2 案件名
再生可能エネルギー導入及び電力システム改善計画
1-3 目的・事業内容
本計画は,ジョージタウン市及び周辺地域において,送配電設備の増強及びカリブ共同体(以下「カリコム」という。)事務局ビルへの再生可能エネルギー・省エネ設備導入を通じ,効率的な電力供給等を図り,もって気候変動の緩和ならびに電力セクターの持続性向上による同国の防災・環境への対応に寄与するもの。供与限度額は18.48億円。
1-4 環境社会配慮,外部要因リスクなど留意すべき点
考慮すべき留意点としては,以下の事項が挙げられる。
先行してカリコムが独自で実施するカリコム事務局本部ビル入口の新設工事において,本プロジェクトのケーブルルートが確保されること。
2 無償資金協力の必要性
2-1 必要性
- (1)ガイアナ(一人あたり国民所得4,250ドル)は,気候変動に対する脆弱性を抱えており,また,電気料金はカリブ地域の周辺諸国と比べて高い。
- (2)同国では,過去5年に平均30%を超える送配電ロスが記録されており,効率的な電力供給の障害となっている。ガイアナ電力公社(GPL)では,盗電等のノンテクニカルロス対策として電力料金徴収率向上等の自助努力を進めた結果,一定の成果を達成しているが,多額の設備投資を要するテクニカルロスについては改善されておらず,設備更新は喫緊の課題となっている。
- (3)ガイアナ政府は,化石燃料による従来の電力の効率的な利用及び再生可能エネルギーの利用促進のための戦略プラン2014-2018を策定し,省エネ診断や省エネのためのパイロットプロジェクト,省エネ広報などを積極的に進めている。本計画は,カリコムのハイレベル会合が頻繁に行われるカリコム事務局本部ビルに再生可能エネルギー・省エネ設備を導入すると共に,より費用対効果の高いテクニカルロス低減に資する送配電設備の増強を行うものであり,同国政府により優先度の高い事業として位置付けられている。
- (4)我が国は,対ガイアナ国別開発援助方針において「脆弱性の克服」を基本方針とし,「防災・環境」のための支援を重点分野と定めており,本計画は,重点分野「防災・環境」に合致する。また,本計画は,再生可能エネルギーや省エネ設備の導入を通じ,気候変動対策にも資する。
2-2 効率性
2015年度採択技術協力事業「カリブ地域省エネルギー推進プロジェクト(広域)」において,本計画を省エネ推進の参考例として活用することにより,本計画との相乗効果の発現が期待できる。
2-3 有効性
本計画の実施により,2017年の実績値を基準値として事業完成3年後の2023年の目標値と比較すると,以下の成果が期待される。
- (1)太陽光発電設備の設置により,発電量が年間約65万4,073キロワット時増加する。
- (2)カリコム事務局本部ビルの電力消費量が,省エネの効果により年間約133万8,600キロワット時から約126万7,000キロワット時に削減される。
- (3)変電所及び配電線におけるテクニカルロスが,年間約307万4,800キロワット時から約164万5,800キロワット時に約半減される。
- (4)再生可能エネルギー・省エネ設備の導入により,気候変動の緩和に寄与する。
3 事前評価に用いた資料及び有識者等の知見の活用等
- (1)ガイアナ政府からの要請書
- (2)JICAの協力準備調査報告書(JICAを通じて入手可能)