ODA(政府開発援助)

平成29年9月15日

評価年月日:平成29年8月31日
評価責任者:国別開発協力第二課長 寺田 広紀

1 案件名

(1)供与国名

インド

(2)案件名

ヴァラナシ国際協力・コンベンションセンター建設計画

(3)目的・事業内容

 本計画は,ヴァラナシ市において国際協力・コンベンションセンターを建設することにより,国内外の人的・文化的交流の促進を図り,もって観光分野の振興を通じた産業競争力の強化に寄与するもの。供与限度額は22億4,000万円である。

(4)環境社会配慮,外部要因リスクなど留意すべき点

  • ア 案件実施に際し,敷地準備,許認可取得等の先方負担事項が適時・適切に履行されること。
  • イ 対象地域において治安等が急激に悪化しないこと。

2 無償資金協力の必要性

(1)必要性

  • ア インドが包摂的かつ安定的な経済成長を実現するにあたっては,同国の産業競争力の強化が必要であり,このうち,観光分野については,同国が有する高いポテンシャルにも関わらず,アジア太平洋地域の他国に比べてGDP比率が低いことから,今後の同国の経済成長を牽引する可能性を十分に有する産業分野といえる。
  • イ ヴァラナシ市は,ガンジス川に面し,約3,000年の歴史を持つ世界最古の都市の一つであり,ヒンドゥー教及びジャイナ教の聖地であることからも,同国の文化及び歴史の中心都市である。しかし,このように価値の高い特殊な地域性を有し,観光資源に富んでいるにも関わらず,同市には,その文化・歴史を発信・交流する設備が整備されていない状況にある。
  • ウ このような状況下,インド政府から我が国に対して,インドの経済開発及び人的交流促進の観点から,ヴァラナシ市における国際会議場(コンベンションセンター)建設に係る支援の要望があった。両国間での議論を経て,同施設は,国内外の人的・文化的交流を促進し,今後の同国の国際協力に向けた取組を推進することが期待されている。
  • エ 我が国の対インド国別援助方針(2016年3月)では,「産業競争力の強化」を重点分野の一つとして定め,開発課題に「人的資源開発・人材交流促進」を位置付けており,本計画はこれに合致する。また,インドは,日本と価値観を共有するアジアの主要国の一つであり,「自由で開かれたインド太平洋戦略」においても,同国との二国間関係は高い相乗効果を生むことが期待されており,同国への支援は,外交政策上重要である。

(2)効率性

 本計画のソフトコンポーネントとして,本計画の運営主体であるヴァラナシ市のスマートシティ特別事業体の運営維持管理能力の強化を支援するための施設・機材の運営維持管理指導を行い,効率性を高める。

(3)有効性

 本件の実施により,以下のような成果が期待される。

  • ア 事業完成3年後の2023年には,約50,000人の施設訪問者数(人/年)が予想され,同国における人的・文化的交流の促進及び観光分野の振興を通じた産業競争力の強化が期待される。
  • イ 本施設を発信拠点として活用することにより,効率的・効果的な国際会議を開催でき,同国の国際協力の推進に寄与することが期待される。
  • ウ 我が国の支援で新設した当該施設を通じた国内外の知的交流・人材交流・市民交流の活性化により,日印二国間関係の更なる強化が期待される。

3 事前評価に用いた資料及び有識者等の知見の活用等

  • (1)インド政府からの要請書
  • (2)JICAの調査報告書(JICAを通じて入手可能)
  • (3)インド国別評価報告書(2009年度)
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