ODA(政府開発援助)

平成30年5月10日

評価年月日:平成29年10月2日
評価責任者:国別開発協力第三課長 大場 雄一

1 案件名

1-1 供与国名

ウガンダ共和国(以下「ウガンダ」という。)

1-2 案件名

北部ウガンダ地域中核病院改善計画

1-3 目的・事業内容

 ウガンダ北部のアチョリ地域(グル),西ナイル地域(アルア)及びランゴ地域(リラ)の各地域中核病院において,施設の建設及び機材の整備を行うことにより,地域のリファラル体制(病院連携機能)の強化を図り,もって同国の生活環境整備(保健)に寄与する。供与限度額は28.60億円。

1-4 環境社会配慮,外部要因リスクなど留意すべき点

 本計画の環境社会配慮カテゴリ-分類はCであり,環境への望ましくない影響は重大でないと判断され,また影響を及ぼしやすい特性や地域に該当しない。

2 無償資金協力の必要性

2-1 必要性

  • (1)ウガンダ北部のアチョリ地域(8県),西ナイル地域(9県),ランゴ地域(8県)は,1980年代から約20年間続いた内戦の影響を最も受け,多くの元国内避難民を抱える。各地域では,脆弱な保健システムの強化に向けて一次医療施設の整備が進められているが,地域のリファラル体制(医療施設の機能を分化し,患者の重症度等に応じて,一次医療施設からより高次の施設へと患者を紹介・搬送,状況共有等を行う体制)の強化には,高次機能を担う地域中核病院を整備する必要がある。
  • (2)グル,アルア,リラ各地域中核病院は,1920~30年代に建設された施設で,老朽化が激しく,診療を行うために必要な医療機材の不足も常態化している。患者収容能力は,同地域の年率3%(世界銀行,2015年)を超える人口増加によりすでに逼迫(ひっぱく)している。その上,南スーダン共和国及びコンゴ民主共和国からの難民の流入が続いており,患者数も増加している。その結果,外来患者の待ち時間の増加や救急患者の治療開始の遅れが生じており,地域中核病院として求められる保健サービス(専門外来,高度な手術・治療を含む)の適切な提供が困難な状況にある。
  • (3)ウガンダ政府は,「国家保健政策II」(2010/2011年~2019/2020年)の中で,保健インフラの整備を政策上の重要な課題として挙げている。同国政府は保健システム強化策の一環として,地域医療体制の整備におけるリファラル体制の構築を進めており,我が国に対して,上記の地域中核病院の機能強化にかかる支援を要請したものである。
  • (4)我が国は,対ウガンダ国別開発協力方針において,「生活環境整備(保健・給水)」を重点分野に掲げている。特に,保健分野では,地域の中核医療施設・機材の改善・拡充と機材の維持管理技術向上,病院運営及びサービスの改善を行うこととしており,本計画はこれに合致する。また,我が国は,2016年8月に開催したTICAD VIにおいて「質の高い生活のための強靱な保健システム推進」を掲げ,約100億ドルの質の高いインフラ投資を実施することを表明しており,本計画はこれを具体化するもの。
  • (5)ウガンダは,国際場裡における日本の立場を支持する友好国であり,二国間関係の維持・発展の観点から同国への支援は重要。

2-2 効率性

  • (1)ウガンダ政府の要請を踏まえつつ,現地調査により支援対象施設の優先順位付けをするとともに,過去3年間の患者数に基づいて施設規模と面積を検討し,必要かつ適切な規模とした。
  • (2)供与する資材及び機材については,現地調査及び国内解析により,真に必要性が認められるものや人員の使用経験,維持管理の観点から絞り込みを行い,コスト縮減を図った。
  • (3)過去に実施した同様の案件との比較を行い,事業費の妥当性を検討し,コスト縮減を図った。
  • (4)本計画対象の3病院は,JICA技術協力「保健インフラマネジメントを通じた保健サービス強化プロジェクトフェーズ2」(2016年7月~2020年7月)の対象病院に含まれており,同技術協力と連携しつつ,本計画を実施する。

2-3 有効性

  • (1)定量的効果
    本計画の実施により,過去5年間(2011/12~2015/16年度)の平均(基準値)に比べて,事業完成約3年後(2022/23年度)に以下のような成果が期待される。
    • ア 外来患者数が217,553名から260,000名に増加する。
    • イ 分娩件数が10,572件から12,300件に増加する。
    • ウ 手術件数が1,543件から1,800件に増加する。
    • エ 救急患者数が15,560名から18,100名に増加する。
    • オ 集中治療室受入れ患者数が0件から200件に増加する。
    • カ 母子保健患者数が67,736名から80,400名に増加する。
  • (2)定性的効果
    地域のリファラル体制の強化により,ウガンダ北部の保健サービスのアクセス及び質が改善する。

3 事前評価に用いた資料及び有識者等の知見の活用等

  • (1)ウガンダ政府からの要請書
  • (2)「北部ウガンダ地域中核病院整備計画」協力準備調査報告書(JICAを通じて入手可能)
  • (3)「保健インフラマネジメントを通じた保健サービス強化プロジェクトフェーズ2」事業事前評価表(JICAを通じて入手可能)
  • (4)ウガンダ国別評価(第三者評価)報告書(2010年度)
ODA(政府開発援助)
ODAとは?
広報・イベント
国別・地域別の取組
SDGs・分野別の取組
ODAの政策を知りたい
ODA関連資料
皆様の御意見
政策評価法に基づく事前・事後評価へ戻る