ODA(政府開発援助)

平成30年3月22日

評価年月日:平成30年2月9日
評価責任者:国別開発協力第一課長 岡野 結城子

1 案件名

1-1 供与国名

フィリピン共和国(以下「フィリピン」という。)

1-2 案件名

ダバオ市エネルギー回収型廃棄物処理施設整備計画

1-3 目的・事業内容

 本計画に基づき,ダバオ市において,廃棄物処理・発電施設(廃棄物焼却施設及び発電施設)を整備し運営等することにより,廃棄物の適正な処理及び廃棄物の持つエネルギーの有効活用を図り,衛生的な生活及び環境負荷の軽減を実現し,もってフィリピンの持続可能な成長のための社会基盤構築及び投資促進を通じた持続的経済成長に寄与する。供与額は,50.13億円。
 本計画では,被援助国政府の代理人として業務を行う調達代理機関を通じた調達代理方式を採用している。被援助国政府には,外務省がふさわしいと判断した調達代理機関を推薦している。また,本計画実施後は,本邦企業を含む特別目的会社(SPC)による事業運営権の獲得を想定している。

1-4 環境社会配慮,外部要因リスクなど留意すべき点

  • (1)環境許認可:フィリピン政府が制定した「廃棄物処理技術導入に係るガイドライン」に沿った事業展開,また,環境への一定の影響が考えられるため,必要に応じて,影響の軽減策が必要となる。
  • (2)汚染対策:フィリピンの環境基準に沿った設備整備及び維持管理・運営が必要となる。
  • (3)社会環境面:当該整備予定地における住民移転は発生しない。事業内容に係る周辺住民の理解と協力を得ることは,ダバオ市の実施事項であるが,事業主体による事業運営段階においても,同市による十分な配慮と対応が必要となる。

2 無償資金協力の必要性

2-1 必要性

  • (1)フィリピンにおける固形廃棄物問題は,マニラ首都圏や地方中核都市において深刻な社会問題であり,フィリピン政府にとって解決が急がれる最優先課題のひとつである。フィリピンでは技術的・経済的な理由から不適切な焼却を排除するため,廃棄物の焼却は実質的に禁止されてきた。しかし,2015年に適切な環境設備を有する焼却施設を容認し,廃棄物発電・エネルギー回収を行う方向へと廃棄物政策の方針が転換され,2016年7月の現大統領の初の施政方針演説(SONA)で,廃棄物発電施設の早期整備について言及された。
  • (2)ダバオ市は,2008年に策定した廃棄物処理管理10カ年計画に基づき廃棄物処理対策を推進してきたが,経済成長と人口増加に伴う廃棄物排出量の増加への更なる対応が不可欠となっている。同市で発生した廃棄物は一部のリサイクルを除き全てが埋立処理または不法投棄されているが,同市が唯一保有・管理する最終処分場となる埋立地には,20トン/年(2016年)の廃棄物が搬入されており,残余年数2~3年と推定されている。同市の今後の健全な社会・経済発展にとって,中長期的に持続可能な廃棄物処理システムの構築が喫緊の課題となっている。同市は,課題解決の施策の一つとして,日本の支援に基づく廃棄物処理施設の導入に強い関心を示しており,特に,廃棄物処理発電に関する日本企業の持つ高い技術力(信頼性の高い設備と,長期間に渡り安定操業を実現する施設運営ノウハウ)の導入に極めて大きな期待を持っている。
  • (3)我が国は,フィリピンの廃棄物処理・発電施設の導入に関して様々な観点から協力しており,ダバオ市へは,民間技術普及促進事業「ダバオ市廃棄物利用発電技術普及促進事業」(2015年6月~2016年5月)において,廃棄物の大幅な減量化とそのエネルギー利用を同時に図る「ごみ発電(Waste to Energy)事業」の実施を目指し,廃棄物処理状況や関係法制度等の調査を行ってきた。また,2016年の日比環境対話において,ダバオ市をモデル都市として選定するとともに,2017年11月の日比首脳会談の共同声明において,「モデル都市において廃棄物発電施設を整備するために協力する」としている。
  • (4)本計画に基づき,廃棄物の適正処理及び廃棄物の持つエネルギーの有効活用を図り,衛生状況を改善するとともに環境負荷を軽減し,もってフィリピンの持続可能な成長のための社会基盤構築及び投資促進を通じた持続的経済成長に寄与することは,我が国の対フィリピン国別援助方針に合致する。
  • (5)また,本計画により,廃棄物処理設備を無償資金協力によって整備し,余熱利用による発電設備を日本・フィリピン両国の民間企業の投資によって整備する。これらは,日本の強みのある技術・ノウハウを使った「インフラシステム輸出」に資するとともに,2017年1月の日フィリピン首脳会談の場で安倍総理大臣が発表した,フィリピンに対するODA及び民間投資を含めた今後5年間で1兆円規模の支援の一環でもある。

2-2 効率性

  • (1)日本における廃棄物発電は30年以上の歴史があり,政策上の知見だけでなく,分別や熱量確保に関する方策等の運営上のノウハウ,経験や知見を活用できる。
  • (2)本計画は,施設の設計・施工から維持管理・運営まで本邦企業が設立する特別目的会社が包括的に担う事業スキームであり,フィリピン以外で実施中の既往事業から得られた知見を活用できる。

2-3 有効性

  • (1)2023年(事業完成年)において,最終処分場に搬入される廃棄物量が6万トン/年になり,施設未整備の場合(22万トン/年)と比べて,約7割の削減となり,搬入される廃棄物量に対する最終処分場のキャパシティが3.6倍になる効果が見込まれる。また,最終処分場の整備費や運営費についても,約7割の削減が見込まれる。
  • (2)発電による資源の有効活用,CO2排出量の削減や最終埋立地の容量節約によって環境負荷が軽減される。

3 事前評価に用いた資料及び有識者等の知見の活用等

  • (1)フィリピン政府からの要請書
  • (2)本邦企業及び調達代理機関からの聴取内容
  • (3)JICA草の根技術協力事業「フィリピン共和国ダバオ市における廃棄物管理向上支援プロジェクト」
  • (4)フィリピン国別評価報告書(2010年度)
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