ODA(政府開発援助)

平成30年3月22日

評価年月日:平成30年3月2日
評価責任者:国別開発協力第一課長 岡野 結城子

1 案件名

1-1 供与国名

フィリピン共和国(以下「フィリピン」という。)

1-2 案件名

マラウィ市及び周辺地域における復旧・復興支援計画

1-3 目的・事業内容

 ミンダナオ島のマラウィ市及び周辺の紛争影響地域において,復旧・復興ニーズが確認された学校・道路・保健所等の修復及び建設の実施に対し,財政支援を行うことにより,マラウィ市及び周辺地域に対する基礎的サービスの提供を図り,もって同地域における平和と開発に寄与する。供与額は20億円。

1-4 環境社会配慮,外部要因リスクなど留意すべき点

  • (1)環境社会配慮:特になし
  • (2)外部要因リスク:特になし

2 無償資金協力の必要性

2-1 必要性

  • (1)ミンダナオ島の南西部に位置するムスリム・ミンダナオ自治区は,40年以上に及ぶ紛争の影響もあり,フィリピン国内で貧困率が最も高い地域である(全国平均22.1%に対して53.4%(2015年国家統計))。フィリピン政府は,当該地域における平和定着及び開発を促進するために,包括的な和平推進政策を掲げ,取り組んでいる。
  • (2)かかる状況の下,2017年5月23日にフィリピン国軍及びフィリピン警察とイスラム過激派武装組織マウテ・グループとの武力衝突が,ムスリム・ミンダナオ自治区南ラナオ州の州都であるマラウィ市にて発生した。10月23日にフィリピン政府より終結が宣言されるまで,5か月間にわたり戦闘は続き,マラウィ市は壊滅的な被害を受けた。国内避難民は一時期は約36万人にも上り,未だ多くの国内避難民が存在している状況であり,マラウィ市及びその周辺地域の一刻も早い復旧・復興が望まれている。
  • (3)マラウィ市及び周辺地域の復旧・復興にかかる資金調達は,政府令によって設置された省庁横断のタスクフォース(TFBM)の資金リソース調達グループが担っているが,復旧・復興には466億ペソ(約1,048億円)が必要となっているものの,100億ペソ(約225億円)しか予算確保できていない状況である。かかる資金不足の状況を受け,フィリピン政府はドナーに対してTFBMが設定する枠組みを通じた財政支援を要請している。
  • (4)我が国は,ミンダナオの紛争影響地域において,開発による和平プロセスの促進を通じた平和の確保と定着及び貧困からの脱却を実現するため,ガバナンス強化,社会サービスへのアクセス改善を含む貧困削減,インフラ整備や産業振興等による地域開発に対する支援を実施してきている。本計画は,同地域の平和構築及び経済開発を図るものであり,我が国の対フィリピン国別援助方針に合致する。
  • (5)本計画は,2017年1月に日フィリピン首脳会談の場で安倍総理大臣が発表した,フィリピンに対するODA及び民間投資を含めた今後5年間で1兆円規模の支援の一環でもある。また,同年10月に日フィリピン首脳会談の場で発表した「日フィリピン共同声明」並びに「ミンダナオの平和及び開発のための日本の支援」の具体化の一つある。

2-2 効率性

 ミンダナオの一部の地域では,武装勢力によるテロ・誘拐事件が多発しているため,我が国は,渡航中止勧告(渡航情報:レベル3)を発出しており,同勧告対象に含まれる本計画対象地域では,二国間経済協力の実施が困難である。そのため,本計画は,財政支援方式を採用することとする。フィリピン政府によって計画が実施されるため,現地での情報収集及びモニタリングが課題となることから,日本大使館も参画して本計画のモニタリング・評価実施のための委員会を設立し,TFBM及び実施機関と密に連絡を取りながら効率的に事業を進めていく。

2-3 有効性

 本計画の実施により,マラウィ市及びその周辺地域に対する基礎的サービスが提供され,被災者の生活再建と安定が図られる。なお,TFBMによる包括的復旧・復興計画の策定後,本計画についての目標値を設定予定である。

3 事前評価に用いた資料及び有識者等の知見の活用等

  • (1)フィリピン政府からの要請書
  • (2)フィリピン国別評価報告書(2010年度)
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