ODA(政府開発援助)
政策評価法に基づく事前評価書
平成29年4月4日
評価年月日:平成29年2月3日
評価責任者:国別開発協力第三課長 大場 雄一
1 案件名
1-1 供与国名
ルワンダ共和国
1-2 案件名
ルワマガナ郡灌漑施設改修計画
1-3 目的・事業内容
本計画は,東部県ルワマガナ郡において,既存の低湿地灌漑施設の改修を行うことにより,その機能回復・改善を図り,もってルワンダの農業開発に寄与する。供与限度額は20.77億円である。
1-4 環境社会配慮,外部要因リスクなど留意すべき点
環境社会配慮カテゴリーはBであり,管理用道路の改修等を含む本計画は,「国際協力機構環境社会配慮ガイドライン(2010年4月)に掲げる道路セクターのうち大規模なものに該当せず,環境への望ましくない影響は重大でないと判断され,かつ,同ガイドラインに掲げる影響を及ぼしやすい特性及び影響を受けやすい地域に該当しない。
2 無償資金協力の必要性
2-1 必要性
- (1)ルワンダにおいて農業セクターはGDPの約34%を占める主要産業であり,全人口の約80%が従事している。ルワンダ政府は,国家開発計画として2007年に第2次経済開発貧困削減戦略を策定し,農業を重点分野の一つに定め,農業生産性を向上させ,農民の収入の安定化を図ることを重要な開発優先課題の一つとしている。
- (2)ルワンダの農業は,気候の変化に影響を受けやすい天水農業が大部分を占めており,ルワンダ東部県は全域が半乾燥地帯に位置し,水田稲作の適地とされている。同県に位置するルワマガナ郡の灌漑施設は,近年,施設の老朽化による機能低下が課題となっている。
- (3)ルワンダ政府は農業セクターの中期計画において,2018年までに灌漑面積を10万ヘクタールまで増加させる目標を掲げている。同目標達成に向けて,新規灌漑開発を進めることに加え,既設の灌漑施設のリハビリによる機能回復・改善や,農民組織による適切な灌漑施設の維持管理を想定した適切な体制構築も急務となっている。
- (4)本計画は,2016年12月にカガメ大統領が国民対話において,円滑な計画・実施を約束したルワンダ内政上重要な案件である。ルワンダは,これまでの国際場裏での我が国の立場に賛同する親日国であり,2015年安保理非常任理事国選挙においても我が国への賛同を示しており,かかる友好関係を一層強化するため同国政府からの本計画への支援要請に応えることは外交的意義が大きい。
- (5)灌漑施設改修実施後は,対象灌漑地で農業従事者が主にコメ等の作物を栽培することが想定されており,灌漑施設整備により収穫率が増加し,農業従事者の所得向上に寄与することから,TICAD Vの主な支援策の一つ「農業従事者を成長の主人公に」の実施にも資する。また,TICAD VIの優先分野の一つである「経済の多角化・産業化」の中で表明した「農業の収益性・生産性向上を図る」という目的を具体化するものである。
2-2 効率性
- (1)本計画では,維持管理を担う水利組合の予算・体制・人員・技術力を確認し,水利組合による維持管理が容易となるような設計とした。
- (2)技術協力プロジェクト「小規模農家市場志向型農業プロジェクト」(2014年~2019年)と連携し,本計画を実施する。
2-3 有効性
本件の実施により,以下のような成果が期待される。
- (1)通水能力の確保,排砂にかかる農民の作業負担が軽減される。
- (2)既存ため池堤体の安全性が向上する。
- (3)灌漑面積利用率143%(2015年実績値)→200%(2023年事業完成3年後),水稲の作付面積284ヘクタール(2015年実績値)→398ヘクタール(2023年事業完成3年後),水稲の単収3.87トン/ヘクタール(2015年実績値)→5.20トン/ヘクタール(2023年事業完成3年後)に向上する。
3 事前評価に用いた資料及び有識者等の知見の活用等
- (1)ルワンダ政府からの要請書
- (2)「ルワマガナ郡灌漑施設改修計画」準備調査 現地調査結果
(JICAを通じて入手可能) - (3)「ルワマガナ郡灌漑施設改修計画」協力準備調査報告書
(JICAを通じて入手可能)