ODA(政府開発援助)
政策評価法に基づく事前評価書
平成30年5月18日
評価年月日:平成30年4月19日
評価責任者:国別開発協力第一課長 岡野 結城子
1 案件名
(1)供与国名
パラオ共和国(以下「パラオ」という。)
(2)案件名
廃棄物処分場建設計画
(3)目的・事業内容
本計画は,バベルダオブ島において,廃棄物処分場の建設,維持管理に必要な重機等の機材供与等を実施することにより,持続可能な廃棄物管理を促進し,もってパラオの衛生環境の改善及び環境保全に寄与するもの。供与限度額は,13.11億円。
(4)環境社会配慮,外部要因リスクなど留意すべき点
事業対象地の確保及び施設・機材の運営維持管理に要する人員・予算確保がパラオ政府によりなされる必要がある。
2 無償資金協力の必要性
(1)必要性
- ア パラオは,サンゴ礁をはじめとする豊かな自然環境が最大の観光資源であるが,観光客の急激な増加と観光産業の発展に伴い増加する廃棄物の適切な管理と環境負荷の最小化を実現することが,同国の喫緊の課題である。同国では,「国家固形廃棄物管理計画」を策定し,アクションプランの一つとして福岡方式による新規の廃棄物処分場の整備を掲げている(福岡方式とは,我が国で一般廃棄物処分場の標準構造として採用されている準好気性埋立構造を持つ廃棄物の最終処分方式である。)。
- イ 我が国は,これまで,パラオの既存の廃棄物処分場に対し,福岡方式の技術指導を行うとともに,関係部局の組織強化,人材育成の技術協力を実施してきた。しかしながら,近年は台風被害による災害廃棄物も増加しており,既存の廃棄物処分場の残容量はひっ迫している。このような状況から,パラオ政府は,約20年間利用可能な新たな廃棄物処分場の建設を決定し(建設予定地をバベルダオブ島に確保),我が国に対し,当該廃棄物処分場建設に係る支援を要請した。
- ウ 我が国は,対パラオ国別開発協力方針において,環境・気候変動を重点分野の一つに定めており,本計画は同方針の下での開発課題「環境保全」に合致する。また,我が国は,パラオをはじめとした太平洋島嶼国との関係強化を図るため,3年に一度,太平洋・島サミットを開催しており,2015年に開催された第7回太平洋・島サミットで採択された「福島・いわき宣言」の中で「環境」を協力の柱の一つとして位置付けており,本計画はそれを具体化するものでもある。さらに,SDGsゴール11「住み続けられるまちづくり」,ゴール12「持続可能な生産消費形態の確保」にも貢献する。
(2)効率性
建設資材は,原則として,パラオ国内で調達し,同国内での調達が困難な資材については日本調達とする。なお,建設機材は,同国内で生産されていないため,日本又は米国から調達する。
(3)有効性
本計画の実施により,以下の成果が期待される。
- ア 廃棄物処分場への一日当たりの廃棄物搬入量の増加
基準値(2018年)0トン/日→目標値(2023年:事業完成3年後)27.07トン/日 - イ 定性的効果
これまで開放投棄であったバベルダオブ島10州の固形廃棄物が,廃棄物処分場で適切に処理されることにより,同島各州の衛生環境が改善され,パラオの環境保全に寄与する。
3 事前評価に用いた資料及び有識者等の知見の活用等
- (1)パラオ政府からの要請書
- (2)JICAの協力準備調査報告書(JICAを通じて入手可能)
- (3)太平洋島嶼国国別評価(2008年度)
- (4)太平洋島嶼国のODA案件に関わる日本の取組の評価(2015年度)