ODA(政府開発援助)

平成29年3月1日

評価年月日:平成29年2月10日
評価責任者:国別開発協力第三課 大場 雄一

1 案件名

(1)供与国名

アフガニスタン・イスラム共和国

(2)案件名

へラートにおける農業のバリューチェーンの向上計画(UN連携/UNOPS実施)

(3)目的・事業内容

 本計画は,アフガニスタンのヘラート県,ヘラート市の2つの農業卸売市場と展示会施設等の改築・建設及び周辺アクセス道路の建設・改修支援,及び農業関係者を対象とした能力強化活動を実施することにより,アフガニスタン西部の農業振興を図り,もって農民の生計向上とアフガニスタン経済の向上に寄与するもの。供与限度額は10億円である。

(4)環境社会配慮,外部要因リスクなど留意すべき点

 以下の点が確保される必要がある。

  • ア 円滑な事業実施のため,今後アフガニスタンの治安状況が著しく悪化しないこと。
  • イ 案件実施に際し,アフガニスタン政府機関及び現地農民コミュニティー等の積極的な関与を促すとともに,案件完了後もアフガニスタン側で適切な維持管理がなされること。

2 無償資金協力の必要性

2-1 必要性

  • (1)アフガニスタンは,20年以上の内戦を通じて経済社会インフラが壊滅的な打撃を受け,一人あたりGNIが630ドル(2015年,世界銀行),人間開発指数が188か国中171位(2015年,UNDP)であるなど,国連により,後発開発途上国として認定される最貧国である。
  • (2)このような状況の中,アフガニスタン政府は,労働人口の約60%(2014年,世界銀行)が従事し,GDPの25%~30%(同)を占める農業を主要産業として全国的に振興させるべく取り組んでいる。
  • (3)農業振興を持続可能なものにするためには,生産性の向上だけではなく,流通システムの構築,冷蔵を含む保存技術の改良,組織強化等の農業経営の改善,販売及び輸出のための国内外との連結性強化等,バリューチェーンの確立をめざした幅広いアプローチが必要である。アフガニスタン政府が2016年からの五か年計画として策定した「包括的農業開発国家優先プログラム」においても,農産品の生産性の向上に加え,バリューチェーンの構築や,組織・技能強化が優先分野である。
  • (4)かかる状況を踏まえ,UNOPS(国連プロジェクト・サービス機関)及びアフガニスタン政府から,我が国による支援の要請があった。本計画は,ヘラート県経済局及びヘラート県・ヘラート市に対し,同市郊外2箇所の農業卸売市場と展示会施設等の改築・建設及び周辺アクセス道路の建設・改修並びに農業関係者を対象とした能力強化活動を実施することにより,アフガニスタン西部の農業振興を図り,もって同国の開発支援に寄与するものであり,実施の必要性は高い。

2-2 効率性

 治安リスクが高く,広範囲にわたる支援が困難なアフガニスタンでの効果的な支援を行うためには,現地のネットワーク及び社会経済事情等における十分な実績と知見を有するUNOPSとの連携が効率的である。

2-3 有効性

 本件の実施により,2020年(事業完了1年後)において2017年(基準年)に比し,以下のような成果が期待される。

  • (1)ヘラート県の農産物流通を支える2つの卸売市場を整備することにより,市場を利用する8,000人以上の購買者及び300人以上の農民による農産物の流通(1日あたり200トン以上)がより強化される。また,農産物の保存状態が改善されることにより,商品の価格が最大30%安定し,中小農家の収益が20~30%向上することが見込まれる。
  • (2)週末直売会,農業展示会,研修等,農業振興・農業取引促進のイベントを開催できる多目的施設(7,000平方メートル)を建設することにより,輸出の可能性を含めた農業取引が15%促進され,また1,000人以上の地元農業関者及び農家の技能向上を図る場が提供される。
  • (3)2つの卸売市場周辺の道路6.5キロメートルの拡張及び舗装を行うことにより,36万人の利用者による市場周辺の交通が円滑化し,農産品の流通が最大25%強化される。
  • (4)ヘラート県経済局・農業協同組合等の関係者100人の研修(市場設備の運営方法等)や,地元農家200人の研修(マーケティング研修等)を行うことにより,プロジェクト全体の持続性が向上するとともに,個々の農家の生産・販売活動が最大30%向上する。

3 事前評価に用いた資料及び有識者等の知見の活用等

  • (1)アフガニスタン政府からの要請書
  • (2)UNOPSからの要請書
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