ODA(政府開発援助)

平成29年3月27日

評価年月日:平成29年3月7日
評価責任者:国別開発協力第一課長 原 圭一

1 案件名

1-1 供与国名

パプアニューギニア独立国

1-2 案件名

アロタウ市場及び水産設備改修計画

1-3 目的・事業内容

 本計画は,ミルンベイ州アロタウ市において,当該地域の農水産物流通の需要に適した公設市場施設及び桟橋を建設することにより,域内農水産物流通の改善・活性化を図り,もってパプアニューギニアの経済成長基盤の強化に寄与するものである。供与限度額11.69億円。

1-4 環境社会配慮,外部要因リスクなど留意すべき点

 ミルンベイ州政府,アロタウ市行政,フフ地方行政区からの代表者等で構成される市場委員会が設立され,施設の維持管理に必要な予算と人員が確保される必要がある。

2 無償資金協力の必要性

2-1 必要性

  • (1)パプアニューギニアにおいて,農業・水産業はGDPの約30%(2012年)を占める重要な産業であることから,同国の中期開発計画(2016-2017)において優先分野として掲げられている。
  • (2)本案件の対象地域であるミルンベイ州の人口は約30万人であるが,その人口の60%以上が約160の島・環礁に居住し,就業人口の約8割が自給的・零細農水産業に従事している。これはパプアニューギニアの州で最も高い割合である。これらの零細農漁民は,自家消費目的以外の余剰農水産物を州都アロタウ市にあるアロタウ公設市場に持ち込んで売買しており,同市場は,零細農漁民が現金収入を得る貴重な場所となっている。
  • (3)同市場は,1969年の開場から45年以上が経過し老朽化が進むとともに,販売スペースの不足が問題となっている。販売スペースの不足等により,鮮魚,加工食品,青果物が近接して販売されているほか,地面に置かれた状態での販売も少なくない。また,市場に付設されているトイレは配管に問題があり,頻繁に使用不能になるため,衛生上の問題も生じている。
  • (4)加えて,同市場への物品搬入のために,隣接する木造桟橋で係船・荷揚げ・荷積みが行われているが,同桟橋の杭の一部は中間部が腐食しており,数年内には使用不能になる可能性が高い状況である。このため,係船・荷揚げ・荷積みのために,より適切な設備の整備が望まれている。
  • (5)本支援は,我が国の対パプアニューギニア国別援助方針の重点分野「経済基盤の強化」に合致する。

2-2 効率性

  • (1)本案件で使用する建設用資機材は,基本的に現地調達とする。
  • (2)本案件で建設する施設を地域の流通拠点及びコミュニティ活性化の拠点とするために,ボランティアとの連携を検討する。

2-3 有効性

 本件の実施により,以下のような成果が期待される。

  • (1)農水産物の流通の円滑化,零細農漁民の現金収入の増加等を通じて,ミルンベイ州の経済が活性化する。
    市場の年間営業収入(キナ,1キナ=約35円)
    314,866(2015年実績値)→404,500(2022年,事業完成3年後)
  • (2)アロタウ市場で扱う食品の衛生,市場の排水機能が向上する。
  • (3)アロタウ市場の売場面積の拡大,渡り廊下の整備,段差の減少,トイレの整備等により,利用者(小売人,購買客)にとって市場の利便性が向上する。
  • (4)アロタウ市場における廃棄物管理体制,海からのアクセスが改善される。

3 事前評価に用いた資料及び有識者等の知見の活用等

  • (1)パプアニューギニア政府からの要請書
  • (2)JICAの調査報告書(JICAを通じて入手可能)
  • (3)太平洋島嶼国のODA案件に関わる日本の取組の評価(2015年度)
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