ODA(政府開発援助)
政策評価法に基づく事前評価書
平成29年3月21日
評価年月日:平成29年2月8日
評価責任者:国別開発協力第三課長 大場 雄一
1 案件名
1-1 供与国名
リベリア共和国
1-2 案件名
「第二次モンロビア首都圏ソマリアドライブ復旧計画」
1-3 目的・事業内容
本計画は,モンロビア首都圏幹線道路ソマリアドライブにおいて,既存2車線の改修工事を実施することにより,対象道路の円滑かつ安全な道路交通の確保を図り,もってモンロビア首都圏のインフラ整備に寄与する。供与限度額は52.20億円である。
1-4 環境社会配慮,外部要因リスクなど留意すべき点
- (1)環境社会配慮カテゴリーはBであり,本計画は,「国際協力機構環境社会配慮ガイドライン」(2010年4月)に掲げる道路セクターのうち大規模なものに該当せず,環境への望ましくない影響は重大でないと判断される。かつ,同ガイドラインに掲げる影響を及ぼしやすい特性及び影響を受けやすい地域に該当しない。
- (2)本計画の対象サイトにおいて,エボラ出血熱等の重大な感染症が流行しないことが前提条件となる。
2 無償資金協力の必要性
2-1 必要性
- (1)リベリアでは,1989年から2003年まで2度に渡る内戦の影響で幹線道路の多くが損壊したが,同国政府の補修は十分に行われていない。近年,首都圏の人口は,帰還難民及び国内避難民が内戦終結後も定住したことにより急速に増加しており,交通量の増加により至る所で渋滞が発生し,市民生活に深刻な影響を与えているだけでなく,同国の経済発展に対する重大な阻害要因となっている。
- (2)同国政府は2030年までの長期開発計画「Liberia Rising 2030」及び中期開発計画として「Agenda for Transformation」を策定し,道路セクターにおいては主として幹線道路のリハビリに取り組んでいる。
- (3)本計画の対象路線であるソマリアドライブ(全延長約13キロメートル)は,モンロビア市を東西に結ぶ幹線道路の一つであり,モンロビア港からの貨物交通や周辺コミュニティの生活交通などが集中する路線である。我が国は,無償資金協力「モンロビア首都圏ソマリアドライブ復旧計画」(2013年E/N締結)により既存2車線道路を4車線に拡幅する工事を実施中であるが,既存2車線道路の損傷が急速に進行しており,車両走行速度の低下(時速14キロ以下)も著しく,同2車線の改修が急務となっている。
- (4)本計画は,2016年8月にケニアで開催されたTICAD VIにおいて,我が国が表明した経済活動の基盤となる質の高いインフラ整備に該当するとともに,対リベリア国別援助方針重点分野「インフラ整備支援」に合致している。
- (5)リベリアの脆弱国からの脱却と持続可能な開発の実現を支援することは,同国及び近隣国を含む西アフリカ地域の平和と安定に貢献することから,本計画を実施する外交的意義は大きい。
2-2 効率性
- (1)真に改修を必要とする区間・箇所について事前に十分に精査した上で,基盤の状態が良好な既存道路の一部の区間については既存の舗装を存置し,上層路盤から打ち換える計画とした。また,路肩幅は大型車の通行が多い区間のみ2.5メートルとし,その他の区間は1.5メートルとする等,事業規模の適正化を図った。
- (2)本計画は,開発計画調査型技術協力「モンロビア都市施設復旧・復興整備マスタープラン策定調査」(協力期間:2008年~2009年)で優先度の高い事業として提案され,実施されるものである。
2-3 有効性
本件の実施により,以下のような成果が期待される。
- (1)2024年(事業完成3年後)に,1日当たりの車両走行台数が約1.6倍(24,713(2016年実績値)→39,000台/日)に改善する。また,2016年実績値と比し,年間旅客数が約10.5%(約760万人)増加,年間輸送貨物量が約49.0%(約1千万トン)増加する。更に,朝ピーク時の走行時間が3分の1以下(61分→18分)に減少する。
- (2)歩道整備により歩行者等の安全が確保される。
- (3)排水施設の整備により雨水の侵入による路盤破壊が防げ,維持管理頻度が低減する。
3 事前評価に用いた資料及び有識者等の知見の活用等
- (1)リベリア政府からの要請書
- (2)「モンロビア都市施設復旧・復興整備マスタープラン策定調査」ファイナルレポート要約報告書
- (3)「第二次モンロビア首都圏ソマリアドライブ復旧計画」協力準備調査報告書
(JICAを通じて入手可能)