ODA(政府開発援助)

平成29年3月9日

評価年月日:平成29年2月23日
評価責任者:国別開発協力第二課長 田中 秀治

1 案件名

(1)供与国名

タジキスタン共和国

(2)案件名

ドゥシャンベ変電所整備計画

(3)目的・事業内容

 本計画は,ドゥシャンベ市において変電所施設の整備を行うことにより,電力供給の改善を図り,もって持続的な経済・社会発展及びこれらを通じた環境との調和のとれたエネルギー対策に資する経済インフラ整備に寄与するもの。供与限度額は21億9000万円。

(4)環境社会配慮、外部要因リスクなど留意すべき点

  • ア 以下の事項がタジキスタン側により実施される必要がある。
  • (1)ラディオスタンツィヤ変電所用地の整地及び入札公示前までのアクセス道路敷設。
  • (2)ラディオスタンツィヤ変電所の試充電開始までの35キロボルト送電線の110キロボルトへの対応工事の完了。
  • イ 事業実施機関や事業実施者との最新の治安状況を含めた情報収集・連絡協議体制の構築。日没前に作業を終了するなど安全に配慮した工程管理。

2 無償資金協力の必要性

(1)必要性

  • ア タジキスタンは国内の総発電容量5,344メガワットの約9割に相当する4,926メガワットを水力発電に依っているが,冬季には河川の凍結や流量低下により,水力発電所の出力が夏季の約7割にまで低下する。また,首都ドゥシャンベ市内では,冬季の電力需要の急増に対応するために電源と共に送変電を含めた電力設備容量の増加が喫緊の課題となっている。
  • イ また,変電所を始めとする電力流通設備の多くが,旧ソ連邦時代に建設されたまま設備が更新されず,需要の増加に合わせた増強が行われていない。そのため,設備の経年劣化が進むとともに,修理部品の入手が困難になりつつある。また,需要の増加により設計基準を超える負荷が生じた際には設備が非常停止し,停電が頻発しており,電力安定供給のボトルネックとなっている。
  • ウ こうした課題を解決するため,タジキスタン政府の長期戦略「2015年までの国家開発戦略」ではエネルギー問題の解決を重点課題と位置付けており,現在でもその方針は継続している。中でも,首都ドゥシャンベ市における電力供給の安定化は重要であり,設備の近代化・増容量による安定的な電力供給の実現が求められている。特に,工場やその労働者のための高層住宅団地が集中立地する同市南西部地域及び高層住宅や民間商業施設の開発が進み電力需要が増加している同市東部の電力供給体制の改善は優先度が高い。
  • エ かかる状況から,タジキスタン政府は我が国に対して,ドゥシャンベ市内の変電所の全面更新及び新設を通じた,首都の供給可能電力量の増加と電力供給の安定化に向けた支援を要請したものである。
  • オ 本計画は,ドゥシャンベ市内のプロミシレンナヤ変電所の改修及びラディオスタンツィア変電所の新設を行うことにより,首都における電力供給の安定化を図り,もって持続的な経済・社会発展に寄与するものであり,タジキスタンの開発課題・開発政策並びに我が国の国別援助方針及びJICAの協力方針・分析に合致し,加えて持続可能な開発目標(SDGs)のゴール7(全ての人々に対するエネルギーアクセスの確保)に貢献すると考えられることから,無償資金協力として本計画の実施を支援する必要性は大きい。

(2)効率性

 タジキスタン政府の長期戦略「2015年までの国家開発戦略」ではエネルギー問題の解決を重点課題と位置付けている。中でも,首都ドゥシャンベ市における電力供給の安定化は重要であり,同市内の送電設備の近代化・増容量による安定的な電力供給の実現が求められている。特に,タジキスタン政府にとって,工場やその労働者のための高層住宅団地が集中立地する同市南西部地域(プロミシレンナヤ地区)及び高層住宅や民間商業施設の開発が進み電力需要が増加している同市東部(ラディオスタンツィア地区)の電力供給体制の改善は優先度が高い。

(3)有効性

 本計画の実施により、以下のような成果が期待される。

  • ア ドゥシャンベ市内のプロミシレンナヤ変電所の設備を全面更新することで,同変電所の現行変電設備容量である50メガボルトアンペア(2015年実績値)が80メガボルトアンペア(2022年(事業完成3年後))に,年間供給可能電力量332,880ミリワット時(2015年実績値)が520,125ミリワット時(2022年(事業完成3年後))に増加する。
  • イ ラディオスタンツィヤ変電所を新設することで,新たに80メガボルトアンペアの変電設備容量,432,744ミリワット時の年間供給可能電力量を得る。
  • ウ 対象変電所の供給対象地域における,変圧器の過負荷による年間停電発生回数が268回(2015年実績値)から0回(2022年(事業完成3年後))に減少する。
  • エ ドゥシャンベ市内の電力品質(電圧・周波数)が改善する。

3 事前評価に用いた資料及び有識者等の知見の活用等

  • (1)タジキスタン政府からの要請書
  • (2)JICAの協力準備調査報告書(JICAを通じて入手可能)
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